表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/60

第八話 想像と違う!?波乱の初デート

歳上長身美女とのデートは、どのような格好にすれば良いのか。

翔太は悩みに悩んだ末、少し大人びた、ストライプのシャツに黒のパンツにした。

普段はパーカーにジーンズだったりするが、ここは相手に合わせた方がいいだろう。

小春はきっと男性経験が豊富に違いない(大いなる誤解)。

恥をかかせない為にも、夜通し考えたのだった。

あとは万が一に備え、フリ◯クを持参している。


「まぁ、いきなりキスはないと思うけど……うん、一応マナーだし……」


待ち合わせ所で佇んでいる間、延々一人で呟き続ける。

気合いが入り過ぎて、30分前に着いてしまった。

これから映画を観て、ランチに向かう予定だ。

どちらも既に下調べを終え、シミュレーションもばっちりしてある。

実はプライドを捨て、拓真にも助言を得ようとしたが、

『え!?誰と行くの!?か、彼女!?え!どんな子ー!?』

と執拗に迫られたので、放置して自分で決めた。

小春は喜んでくれるだろうか。

心身を落ち着かせようと、深く息を吐いていると、


「お、お待たせっ!」


小春の上擦った声が聞こえ、目線を遣った。

その先の光景に、翔太は言葉を失った。

彼女はえ?それ何処で買いました?と訊きたくなるようなヒールを履き、髪の毛をこれでもかと言う程ぐりんぐりんに巻き上げ、メイクも間違ったキャバ嬢のような、濃いメイクをしている。

おいおい、何があった。

普段のノーメイクの方が、余程素敵なのに。

しかもこのヒール……い、嫌がらせ……??

これだと小春さん、180越してるよ……。

並んだら連行される宇宙人じゃん……。

心の中でツッコミを繰り返していたら、小春が怪訝そうに、


「ごめん……変だったかな」

「!い、いや、いつもと雰囲気違うなって、驚いただけっす。じゃ、行きましょうか」

「……うん」


正直者な翔太は、お世辞にも『似合ってる』とは言えなくて。

申し訳ないと思いつつも、濁してしまった。

これは、想像以上に波乱の幕開けだ。

ってか小春さんの頭がいつも以上に高い!顔見れねぇ!!首いてぇ!!!

何となく無言のまま歩き、映画館に到着した。


「映画、どれにしましょう」

「あ、えっと……これにする??」


小春が選んだのは、超ド級の、ドストレートな、甘ったるい胸焼け100%の恋愛映画。

あれ?

前アクションが好きだって、話がめちゃくちゃ盛り上がったから、そのつもりだったのにな……。

落胆の色が顔に出たのか、小春の表情が曇った。


「嫌かな?別のにする?」

「えっ、あ、大丈夫っす!これにしましょう!」


慌て首を横に振るも、何となく微妙な空気が漂っていた。

チケットを購入し、席に腰かける。

人気の男性アイドルが主演なので、周りはほぼ女性ばかり。

少々肩身が狭かったが、これも小春の為だと自身を鼓舞した。

訪れる沈黙を何とかしようと、


「主演の人、好きなんすか?人気っすよね!」

「あ、そういう訳じゃないんだけど……」

「へぇ~、……」

「……」

「……」


オワタ。

会話、オワタ……。

いつもは止めどなく続くのに、今日はぶつ切りになってしまう。

小春さん、どうしたんだろう。

格好は変だし、笑顔も少ないし、別の人みたいだ。

でも大人の女性って、こんな感じなのかも。

だとしたら、……俺でいいのかなー……。

翔太はその横顔を一瞥し、今後を案じた。

次第に辺りの照明が落ち、眼前にある大きなスクリーンに、美形の男女が映し出された。

ご閲覧ありがとうございます!

気に入って貰えたら、ブックマーク・評価して頂くと大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ