Game set.(試合終了)
聖葉側のスパイクが決まって歓声が起こる。
最終セットもやっぱり交代で点を取り合う展開でもつれてる。今は二点を追って相手のマッチポイントという大ピンチ。そこで陽菜ちゃんのスーバーレシーブが出た。誰もが諦めたワンタッチボールを飛びついて拾ったのだ。
沸かないわけがない! さすが陽菜ちゃん!
糖分がよく燃えているのかな、最終セットの陽菜ちゃんは第一セットよりエンジン全開だ。
「なんで全国大会とかじゃないんだよ、もったいない!」
試合はもう緒方さんの方が熱中してるみたい。
「あと何点取ったら勝ち?」
「もう1点でデュース。そこから2点連続で取れば勝ちです」
「なるほど」
「でも、先に1点取られたらそこで負けです」
「むむむ。でも陽菜がいれば――て、あれ?」
陽菜ちゃんが代わりの選手とタッチしてコートから出てしまう。
「あ、そっか、ローテ―ション!」
陽菜ちゃんは前衛に立てない。ローテーションが回ってくれば交代しなくちゃいけないのだ。
「うあ~よりにもよってこのタイミングで~~」
緒方さんの嘆きも空しく試合は再開される。
「聖葉がんばれ~!」
そして――
陽菜ちゃんと交代した選手のスパイクがブロックされ、あっけなく試合は終わった。
……………………
……………
「いい試合でした」
わたしたちはとても自然に拍手していた。
礼を終えてコートから出てくる選手たちを陽菜ちゃんが出迎えている。
「あ~あ、陽菜が入ってたらなぁ」
たしかにブロックに弾かれた最後のボール、陽菜ちゃんなら追いつけたかもしれない。
特に深く肩を落とした選手がいる。交代で入って最後のスパイクを打った子だ。陽菜ちゃんが何か声をかけてるけど、ここでは聞こえない。
「あ……」