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第十話:『俺無職、王に内定した模様』

「『魂構築(ソウルエミッター)』!」


彼女がそう唱えると、その手元には美しい花が芽吹く

いくら魔法とは言え、毎度毎度生命を気軽に増やすのはアレなので

植物を作り出すことで制御を覚えることにしている。


「特薬草です、高級品ですね!」

「んじゃ次は硝子薔薇だな」

「ええ!?」


中々難しい題だが、イザナミならいけるだろ

こちらは作り出された草木に死を覆わせて

そのままならすぐにでも枯れ散るようにして

生命魔術で死なぬように維持させるのも並行だ。


「むむむ…むう!」



「イザナミちゃん、なんだか青春ですね」

「羨ましいかいお嬢ちゃん」

「…いえいえ、私もしっかり精進しなきゃ

 そういう事している場面じゃないので」

「ふむふむ…まぁ、そういうのなら手を貸すとも

 と、いう事で先ずは光の維持だね」


ガストが指先から太陽光をも全く通らぬ

暗い夜霧を広げてレリアをを包み込む。


「うう…『光球(フラッシュライト)』」


レリアの手のひらに光の玉が現れて

彼女を飲み込まんとする闇を遠ざける

しかしまだ淡くブレて弱弱しい。


「あわわ…消えちゃう消えちゃう!」

「感覚を覚えこむんだ、ポーズや体制を保つように

 魔術の形を構えとして思えこむんです」

「むううん!」


じっくりと詠唱を保って魔力の形が崩れないようにする

しかし、まだしっかりとコツがつかめず魔力が流出して

そして飲み込まれていく。


「きゅ~…」ばたん

「っと、まだまだですな アハハ」

「そっちはまだ時間がかかりそうかね」

「ま、光適性だけじゃねぇ?」

「五属性じゃねぇか、充分じゃねぇの?」

「…属性に関するネタ晴らしは、お前にはしておくか」

「…?」


そういうと、ガストは魔力の戸張を張って

声が漏れないようにして語りだした。


「実を言えば、無才能無適正というのは

 今の世において大多数である五属性適性持ちでね」

「………………は?」

「本来は君やイザナミちゃんみたいな五属性と別の

 特異な魔術が適性というものなのだよ」

「どういう事だ」

「ある種の陰謀か、策略だな

 私の没後何年かして、本来の無適性者である者たちが

 数を活かして国を乗っ取り、自らこそ適性ある者として

 君のような者が持つ適性を芽吹かぬように歴史から葬った」

「……ふむ」

「だとすれば何故私が何もせず死してなお、隠居しているか気になるって顔をしているな」

「そりゃあな」

「誓約さ、私はある種この国の守護霊だ

 私自身がこの国に歯向かうようなポーズは取れない」

「……ふむふむ」

「だからこそ、君に問いたい」

「………」

「王になるか?」

「俺が王に、か?」

「そうだ、王になるか、そして私が無様にも何もできなかった悲願を

 果たしてくれないだろうか?」

「………………いつもなら、まぁ考えさせてくれって言いたいが」

「ふむ」

「学園に来てわかったが、適性だか何だかでここまで人の尊厳が

 滅茶苦茶にされる謂れは無いんだよな」

「ふむふむ!」

「王になるか、俺は騎士にでもなる気だったが…

 今の国に尽くす義理はねぇもんな」

「よしきた!さすがは私の見込んだ死体だ!」

「死体やめろ、んで…王になるって言っても

 そう簡単じゃねぇぞ」

「まぁ、そこら辺は私が手を貸すさ

 と、いう事でお手を拝借」

「ん…?」

「『我が御霊、汝の運命の礎にならん』」


そういうとガストの体から光があふれ出て

俺の掌に吸い込まれていき、何かの紋章が浮かび上がった。


「なにこれ」

「主従紋」

「ゑ??」

「貴殿を主と慕い我がシャルベデ・ガストの御霊の

 最後の一片まで隷属し、任を果たさん…なんてね」

「ウッソだろおめぇなにしてんだよ!?」

「そりゃあお前、我が悲願だし姫の悲願だし

 それ託したお前は運命共同体だぞ」

「…わけわからんちんだ全く」

「どうせそのままだとぼっちキングだからな

 最低保証として私が見届けてやるから一緒に王を目指そう」

「…因みにこれって国に歯向かってないのか?」

「私の国はお前だ、今の国は敵国とす」

「重いわ」


ほんとこの幽霊どうしたもんか

そう思う王候補となった俺なのであった…。

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