第二十八話 ついに脱・童貞!?男を見せる時がきた!
後日、改めて翔太と小春は例のアスレチックのある施設へと赴いた。
翔太は引け目を感じ、「べ、別の所にしない……?」と提案したのだが、小春が「体、動かしたいの」と頑として譲らなかったのだ。
……未だ遺恨は少し、少しは残っているのかもしれない。
しかも、
「ほら、翔太!次はボルダリングするよー!」
「は、はひ……」
小春の体力は底無しで、年下なのに翔太は着いていくのに必死だった。
体は悲鳴を上げているけれど、でも。
「こんなに動くの久しぶり~」
と楽しそうにしている彼女を見ていたら、胸が温かくなる。
しなやかな長い足も、やけに艶っぽく見えて……。
ハッ!?
俺、今小春さんに『ムラムラ』してる!?
今まで『キュンキュン』ばっかだったのに!
これは朗報だ!!!
翔太は直ぐにでも凌に伝えたかったが、さすがに阿保過ぎると気付き、何とか踏み止まった。
にしても、やはり小春は魅惑的な人だと思う。
周りにいる男性からも、チラチラと目線を遣る人が多い。
そうか、俺はロリ巨乳にばかり意識がいって、彼女の外見の良さー勿論、内面は元から大好きだがーをちゃんと分かってなかったかも。
ここは自分がしっかりしなくては、他の男共に狙われる可能性が高い。
愛する人を守る為にも……筋肉をつける!!!(やはりちょっと、阿保)
なんて決意を新たにしたところで、
「ねぇ、翔太も一緒にしよっ」
「はい、任せて下さいっ!」
「おっ急にやる気満々じゃん」
「へへ。小春さんの為にも、筋肉つけなきゃ駄目っすから」
「?よくわかんないけど、頑張れ!」
バカップル丸出しのやり取りをするも、当人達は至って真剣であった。
それからアスレチックを存分に満喫し、少し大人ぶって予約した、お洒落なイタリアンでディナーを楽しんで。
自然と手を繋いで、街中を散策した。
翔太は小春の横顔を、そっと盗み見る。
『可愛い』よりも、とにかく『綺麗』と形容したくなる顔立ち。
その中でもつい見てしまうのは、淡いピンク色の唇。
程よく肉付きが良く、さぞかし心地良いに違いない。
おっし!今日こそは、今日こそはキッスを……!
……しかし、あああ、身長が届かない!
背伸びしないと無理!いや背伸びしてもいけるのか、これ!?
うう、シークレットブーツ履いてこれば良かった……。
どうすればスマートにキスが出来るか、真顔で思案していたら。
「翔太」
声を掛けられ、不意に顔を上げる。
瞬間、唇に柔らかな感触が降ってきた。
直ぐ眼前に、見上げた先にあるはずの端整な顔が、瞼を閉じてある。
え、温かい。
気持ちいい。
何だこれ。
これ……キッスだあああ!!!
思わず興奮してしまい、瞼を閉じる余裕もなく、徐に温もりは離れていく。
「……ふぇ……」
しまった……。
間抜けな声が出た……恥ずかしい……。
てか俺がリードするつもりだったのに……けど……。
キッスって気持ちいいー!!!
ありがとう、神様。
こんな崇高な行為を、人間に与えてくれて、ありがとう。
翔太は心の中で合掌し、小春は頬を朱に染め、唇を噛み締めていた。
そのいじらしい姿がまた、欲望を掻き立てる。
「ごめん、ついしちゃった」
「!いえ!嬉しいっす!俺からしようと思ってたし、むしろラッキーっていうか!」
「はは、そっか。なら良かった」
彼女は一端間を置き、じぃっとこちらを見据えて。
「本当に、感謝してるんだ。翔太のおかげで真里菜とも仲直り出来たし。優しいなぁって」
「あ、いやそれはその、小春さんと凌の為で……特に何もしてないし……」
照れ臭くて、つい謙遜してしまう。
実際そうだ。
自分はただ事実を小春に伝え、仲直りを促しただけで、後は彼女の優しさが生んだ結果である。
それでも小春は満足だったらしく、
「ううん。あんな酷いことされたのに、なかなか出来ることじゃないよ。……惚れ直しちゃった」
oh!yes!!!
まさかの怪我の功名、逆に好感度が上がるとは。
翔太は人差し指で鼻の下を擦り、目尻を下げた。
小春はそれをいとおしげに眺め、そして。
「今度さ、店を休んで、親が旅行に行くの」
「へえ、良かったっす!オヤジさん達もたまには休まないと」
言葉の意図を直ぐに呑み込めず、何とも的外れな返しをしたことに、暫くしてから気付いた。
彼女はひたすら、真摯な眼差しをこちらに向けてきて。
……ん?
両親が家にいない、とな??
これ、漫画で読んだことあるぞ。
えっとえっと、女の子がこう言う時は、えっと。
「……家に、泊まりに来ない、かなぁって……」
キターーー!!!
ついにこの瞬間、キターーー!!!
さようなら、童貞の翔太。
こんにちは、一皮剥けた翔太。
歳上長身美女が初めてなんて、エロいなーやるなー俺!!!
と脳裏でドンドンパフパフと、祭りが開催されていたが。
無論表に出す訳にはいかない。
翔太は自分史上最高の『イケてる』顔を繕い、
「はい、是非。よろしくお願いします」
平静を装って、頷いたのだった。
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