第十四話 男としての身嗜み、それは筋トレ
「マジかー!おめでとー!!」
朝一、翔太は講義が始まる前に凌と落ち合い、小春との顛末を打ち明けた。
気持ちが高揚して、早く話したくて仕方なかった。
彼は我が事のように祝福し、喜んでくれて。
感謝の念で、胸がいっぱいになる。
「これも凌のおかげだよ。ありがとな!」
「んじゃ、次はランチ奢れ~。ハンバーグ定食」
「おーい、お坊ちゃんが庶民にタカるなって!」
「え~こういうのは気持ちだろ?」
なんて茶化す凌も、心なしか浮かれているように見える。
こちらもますます、笑みが深くなる。
苦節20年。
紆余曲折を経て、やっと彼女が出来た。
この想いを親友と分かち合えるのは、有り難いことだ。
「あとは、いよいよこれからどうするかだな」
凌は人差し指を唇に当て、呟いた。
翔太は一瞬首を傾げたが、直ぐに真顔になる。
「そうなんだよ……あ、でもおでこにチューはした!」
「ぷっ!おでこにチューって!ほんっと翔太は可愛いな~」
「う、うっせー!俺にとってはこれが限界だったんだよ」
そりゃ色んな女の子とうふんあはんな凌からしたら、阿保らしくて仕方ないだろう。
ふん。いいんだ。
こっちだって、童貞卒業間近なんだから!……多分。
そこでフッと、とある疑問が浮かんだ。
「なあなあ。凌はさ、自分より身長高い子とヤッたことある?」
「んー?」
凌は暫し目線を泳がせ、瞼をそっと閉じた後。
「ないな。っつーか、自分より身長高い子と出会ったことがない」
ですよねー!!
はいはい、愚問でした。
訊いた俺が馬鹿でした。
すっかりご機嫌を損ねたら、凌は苦笑を漏らして。
「おい、拗ねんなよ~事実なんだから」
「拗ねてねぇし!んなガキじゃねぇし!」
「まぁまぁ。レクチャーはしてやれるからさ。任せとけって」
憎たらしいくらい屈強な、女の子なら誰もが惚れ込む腕を、こちらの首に回してくる。
なるほど。
やはり俺にはまだ、筋肉が足りない!!
とりあえず筋トレを強化して、小春に負けないよう身体を鍛えておこう、と密かに決意した。
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