第二話 ドクターブラックの手先ヤギイヌ!
メアリー先生の敵ドクターブラックは、アレルギーになりにくいヤギの乳を改良し、更にイヌ並みの頭脳を持たせた恐るべき生物ヤギイヌを生み出しました。
「よし、成功じゃ。ヤギイヌよ、更に子供を作り、どんどん子孫を量産していくのじゃ!」
こうして、ヤギイヌに子供A、B、Cが誕生しました。そして、ブラック牧場で子育てをしていました。
その牧場付近をパトロールしていたモコネコは、人間の子供達を見付けます。
「クンクン、この辺に金のニオイがプンプンするぞ。
あ! 将来はニートにしかならなさそうな屑人間の子供達だ。
オイラのションベンを喰らえ!」
モコネコは素晴らしいコントロールで、子供にションベンを浴びせます。
「うわ―ん、空から臭い水が降って来た。うわ―ん、お母ちゃん!」
子供達は、泣きながら家に帰って行きました。
モコネコは金のない子供に怒りを感じ、こう悪態を吐きます。
「ふん、金のない人間などさっさと帰って寝ろ!
そして、将来は運動選手となり、イチローのような偉大な記録を残すがいい……。
子供は夜十時くらいに寝るのがベストです。
成長ホルモンが大量に放出され、運動選手のような良い体格になれる可能性が高くなります。
そして、将来稼いだお金で、メアリー研究所に多額の寄付をしましょう!
あなたの大金が、のちのちの世界を救うのです!」
モコネコが言うことは、一理あります。
大人は自分の子供を可愛がりますが、時には厳しい対応を取ることも必要なのです。
(ふー、今日もオイラは良いことをしたぜ!
ニートになりそうな何の才能もない憐れな少年を、運動選手という未来あふれる体格にする手助けをしたのだからな……。
無能な母親百人分以上の働きをしたのは、間違いない!
ちょっと、近くのカフェでお茶したい気分だぜ!)
すると、モコネコは、ヤギイヌ親子が食事をしている所を目撃したのです。
「あれは、ドクターブラックが大金を叩いて生み出したヤギイヌだ!
なんでも、子育てしかしていない母ヤギだとか……。
オスは、ヤギか、イヌをそのまま交配させて、母親だけが特別製らしいな。
子供はハーフだが、お乳は特別製になるらしい。よし、早速調査開始だ!」
モコネコは、ヤギイヌに近づきこう言いました。
「ヤギイヌさん、あのー、あなたのお乳を少し飲ませてもらってもいいですか?」
バカなヤギイヌは快く応じます。
「いいわよ、少しだけね。ふふふふ」
モコネコは、ヤギイヌのおっぱいに飛び付きました。
そして、ヤギイヌの乳の味を確かめたのです。
「ふー、ヤギイヌさん、あなたの乳の味は、とってもおいしい!」
「そう、良かったわ!」
モコネコはヤギイヌを世のため、人のためになるようにこう言います。
「これを多くの人間に分け与えれば、多くの人間のアレルギー問題が解決しますよ!
早速、僕が手配しましょう!」
「えー、この子達の貴重なミルクを、環境を破壊する屑人間共になんて与えたくないわ!」
ヤギイヌのわがままな態度を見て、モコネコは怒りを覚えます。
「この人類の敵め! 貴様の子供達などこうしてやる!」
モコネコは、ヤギイヌの子供A,B、Cを襲い出し、牧場から追い出しました。
A「うわー、逃げろ!」
B「ち、ちくしょう!」
C「うう、痛いワ―ン」
こうして、ヤギイヌの子供達は、別々の場所に逃げて行きました。
ヤギイヌは慌て出しますが、もう遅すぎました。
子供達はもうどこへ行ったのか分かりません。
「キャー、私の貴重な子供達が……。おのれ、モコネコ、許すまじ!」
「ふん、空も飛べない無能動物が! 先回りして、子供達をじっくりと調理するとしますか。お先に……」
モコネコは、不敵な笑みを浮かべ、飛び去って行きました。
一方、ヤギイヌは子供達の臭いを嗅ぎながら、追跡を開始しました。
一見、悪いように見えるモコネコですが、これには事情があったのです。
モコネコの真実 回答編
ブラック牧場には、汚染物質カドミウムが流れ出し、大変危険な状態でした。
しかし、ヤギイヌや人間の子供達に直接教えては、パニックが起こる危険性がありました。
パニックになると、愚かな生物達は何をするか予測もつきません。
それでモコネコは、仕方なくあのような行動をして、人々とヤギイヌを危険から守っていたのです。
ナイスガッツだぜ、モコネコ!