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母の記憶
長い間、私は、ほこりにまみれた白日の世界を歩きました。
あなたの姿からすっかり見放されて、自分だけを頼りにして。
いま私はかずかずの目あてに欺かれ、
異国で休息しています。
思い出のかおりに包まれ、
昔のころの客になって。
世間がすっかり見捨ててしまった悲しい時にも、
あなただけは居残って、
私に、
失った楽園のたよりを伝えてくれます。
私がもう神様を忘れたことをあなたはとっくに許してくださいました。
暗やみの谷から私はついにあなたのもとへ帰ります。