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第五話:『生徒はクラスの為に…まぁ一人だけど』

組手が終わり闘技場を去る

未だにトリアスが喚いているが

どうでもいいことだった。


「しかし、ちとヒールが過ぎたかな」


言い過ぎた気はしなくもない

だが少し言い返されたらムキになるくらいなら

最初から黙って戦えばいいモノを

口は禍の元っていう奴だ、全く度し難い。


「さて、先生に報告しておこう」


マテリア先生はどう思うのだろうか

中央組と言えば例年からこういう場面で

いつもいつも踏み台にされてきたクラスであり

例え足搔こうとも4クラスに復帰することは無い存在だ

だが、ここまで来たら徹底的に推薦を狙っていこう

スポンサーが見ているのは分かったのだから。



「マテリア先生、戻りました」

「カルネ君んん!!大丈夫ですか!?

 ゼラス先生呼びますか!!??

 

 …あれ?怪我とかは…?」

「俺勝ちましたよ、トリアスに」

「…ほ、本当に?」

「ハイ!スポンサーさんにも見てもらってたみたいなんで

 推薦に一歩近づきました!」

「………そうですね!一緒に頑張りましょう!」


マテリア先生の顔が明るくなる

先生も長らく中央組の嫌な立場に慣れてたのだろう

頑張るという空気がこのクラスに生まれたのは久しいのだろう

…でもこのクラス一人なんだよなホント…。


「とはいえ、授業は出来ないんですよね」

「はい…どうしましょうか」

「校外学習とかしてみます?」

「許可下りるかどうか…ですね」

「流石になんの授業も出来なくしたら

 スポンサーが五月蠅いでしょうし、何かしらあるでしょう」


一応誰でも入学出来て差別のない()学校であるサルヴァトール学園が

出来損ないや変わり者だからと学びのチャンスを奪うのは

反感を買い過ぎるだろう、曲がりなりにもこれまでは常に

踏み台やかませ犬としてではあるものの授業に参加していたしな。


「先生もじゃんじゃん参加できそうなのは

 ぶち込んでください、俺負けませんから」

「わかりました…!」


何かしら陥れる気ならぶっ倒せばいいし

素直にアピールチャンスなら利用する

マジで授業無かった場合は面倒だが、無いと想定しておこう。


「は~…どうなることやら」


クラスの教室すら用意されてないので

ボロ寮で黄昏るのだった。





「………これは?」

「なんか…一杯入りました、授業」

「潰しに来た感じ…なんでしょうかねぇ?」

「私もここまで入ったのは初めてでどうにも……」


この一週間分完全に授業が入っていた、実技から座学まで満遍なく

ちょくちょく組手などもあり、リベンジというか

陥れる為のようなものもいくつかあるが………。


「まぁ、座学は普通にできるし問題ないとして

 実技は…何やるか次第ですね」

「私はカルネ君を信じてます!」

「中央組の教室もあればいいんですけどね」

「一人ですからね……」

「こればっかしは流石に文句付けずらいですね

 一人ですし……」


中央組に生徒が増えてほしい訳ではないけど

一人の為に教室を使うのは憚られるので

何とかなんないかな…。


「まぁあの…いずれ生徒は増えます

 毎年そうですので」

「良いんだか悪いんだかですね」

「ここの体質です、貴族ですからね、大多数は」

「…マテリア先生はどうなんです?」

「私は平民ですねぇ…元は他で教師をしてたのですが

 ここに引き抜かれて、まぁそれ以来ずっと中央組ですが」


少し卑屈な表情でマテリア先生は話した

恐らく、俺程ではなくとも好ましくない扱いもされてるのだろう

何とかしたいが、教師側の話までは把握しきれないのがなんとも。


「じゃあ、俺行ってきます」

「応援してますよ!」


とりあえず、先に自身の授業を優先して

ボロ寮を後にするのだった…。




「その魔術方式の場合クラリスの提唱した理論を基に…」


入学の為に死ぬほど勉強していたので、座学では例え狙って

難しいところばかりで指摘しても答えられない事は無い

露骨にそういうのばっかやると返って成績が上がるがいいのだろうか。



「カルネ君、ではこのゴーレムを素早く討伐してください」

「了解です、『死棘武装(デッドエッジ)』!」


漆黒の刃が飛んでいきおおよそ試験用とは思えない

大型でまるで軍用であろうゴーレムは両断されて

まもなく機能を停止した。


「どうです?」

「…う、うむ、よろしい」


おそらくはスポンサーの軍当たりのブツだろう

本来なら強力な魔術耐性があるが、それを考慮しても

一点集中して硬化した『死棘武装』なら切れる範疇だ。



「今回は魔法ナシの組手だ

 カルネ、デドイカと組み合ってくれ」

「了解です」


魔術無しなら、なんて事は無い

そもそも相手のデドイカ君は確かに鍛えられた肉体だが

俺は出力に果てがないのだ、つまり。


「こ、こいつ…動かねぇ…!!」

「貧民舐めんなよコンチクショー…!」

「も、持ち上がる!?」

「ドリャアアアアッ!!」


ぶん投げてやった、流石に重かったが

それでも問題ない。


「いい勝負だった」

「へへ…おめえ、枯れ木みたいな身体だと思ったが

 根が太いんだな!」

「アンタも凄い大木だったよ」


先生が険しい顔だが、このデドイカ君は良い奴だ

久々に人と握手したぜ。




「どうしたものか」

「ここまでされると、親御からの反発が…」

「だが、除いてもスポンサーからの反発がだな…」

「しかし、ヤツの魔術は底知れません

 正直言って、我々でも…」

「ぐぬぬ…」


校舎の最上、会議室にて重役達は席を囲んでいた

議題は中央組に送っていたカルネである。


「今更中央組から戻すのは難しいです…」

「だが、すでに各科目において奴は最高評価を

 スポンサーから受けている」

「このままだと奴だけでなく

 総合評価で中央組が勝ちかねんのだぞ!」


声を荒げたのはこのサルヴァトールにおいて教頭である男

ヴァンス・リブである。

すでに各教科で評価を削る為に押し付けた難題が

悉く解決されており、平均評価やクラス評価など

現時点では中央組とカルネになっているのだ。


「………………従来より早まりますが

 先ずは中央組に落としましょう、別の落ちこぼれも」

「クラスまで上位になられては平民女が

 名誉教師になりかねませんからね」

「うむ、では各々対象を纏めよ」

「「「了解です!」」」


そう言って、東西南北クラスの代表教師は

生徒名簿を片手に変えるのだった…。


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[一言] 今日初めて見ましたが、とても面白いです!これからも頑張ってください!
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