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第十二話:『タルパとかとは違うんだと思う』

「本日づけで中央組に所属することになった

 シルヴィエ・ガスティアだ!よろしく!」


この名乗りを上げるチビはこの国の大英雄かつ

神話の賢者シャルベデ・ガストである。

この国を憂いて…なぜか俺を王にする気で

この学校にやってきた

なぜか女子になり。


「…カルネ先生、アレ」

「そうだぞ」

「おお主よ…」


信じがたい姿なのはまぁ言わずもがな

しかし主に祈っても意味ないだろう

だって神話的に考えれば主よりこの賢者のが

偉いってなんかの法典に書いてた。


「反応が悪いなぁ…

 こちとらこの国でも指折りの美少女なのに ま、いいや」


やめろ、それ以上はマジで空気が凍る。


「無駄に明るいが、所詮中央組行きとなれば

 何かしら理由はあるのだろう」

「貴族のガキと喧嘩したくらいカナ~?」

「やべえヤツが増えただけか」


テメェも大概だろうがなコンロル…。


「と、取り敢えず今日も一緒に頑張りましょう!」


お労しや先生…まぁ、これでクラスの半分以上は

真面目…でなくともしっかりやってくれる

あとはじっくりと懐柔だな。


「ふん、仲良しごっこなら勝手にしてろ」


…コンロル当たりに接触するか。




「なんだお前、有名人が構ってくれるなよ

 悪目立ちは勘弁だ」

「馬鹿言うな、こっちは目立ちたいわけじゃねぇっての」

「なら精々意識するんだな、じゃあな」

「おいコラ行くな!お前もこっち側になるんだよ!」

「離せ!僕ぁお前みたいな強さを傘に着て好きやる奴は大嫌いなんだ!」

「笠に着てたまるか!馬鹿貴族黙らせるためにしてるだけだ!」

「じゃあなんだお前あの女共!」

「クラス評価上げるために地道に手を貸してんだよ!!」

「なら尚更関係ないね!僕ぁ勉強する以外ここに来る意味はない!

 無論評価もな!」

「クラス評価上げねぇとここの施設使える分けねぇだろマヌケ!」

「は?」

「ん?」


………………コイツ、知らなかったのか?


「いや……この前は確かに清掃中と突き返されたが

 禁止とは…」

「体よく帰されてんじゃねぇか!」

「…………な、んな……」

「あのな、クラス評価上がらねぇ限り

 中央組な時点で連中は好き勝手できるんだ

 高評価を得て初めてスポンサーが口出しすんだ」

「………………むむ……」


信じられないといった顔をやめて考え込む

まぁ賢そうなのはわかるからな、物わかりの悪い奴じゃないだろう。


「だが、そう簡単に上げられんだろう、貴様ほど強くないしな

 僕のやる事は…そもそも僕の目的のためでしかない魔法だ」

「できねぇよか全然マシだ、一度見せてもらえないか?」

「ちっ…まぁ背に腹は代えられないな、わかった」


そういって魔法を展開する、闇魔法を使ってるのか。


「『人形生息圏(ドールハウス)』…おはようフィーナ」

「…おはようございます、コンロル」

「成程、人形に魂を込めて…?」

「いや違う、僕の魂の分割だ」

「どうも、ハルツェン・カルネさん

 私はマリオン・フィーナ…です」

「自身の魂の分割…かぁ」

「うむ、一見すると便利に見えるかもだが

 これは魔力の総量も共用だし、出力なども分割だ

 故にあまり便利じゃない」

「無力な人形ですいません…お役立て出来るとよかったのですが」

「ふむ…」

「まぁ…そういう用途では無かったからな」

「いや、だがそういうのは詳しい知り合いがいる

 魔法の専門家がな」


と、いう事で今回もガストにお願いするつもりだったが…。


「いいよん、見てあげよう」

「ゲ、イカれ女…カルネ、コイツなのか」

「まぁ…そうなんだ」

「マジかよ…」


大分困った顔をするが、仕方ないと割り切ったらしい。


「だけど、僕の『人形生息圏』は

 僕自身の能力まで分割だから厳しいぞ」

「そうかい?見せてみなよ」

「…起きてくれ、フィーナ」

「どうも」

「ふ~~ん…」


何かが気がかりなのか、しきりに見つめ直すガス…ティア。


「ちなこの子はどういう子?

 君の分霊にしちゃあ、個体として確立され過ぎてるが」

「昔はここまでじゃなかったが…アニマ?だったかな

 自身の中の女性的側面だとか色々意識したらこうなった」

「ほうほう…意識だけでここまで明確な他人を魂に宿すのか」

「今は…フィーナにしっかりとした身体を与えたくてここまで来た

 まさか、中央組にまで落とされるとは思わなかったけどね」

「成程ねぇ…よし」

「ん?」

「ま、ここは特訓しかあるまい!」


悪い予感俺と…コンロルは感じたのだった。

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