4/4
東風の歌
あのそよぎは、なにをいみするのかしら。
東風がうれしいたよりを運んでくれるのかしら。
風の翼のさわやかな羽ばたきは、
ふかい胸のいたみをひやします。
風は、愛撫するように砂塵をもてあそび、
軽い小さなかたまりにしてまいあげ、
たのしくむらがる羽虫たちを、
安全なぶどう棚へおいやります。
太陽の灼熱をこころよくやわらげ、
わたくしの熱い頬をひやし、
野や丘の上に、かがやくぶどうに、
ただよいながら、接吻します。
そして、かぜのしずかなささやきはわたくしに、
あのかたの千のあいさつを運んでくれます。
日が暮れて、この丘が暗くなる前に、
千の接吻が、私にあいさつしてくれましょう。
では、東風よ、お前は先に行くがいい。
おまえの友達や、悲しむ人たちのために。
あそこ、高い城壁が夕日に輝くところで、
まもなく、私は最愛の人に会いましょう。
あぁ、ただ、あのかたの息だけが私に、
まことの心のしらせを与えてくれます。
愛の息吹と、さわやかな命は、
ただ、あのかたの口から与えられるのですから。