第六話 歳上長身美女はハイレベル過ぎる
小さいロリ巨乳の女の子に憧れていましたが、バイト先の歳上長身美女に告られました。
「……ってライトノベルか、AVみたいな展開だな」
凌はゲラゲラ笑いながら、缶コーヒーを口に含んだ。
翔太は気怠げに頬杖をつき、ジロリと睨み付ける。
「他人事だと思って……こっちは大混乱なんだぞ!?」
「聞いてる分にはすっげー面白いもん。1日でロリ巨乳に振られ、男に殴られ、歳上長身美女に告られるとか、ドラマでもあり得ないもんなー」
「ううう」
確かに。
こんな悲喜劇、そりゃ茶化されても仕方ないだろう。
翔太は嘆息を吐き、頭を抱えた。
講義を終え、サークルに行こうとしていた凌を捕まえて、そのまま相談に乗ってもらった。
缶コーヒーを奢る、というセコい条件付きで。
「まぁとりあえずデートすれば?職場以外で会ったら印象変わるかもよ?」
「……んー……」
凌の最もアドバイスに、しかし翔太は乗り気ではなかった。
無論、小春が嫌なのではない。
いや人としては好きだ、大好きだ。
だが……恋愛経験がほぼない童貞(黙れ)には、いきなり歳上長身美女はハードルが高すぎる。
今までAVだってロリ巨乳ものばかりで、妄想だって自分より小柄な子とばかりで。
「……俺、ヤる自信ねぇ~……」
「はぁ??」
つい漏れた心の声を聞き、凌は眉を顰めた。
あ、ヤバい。
俺、阿保だ。分かっちゃいたけど。
翔太は仰々しく首を左右に振り、
「いや、そのっ!ほら、やっぱいきなり長身美女は……」
「あのなぁ、その前にも色々あんだろ、童貞くん」
凌は人差し指を立て、額をピンと弾いてきた。
痛くはないが、あまりに悠然とした態度に、少しムッとする。
「何だよ」
「ヤる前にさ、手を繋ぐ、キスする、がまず先じゃね?」
「……あ」
俺は最低だ(知ってた)。
頭の中が酒池肉林過ぎて、肝心なことを忘れていた。
そうだ、やらしいことばかり考えていては、小春に対して申し訳ない。
その前に恋愛対象として見れるのか、触れたいと思えるのか、キスしたいと感じるのか。
確かめなくてはいけないことが、沢山ある。
話はそれからだ。
「そう……だよな!うん!ありがとう!凌!!」
「何だよ、急に。ま、せいぜい頑張りなー」
唐突に盛り上がると、凌は苦笑を漏らした。
口は悪いが、的確な進言をしてくれる彼に、感謝の念を抱く。
とにかく、小春とデートしてみよう。
そこから何かが分かるはず。
翔太は持ち前の明るさを取り戻し、前向きに考えた。
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