第五十二話 VS爽やか長身イケメン
見れば見る程、憎らしくなるくらいイケメンだ。
翔太はアイスティーを口に含みながら(さすがにお腹がたぷたぷになってきたぞ)、眼前にいる『ライバル』を観察していた。
雄大は至って悠然としており、アイスコーヒーを美味しそうに飲んでいる。
若い女性が多くいるこのカフェで、全員が彼に注目していた。
けっ、女って奴は、イケメン長身に弱すぎる!
俺もロリ巨乳は大好きだけど!!
今は小春さん一筋だー!!!
と伝えるべきかどうか、ひたすら躊躇していた。
すると、
「で、用件は何?小春のことかな?」
……。
……今、何と……??
突然ため口になったのは、とりあえず置いておいて。
こ、こ、ここ小春!!??
まさかの呼び捨てえええ!!??
初っ端から衝撃的な展開に、開いた口が塞がらなかった。
分かりやすいリアクションをする翔太に、雄大はクスクス笑い、
「ごめん。不愉快だよね。でも俺、実は小春より歳上でさ。これからずっと一緒に働くんだし、呼び捨てで敬語もなし、ってことになったんだ」
「ほ、ほほう……」
何やら悪代官みたいな相槌になってしまった。
いや確かに、それは自然な流れかもしれない。
あんな狭いフランクな職場で、歳上なのにずっと他人行儀では疲れるだろう。
でも、本音を言えば……嫌だあああーーー!!!
俺なんて、妙に体育会系なとこがあるから、延々さん付け&敬語だったんだぞ!
結ばれてからも、礼儀を弁えて続行したんだぞ!
なーのーに、ほんの数日前に入ってきた若造(歳上だけど)に出し抜かれるとは……おのれ、一生の不覚……。
心の声すら悪代官みたいな口調になり、いやここで踏ん張らなければと、必死に作り笑いをする。
「いやぁ、助かりました。笹野さんが来てくれたおかげで、あのお店は安泰ですから。俺も就活に専念出来るし」
「でも、本当にいいの?翔太くん、小春と付き合ってるんでしょ。本来なら二人が結婚して、跡を継ぐのがベストだと思うけど」
「そこはもう、話がついてますし、お互い納得してるんで。大丈夫です」
「ふぅん。俺なら嫌だなー。好きな子と自分以外の男がずっと一緒なんて。……奪われそうじゃない?」
ゾクゾクッ。
背筋に悪寒が走り、思わず身震いした。
雄大は相変わらず表情を変えず、余裕を感じさせる。
こ、こいつ……やっぱりただの長身イケメン爽やか野郎じゃないな!?
一気に警戒心を剥き出しにすると、雄大は笑みを深めて、
「ふふ、意地悪だったね。でも一般的な意見だと思うよ。俺と小春は年も近いし、彼女はとても魅力的だから」
「!そ、それはそうですけどっ。笹野さんはそういうつもり、ないんでしょう?」
「さあ、それはどうかな」
そう返す彼は、大人の色香を漂わせており、同性から見ても魅惑的で。
脳裏が不安に支配された。
こ、これは宣戦布告……!?
こいつ、小春さんのことが既に好き……なのか……!?
こ~いしちゃったんだ、多分~♪って奴なのか……!?
色々と詰問したいのに、ショックのあまり言葉が出てこない。
愕然とする翔太を余所に、雄大は颯爽と立ち上がり、
「ま、就活頑張って。応援してるよ」
「は、はぁ」
「ここは払っておくからね、『先輩』」
そう優雅に立ち去る姿に、周りの女性達は皆陶然として見惚れていた。
翔太も見惚れそうになった。
……ってライバルにうっとりしてどうするー!!!
ヤバいヤバいヤバい。
やっぱりあいつ、小春さんを狙っているんだ。
あんなイケメン長身に迫られたら、いくら純粋無垢で天使な彼女でも、揺らいでしまうかもしれない……!
それは絶対に阻止せねば!
「な、何とかしなきゃ……おっしゃー!!」
翔太が一人闘志を燃やしていたら、周りの女性達は先程とは打って変わって、冷ややかな目線を注いできた。
本当に正直だな、おい。
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