第十話 頼りになるトップオブチャラ男
歳上長身美女とのデートに格好つけて行ったら、まさかの壁ドン顎クイされ逃げ出しました。
「ってドラマもびっくりの展開だなーすげぇ~」
「ぐぐぐ」
翌日。
翔太は早速凌にデートの顛末を報告し、案の定笑われた。
無論彼が現場を目撃していたことなど、露知らず。
涙目になりつつ、怒涛の如く全てを打ち明けたのだった。
学内に設けられたベンチで、ジャムパンを握り締めながら。
「俺さ……小春さんなら、ロリ巨乳じゃなくてもイケるかもって……いやそんな、上からなつもりないけど……好きになれるかもって思ったんだけど……はぁ」
翔太はぼんやりと、歪な形になったジャムパンを見詰めた。
何で、小春はあんなに変わってしまったのだろう。
普段どおりだったら、きっと楽しかったのに。
挙げ句壁ドンに顎クイなんて……男のプライドがズタズタだ。
職場で会うのも気まずい。
せっかく築き上げた関係が、更に崩れそうで。
どうしたらいいものか、ひたすら思案していると、
「一回のデートで決めることないんじゃねぇの?」
凌のアドバイスは、目から鱗だった。
キョトンと首を傾げる翔太に、彼は小さく口角を上げる。
「向こうだって緊張してたのかもよ?歳上が皆経験豊富とは限らないし」
「……え……」
「俺も昔付き合ったことあるけど、意外とウブだったからな。だからさ、『普段どおりの貴女とデートしたいです』って、正直に言ってみな」
「!……そう、だよな……うん……さすがトップオブチャラ男……!」
「うっせーよ」
照れ隠しで、つい茶化してしまうが。
それこそ百戦錬磨な凌の意見は鋭く、いつもハッとさせられる。
そうだ。
たった一回のデートで決めるなんて、馬鹿げてる。
きっと本当の小春さんは、あんなのじゃない。
俺は……これで終わらせたくない!
よし!
やっぱり持つべきものは、チャラ男な親友だな!
と翔太は瞳を輝かせ、彼の肩をバシバシ叩いた。
「サンキュー!なんか元気出た!やっぱ凌はいい奴だなー!」
「ふふっ。単純過ぎるだろ」
と言いつつも、凌は満更でもなさそうだ。
クールに見られがちだが、実は友人想いの熱い人間だと知っている。
翔太もようやく笑顔と覇気が戻り、早速実行に移そうと、一人意気込んだ。
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