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僕が死んだ日
僕は、普通の高校生だ。勉強も普通、運動も普通。
特になんの取り柄もない、主人公の友達にもなれないそんな僕。
今日も学校は当然のように終わり、自然な流れで僕の友達の保科実篤と家に帰る。読みたい漫画があったから、本屋に実篤と立ち寄ったその帰り道に事件は起きた。
女性の悲鳴がして、駆け寄ってみると、そこには包丁を持ち暴れている人がいた。冷静さを失っているのか、言葉は聞き取れずただただ喚き散らしていた、それはまるで人生に抵抗する様に僕は目を奪われていた。
男は、一心不乱に僕達の方に駆け寄ってきた。実篤は突然の動きに反応ができていなかった、実際僕もそうであった。
けれども、体が自然と動き実篤を突き飛ばし、僕の胸に燃えるような熱さを感じていた。膝から崩れ落ち、アスファルトと靴だけが見える。痛みと熱さの中で、実篤の声は悲鳴によってかき消されていた。