第三話:『このパワーマジ要注意につき』
「どうだ、良い場所だろ?」
「そうだな、こんな場所があったのか」
「人払いを掛けてるからな、誰も知らない空白地帯さ
俺の領土と言ってもいい」
路地裏を抜けて星空見える広い空き地があった
珍しい花や小さな小屋のあるそこは本当に御伽噺だ。
「さて、と…お前さんの魔法の事だが」
「おう」
「先に体の事を教えておこう」
「ふむ」
そういや俺は死んでるんだった、おかしい話だが
死人なのに生きている扱いで、魔力も滾る。
「アンデッドの存在は知ってるか?」
「ゾンビとかリッチだろ」
「アレらは死んでいるのに魔法への耐性を持つ物や
魔法を扱える物もいる、何故か」
「大地の魔力を得ているって聞いた」
「その通り、その代償にこの地に縛られて
自由は持たないという事だ」
死んだ魔術師は危険だ、大地の魔力を得て
無限に魔法を使う事もある。
「しかし、死霊魔術士は違う
死を制する故に大地に支配されない
しかし死している故に境界があいまいで無限の魔力を扱える」
「………つまり、俺の魔力量は無限…!?」
「そゆことだ」
力を籠める、自身の体を通して
この国全員束ねても足りないほどの魔力の奔流を感じる。
「厳密には大地の総量次第だが正式な数値など那由多の先
お前自身の一度に汲み上げる量は鍛錬次第だがな」
「鍛える限り無限って事だろ」
「そうだとも」
凄まじい資質だ、しかも決して噓では無いのがわかる
何処まで行っても底の無い魔力だ。
「んで、死霊魔術で扱う魔法は大まかに分けて死と魂だ」
「死は兎も角、魂?」
「倒した魂を取り込んで使役したり大地に溶けた魂を使役したり
魔力で魂作りだしたりする」
「……蘇生とか人工生命?」
「できる」
「やばいな、聖女の領域だ」
「聖女サマじゃ出来んさ、肉体が灰になってても蘇らせるのはな」
「……………成程」
「とは言っても、言うまでも無いがやりすぎは良くないぞ」
「流石にわかる、ってかもうちょっと気楽にできるの無いの?」
「あるぞ、大体三つで一つは『屍使役』『死棘武装』『闇魔法』だ」
「闇魔法はともかく他の二つわからん」
「単純にまとめると
1.屍を造り使役するゴーレムとも似たもの
2.死の属性を纏めた魔力の武具を飛ばしたり装備するの
3.闇属性の魔法全部
だ」
「成程、闇魔法で汎用性は確保されてるな
他の奴はやってみないと分からないな」
「おう、まぁ詠唱してみな」
教えられた魔法を唱える、先ずは『屍使役』だ。
「『屍使役』!!」
そう言うと地面から汚れた鎧を着こんだ戦士が出てくる
それなりに魔力を込めたそれは結構な風格を持っていた。
「おお~『デッドファイター』か、良い手駒だろ」
「意外と疲れないし…自在だな、凄まじい」
「魔力の注ぎ具合で力が変わる、今度は複数出してみな」
「おう、『屍使役』!」
今度は鎧を着ていない白骨化したものが三人出てきた
今度は弱そうだ。
「組体操させろ」
「んぁ!?っと…」
念じ上げて動かすが、上手く動かずぶつかり合って崩れ落ちた。
「ダメだこりゃ」
「あはは、そりゃそうだ、今度は強めの奴複数でやってみな」
「おう…」
もう一度複数デッドファイターを出す
今度はさっきより深く考えずとも、勝手に解釈し動き出した。
「賢いな」
「うむ、リソースを多く注ぐほど賢く強くなる」
「成程なぁ…こりゃ便利だ」
「だろ?」
上手くやれば労働力にも無敵の兵団にもなる
凄まじい魔法だコレは。
「もひとつ行ってみよう、『死棘武装』だ」
「了解、『死棘武装』!」
掌から真っ黒な中に深紅の呪詛が浮かんだ刃が生えてくる
恐ろしい雰囲気であり触れるだけで死を感じる。
「それ出せるなら後は想像力の勝負だな、大まかな特徴は単純
触れたら死ぬ、魔力勝負でしか防げない」
「成程…了解した」
『屍使役』とは違う、シンプルな物
それ故に凄まじい力がある魔法だ。
「簡単だが簡単には使えないな」
「だろうな、それをわかるなら良い」
「…おう」
死霊魔術は、恐ろしいほどに強力でそうでありながら
ほとんど制限が無い、暴君にもなれる、本当にヤバい。
「大事に使えよ、その才能」
「………ガストさんって、昔他の死霊魔術士見たことあるんですか?」
「見たよ、やばかったから殺した」
「………………」
「お前拾ったのはそうなって欲しくないからだ
なるなよ、なったら化けて出る」
「……わかった」
身震いしたが、覚悟もした
それだけの力があるのは分かるからだ。
「じゃあ……今日はそろそろ登校しな
もう日が出てきた」
「………はい、わかりました」
朝日を見ながら、俺は決して暴虐の為に力は振るわないと
心に誓ったのだった。
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