第四話 悪に染まりし、ヤギイヌの子供B
ヤギイヌの子供Aがいたので、近くにヤギイヌの子供Bもいると、モコネコは考えます。
しかし、ヤギイヌの子供Bは、モコネコに恨みを抱くようになりました。
愚かにも、徐々に凶悪な力を身に付けていきます。
「くっそー、モコネコ、あいつのせいで家族はバラバラだ!
近くにいるあいつの好きな人間を、片端から襲ってやるぜ!」
汚いヤギイヌの子供Bは、悪い考えをするようになり、何の罪もない人間を襲うようになりました。
その人々の悲鳴を聞き、モコネコは駆け付けました。
「ああ、人々の悲鳴が、まるでオルゴールのように心地良い……。
おっと、うっとりしてる場合じゃない! お金を稼ぐチャンス!
ここの村長と交渉してお金を払う交渉をしてから、ヤギイヌの子供Bを倒さなければ……」
モコネコは村長と交渉をし、ぼったくりに成功しました。
後は、邪悪なヤギイヌの子供Bを倒すだけです。
それは容易だと、モコネコは考えていました。
モコネコは雄らしく、一対一の勝負に挑もうとします。
「おい! 残虐非道なヤギイヌの子供B、お前の悪行もここまでだ!
今すぐにやめるというなら、命だけは助けてやるぞ!」
「フン! 俺様の牙には、猛毒が仕込んであるのだ。
一噛みで、貴様をあの世に送ってやることも可能なのだ!」
モコネコはそれを聞き、考えを巡らしました。打開策を考えていたのです。
そして、モコネコは村人にこう言いました。
「奴に近づくのは危険です! みんなで石を持って来て、石打ちにしましょう。
もう、これしか方法がないのです!」
村人はそれを聞き、村人総出でヤギイヌの子供Bを石で攻撃しました。
ヤギイヌの子供Bは、モコネコの強さの前に逃げ回ります。
「はっはっは、百人総出で攻撃すれば、貴様ごとき、一分ほどでけりがつくわ!
このオイラの必殺技、無限飛礫を喰らうがいい!
オイラを相手にしたことを、後悔しながら死んでいくがいいわ!」
「キャイーン! キャイーン!」
ヤギイヌの子供Bは、村人総出の無限飛礫により、無残な最期を迎えました。
「クウーン……」
最後にそう鳴き、息を引き取ります。
「せめてもの情けだ。丁寧に埋葬してやってくれ、息を吹き返さないようにな!」
「分かりました」
村人達の手により、ヤギイヌの子供Bは丁寧に埋葬されました。
解答編 真実はこうです。
ヤギイヌの子供Bは、狂犬病に伝染しており、そのために村人を襲っていたのです。
モコネコはそのことを知り、村人を集めてヤギイヌの子供Bを殺したのです。
ヒーローには、際どい判断を迫られる場合もあります。
非情な判断をしなければならない時もあるでしょう。
その決定を他人に任せることができない場合もあります。
そう言う大切な場面でも逃げずに、責任を持って行動したモコネコは、紛れもないヒーローなのです。




