第四十九話 ここにきてライバル登場!いや長身イケメン多すぎだろ
それからの翔太は、生まれ変わったかのように、就職活動に邁進した。
次から次へと、興味のある企業を片っ端から当たっていく。
今までの遅れを取り戻すべく、説明会に熱心に足を運び、先輩から面接の極意を教えてもらい、実践していった。
結果はー……不採用の嵐だった。
「何故だあああ!!!」
何処までも続く、CGみたいな晴天の元。
リクルートスーツに身を包み、カレーパンを片手に翔太は、思わず咆哮した。
対して凌は余裕綽々で、ブランド品の白いシャツと黒いパンツという、ホストを彷彿させる装いだった。
彼は年齢に見合わない、悠然とした振る舞いで、
「まぁま、まだ10社だろ?これからだって」
「既に20社だよっ!気になるとこは殆ど受けたよっ!」
「100社以上落ちる奴だっているんだからさ。気長にいこうぜ」
「だよな……ってお前は就活してないだろ。親の会社継げばいいんだろ」
「あ、バレたぁ??」
「くうう」
こいつに相談したのが馬鹿だった。
翔太はジロリと睨み付け、唇を尖らせた。
幼稚な行為だと、自覚はしているけれども。
大学の敷地内に設けられているベンチにて、二人の不毛な会話は続けられた。
「もしもの時はうちに来いよ。翔太なら即採用するって」
「それは……有り難い、けれど……」
凌の気遣いに、つい心が揺れてしまう。
そりゃそうだ。
何せ彼が継ぐ企業は大手も大手、そこに勤めれば将来は約束されたようなもの。
しかし所謂コネで入社をするのは、どうしても気が引けた。
甘い考えなのは、重々承知なのだが。
「もうちょい自分で頑張ってみるよ。でないと、おやっさんにも認めてもらえないだろうし」
生半可な気持ちで就職して、小春を幸せに出来るとは思えない。
やるだけのことはやらないと、申し訳ない気がする。
凌はフッと口元を緩め、くしゃくしゃとこちらの頭を撫でて、
「そう言うと思った。ま、やるだけやってみろよ。いざとなったら、来たらいいから」
「サンキューな。俺、凌に助けられてばっかだわー情けねーや」
「んなことねぇよ。……元はお前が、救ってくれたんだし」
「ん?」
「いーや、何でもないっ!とにかく、頑張れ。愛の為に」
「おうっ」
愛の為に、か。
これ以上ない励ましだ。
今こそ小春さんの笑顔を思い出そう。
いつもはキリッとしている瞳が、俺の前だと蕩けて愛らしくなって、白い清潔な歯が唇の隙間から覗き、堪らなくキュンとする、……。
何だか、会いたくなってきた。
近頃LINEばかりで、直接顔を合わせていない。
バイトも就活が落ち着くまでは、休ませてもらうようにしている。
会いたいな。
会って、その、イチャイチャしたい。
そうすれば、これからも頑張れる気がする。
「久しぶりに、お店行こうっと」
そう決めたら、急に気持ちが高揚してきた。
こうなったら何も言わずに、サプライズしちゃおうっと。
きっと小春さんも喜んでくれるはず!
『え、なに、翔太~!会いたかった♡』とか、甘えてきたりして……ムフフ♡
途端に気持ちが上向いた翔太は、スキップしそうな勢いで、中華料理屋へと向かった。
寂しい想いをさせてごめんなさい、小春さん。
今直ぐに、未来の旦那さんがそちらに行きますよー……なんて。
間抜け面全開で、惚気ていたのだが。
店の扉を開けると、そこには。
営業時間外にも関わらず、見知らぬ長身イケメンが立っていた。
「!!??」
「あ、すみません、今まだ準備中なんですよ」
「!?!?」
まるでベテランの従業員のようなこの振る舞い……何者だ!?
淡いブルーの瞳に、陶器を彷彿させる白い肌、それに映える真っ赤な唇……。
え、お前は芸能人か??
兄貴や凌に勝るとも劣らないイケメンを見るの、初めてかもしれない。
しかも……デカい……完全に見下ろされている……!!
翔太は動揺のあまり、暫し身動きが取れなかった。
そこへ、
「あ、翔太~久しぶりっ!ちょうど良かった」
「こ、小春さんっ」
いつもと変わらぬ態度の小春が現れ、ホッと胸を撫で下ろした。
のも束の間。
「この人、うちの跡継ぎになってくれるの。笹野 雄大さん。仲良くしてね!」
長身イケメンの衝撃の正体を知り、漫画の如くボトリと、鞄を床に落としてしまった。
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