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第七話 性悪令嬢と名も無き者と、名を失いし者にまつわるエトセトラ

後輩「先輩! 『乙女ゲーム~』書籍化おめでとうございます!」

惟光「ありがとう」

後輩「性悪令嬢はいつ書籍化するんすか!??」

惟光「しないよ?」

後輩「本の最初に『可愛い後輩に捧ぐ』って入れてくださいね!!」

惟光「本にならないし、入れないよ?」

後輩「ところで今月26日私の誕生日なんすけど、忘れてないですよね!!?」

惟光「……………………………あ」


そんな会話をしたのが21日くらいのことでした。言われなかったら多分忘れてました。

っていうかもう誕生日関係なくなってない?! 去年始めてすでに7回奴の誕生日が訪れてることになるよ。先輩の歳追い越しそうになってるよ。

追い越したら奴のこと先輩って呼ぶね!?

『……面白い。実に面白い』


 耳障りな声だった。


『我が結界の中で意識を保っているとは、稀なることだ。……なるほどなるほど、守護の力に優れたる血筋か。それにしても素晴らしきかな』


 低くもあり、高くもあり、女のようにも男のようにも、老人のようにも子供のようにも聞こえる。まるで複数の声をつぎはぎに繋ぎ合わせたかのような不協和音。耳の奥がザラザラと掻き毟られるような声に眉をしかめて顔を上げるが、誰の姿も見えない。

 いや、人の姿は見える。薔薇に囲まれた豪奢な庭園のなか、よく知る者たちがあちらこちらに倒れ伏している。噴水の傍に倒れているのは銀の髪の少年、その傍らには燃え立つような褐色の髪の少年もうつ伏せに倒れている。けれどわたくしの目は彼らを素通りして、ただ一人へと向けられていた。

 薔薇の植え込みの奥に少し離れて倒れる細身の青年。普段は結っているプラチナブロンドが解けて乱れている。簡素な、けれど上質のシャツとベストは貴族の子弟に仕える従僕のお仕着せである。

 仰向けに倒れているため、ここからではその顔が見えない。怪我をしているかもしれない。今すぐ駆け寄って確かめたい。

 けれど、立ち上がり駆け寄ろうにも指一本動かせない程の重圧が全身に圧し掛かっているのだ。重力を操る魔法など聞いたことがない。

 


 いつもの王宮の午後、庭園の噴水を囲んで王家の兄弟と、その友人として招待された貴族の子弟たちが駆け回り、同じく招待を受けた貴族の子女が、四阿からその光景を眺めてお茶会をする。それは週末ごとに開催される日常の風景の筈だった。

 突如響き渡った声と共に、その場にいた者が次々と倒れる光景を目の当たりにするまでは。

 さっきまで快晴だった空は不気味な赤に染まっていた。夕方になったわけではない。太陽は中天にあって、薄い輪郭を残して真っ黒に塗りつぶされている。

 異様な光景の中、動くものはいない。まるで時が止まっているかのようにすら感じられた。 


『さて、時間もない事だし、こちらの仕事を完遂せねば……』


 声の主は見えないのに、おぞましい程の魔力を感じる。いまだ魔法の使い方の初歩しか知らない自分でも、その魔力が尋常のものでないことが分かった。そしてその狙いが目の前で倒れているあの人へと向けられていることも。


「……っ……く…………」


 意識を指先へと総動員する。石膏で固められたかのように重く動かない身体を叱咤し、薔薇の植え込みの根元へと手を伸ばす。ささくれた幹に強く指を押し当てると、ピリッとした痛みと共に、血がその根へ滴り落ちた。


『?! 何をしている!!』


 どこから見ているのか知らないが、声の主がこちらの行動に気づいたようだが、素早く小声で詠唱を終える。大地の魔法の初歩。植物を育て、増殖させる魔法。そこに、習ったばかりの守護の魔法を乗せる。

 魔力を帯びた薔薇の根が、土をぼこぼこと盛り上げながら、伸びていく。目的の場所にたどり着いた根は地上へと飛び出すと、あっという間にドーム状に絡まり合って、あの人を覆った。


『……これは……守護の檻……なるほど、中の者を強固に守り、手を出すものへは棘を剥く……。これでは彼には手が出せない……』


 声の主の言葉に気を抜きかけた時、パチ、と何かが弾ける音がした。同時に、何かが焦げるような臭いも……。


「な……っ!??」

『これでは檻ごと燃やしてしまうしかないなぁ』

「やめて!! お願いやめてちょうだい!!」


 懇願が悲鳴となって響き渡る。


「わたくしはどうなってもいいから!! その人には手を出さないで!!!」


 必死に叫んだその時、不意に炎が掻き消えた。とはいえ、薔薇の檻の上には未だに球状に燃え盛る炎の魔法が浮いている。それはいつでも火を放てるという明確な意思表示だった。


『その身と引き換えにあの者を救えと? お前が? っ……ふふっ…………っははははははははははははははっ!!!』


 哄笑が響き渡り、後ろ髪を無造作に掴まれ、初めて相手が自分の背後に居たことに気づいた。

 その瞬間まで、一切の気配を感じさせなかったその者を振り返ろうとすると、掴まれた髪を引き上げられ、身体ごと吊り上げられそうになった。ブチブチと髪を引き千切られる痛みに視界が滲む。


『お前が第一に守るべきはその者ではない筈だ。伯爵家の娘よ。大臣を父に持ち、第二王子と結ばれ、この国を守護すべき乙女が、己と引き換えに従者を助けろなどと懇願するのか?!!』


 弄るような言葉に、それでも必死で首を振る。今この時は、義務も運命も関係がなかった。


「国家にとってわたくしは代えの利く駒、けれど……けれど私にとって■■■ユお兄様は何ものにも代えられないただ一人のひとなの。あなたこそ、どうしていち従者に過ぎない■ミ■■お兄様を狙うの?」

『…………ふむ、愚かしいことだが、興味がわいた。伯爵家の娘、お前の懇願通り、あの者の命は助けてやろう』


 唐突に告げられた言葉に思わず安堵したのもつかの間、掴まれた髪が離され、細く長い指が髪を撫で上げるように潜り込んできて、後ろを振り向かされた。

 真っ黒な、闇をそのまま纏ったかのような黒ずくめのローブ、顔の部分には血のように真っ赤な、不気味な異形を模した仮面が貼りついている。声と同様、その姿からは女のか男なのか、老人なのか若いのか判断することはできない。仮面の目の部分は暗く、空洞のようにすら見えた。


『ひとつ、ゲームをしよう。あの者には醒めることない眠りと忘却を、お前には愛する者の名の消却を』


 歌でも紡ぐように告げられた内容がよくわからず、真意を探ろうと仮面の空虚を覗きこむ。けれど、そこには全くの闇が宿るばかりで、何も読み取ることはできない。なにより、今この場でわたくしには選択肢など用意されていなかった。


「……あなたのいうゲームを受ければ、お兄様を助けて下さるんですのね?」


 受けなければ、お兄様は一瞬で炎に包まれてしまうのだろう。あの人を助ける方法は、今の無力なわたくしには一つしか残されていなかった。


『ああ、彼の命は助かる。もちろん怪我などもしない。ついでにこの中庭にいる他の王族やお前の婚約者も無傷で助けてやろう。……悪い取引ではないだろう?』


 この上なく最悪な取引としか思えない。けれど、今この場で、これよりもこちらにいい条件を引き出せるとは思えなかった。


「あなたのゲーム……お受けいたしますわ」


 せめてもの矜持と、震える足に喝を入れ、自分の足で立つ。その時になって相手が自分よりもだいぶ背が高い事に気づいた。少し屈んでいるのか、正確な高さはわからないが、少なくとも子供の身長ではない。


『それではゲームの開始だ。お前が消し去られたものを取り戻し、あの者を救えばお前の勝ち、消却の呪いに引き摺られ、救いを見失ったならこちらの勝ちだ。その時はこたびの借りを利子付きで支払ってもらうとしよう!』


 そういうと、真っ黒な手袋で覆われた手がわたくしの眼前に迫ってきて―――。




「ふぅ……」


 ついぼんやりと昔の事を思い出して、溜息が零れた。扇もなしに感情を表に出すなんて、と辺りを見回すが、薄暗い書架には人の気配は無く、ここが特別図書室だったことを思い出した。

 許可のないものは教師でさえ入ることができない魔法学園の特殊施設だ。

 人気がないことを再度確かめ、今度は素直に溜息をつく。


「思い出の中でさえ、名前を思い浮かべることもできないだなんて……厄介な呪いですわ……」


 全てが終わり、目を覚ました時、わたくしは己の失ったものを理解した。

 叩いても揺さぶっても目を覚ますことなく眠り続ける、従者だった青年を呼ぼうとして、その名を口にできなくなっていたのだ。

 口にできないだけではない。他の者が彼を呼ぶときもその名の部分だけが無音になる。心の中で名前を思い浮かべようとしてもそれを言葉として認識できない。

 あの魔法使いは、わたくしの中から彼の名前だけを完全に消却してみせたのだ。

 それ以来、あの人は今も眠り続けている。


「……■■ー■お兄様……」


 ロートレック家に仕えるピサロ家の長男。わたくしの兄、アンリお兄様の乳母の息子で、わたくしの従僕。その笑顔も声も、窘めるような言葉も、すべて鮮明に覚えているのに、名前だけが、消えてしまっている。


「これも違う……」


 読みかけの本を閉じ、書棚へと戻す。この本にも、わたくしが探しているものは載っていない。隣の本を取り出し、その目次をパラリと捲ったところで、特別図書室のドアがカタリと音を立てるのが聞こえた。

 素早く手に持った本を絹のブックカバーで包む。

 この特別図書室は、学園に在籍する王族か、それに準ずる序列の者しか立ち入ることを許されていない。わたくしの場合は特例だが、それ以外でここへ来る者がいるとすれば……。


「こっちだ、ここなら誰も……っ!?」


 ドアを開けて中を覗きこんできたのはやはりミカエル殿下だった。人気のない特別図書室の中を見渡し、わたくしを見て目を丸くする。その後、あからさまにしまったという顔をした。

 何となく嫌な予感がする。


「マリアベル……? こんなところで何をしている?!」

「図書室ですから本を読んでいましたわ。ミカエル殿下こそこちらにおいでとは珍しいですね。いつもこの時間はは中庭か温室にいらっしゃるでしょう?」

「ミカエル様~? どうかなさったんですか~?」


 殿下の後ろから砂糖菓子を煮詰めたような声が聞こえてきて、事情が呑み込めたと同時に、さっきまでとは違う脱力感で、溜息が出そうになった。


「ミカエル殿下、こちらの特別図書室は一般学生の出入りは禁じられている筈でしたわね?」

「それは……そうだが、ここのところ雨が多くて、中庭や温室は過ごしづらいと……」

「それでしたら食堂や教室、一般開放の図書館の方へ行かれたらよろしいのでは?」


 婚約者でもない平民の女と人目がある場所で会うのは気が引けるのかもしれないが、此処へクローディアが立ち入るのは重大な規則違反だ。誰もいなければバレないとでも思ったのかもしれないが、わたくしが遭遇してしまった以上、見逃すわけにもいかない。


「ミカエル様~……え? マリアベルさん?! 何でここに? ここって王族専用の図書室だってミカエル様が言ってたのに??!」


 殿下の後ろから顔をのぞかせたクローディアがわたくしをみて驚くと同時に目を輝かせる。おおかたわたくしが此処へ忍び込んだ場面を取り押さえたとでも思っているのだろう。

 けれど、わたくしが忍び込んでいたとしても、クローディアが此処へ入っていい理由にはならないので、罪がお互いさまになるだけである。


「マリアベルさん、こんなところに忍び込むなんて、いけないんですよ~! 学園の風紀院に報告されちゃいますよ~?」


 むしろ自分で報告するつもり満々であろうに、顔だけは心配そうに瞳を潤ませている。もはや説明するのも面倒なので、わたくしはミカエル殿下に視線を送った。

 その意図は正しく伝わったらしく、ミカエル殿下も言いづらそうに、クローディアに向き直る。


「ディア、マリアベルは……準王族と言う扱いで、国王陛下から直々にこの図書室内の出入りと本の閲覧を許可されているんだ。……だからここにいるのはおかしなことじゃない。今日は別の場所に行こう」


 ミカエル殿下は言いにくそうに説明するとクローディアの背を押して退出を促す。けれど、クローディアは自分が追い出される側であることに納得がいかなかったのか、その手を振りほどいた。


「準王族って何ですか?! マリアベルさんばっかりそんな風に特別扱いされるなんてずるいわ! ここは貴重な本がいっぱいあるんでしょう?! 勉強したい他の学生にだって見る権利があるんじゃないですかっ?!」


 さっきまで他の生徒がいないことをいいことに逢引場所にしようとしていたとはとても思えない発言だ。


「教育の普及ってこういう差別をなくすことからだと思うの! 知識はもっと多くの民に分け与えられるべきだわ。ミカエル様ならわかってくれますよね?!」


 ミカエル殿下の腕に抱き付いて潤ませた瞳で見上げて訴えるクローディアは愛らしく、庇護欲をそそられる。迫られたミカエル殿下の耳が赤く染まっていくのを見て、今度こそ溜息が零れた。


「クローディア、我儘を言うものではなくってよ。ここが王族専用の図書室として許可のないものの立ち入りを禁じているのは殿下にもどうにもできない決まりなのです。わたくしは殿下の婚約者で近い将来王族になることを考慮していただいた上で、国王陛下から直々にこの書架を閲覧する許可をいただいております。一方あなたは一般学生であり、平民で、王族になる可能性もない小娘に過ぎないのだから、この部屋に入ることも、ここに並んだ本を見ることも許されない立場なの。弁えなさい」

「……ミカエル様から婚約破棄を望まれてるくせに……」


 仕方なく窘めていると、殿下には聞こえないように悪態をつかれた。まあ、内容自体は周知の事実なので今更気にもならないが。


「残念ながらいまだに婚約破棄は成立しておりませんし、万が一それが成ったとしても、あなたが此処へ足を踏み入れる許可はおりることがありませんから同じことですわ。諦めて別の場所へお行きなさい。殿下ももうあなたをここへ連れてくることは無いでしょう」


 わたくしに見つかった時点で、ここの扉を管理する司書教諭に報告が行くのは必然だし、そうなればここの扉は許可のないものが通れないよう特別な魔法が施されるだろう。


「ずるい、ずるいわ! マリアベルさんばっかり!! どうせ魔法の本を読んだって良からぬことにしか使わないくせに!」


 クローディアがそう言ってわたくしの持っていた本のブックカバーに手をかけた。無遠慮に引っ張られて思わずその手を叩きはらってしまった。


「いたっ! ひ……酷い……なにも叩かなくったって…………っ!」


 クローディアの瞳がみるみるうちに潤んで今にも涙をこぼしそうな顔になる。それを見たミカエル殿下の顔に怒りが燃え上がるのが見えた。


「マリアベル! 貴様クローディアに何をする!!」


 クローディアを叩いた手を乱暴に捕まれ、クローディアから引き剥がされる。突き放され、たたらを踏んだが、どうにか堪えて踏みとどまると、ミカエル殿下はわたくしから彼女を庇うように立ちはだかった。


「……先ほども申し上げたように、クローディアはこの図書室の本を見る権利を持っておりません。それなのにわたくしが借りている本に手をかけたので振り払ったまでです」

「何も叩くことは無かった筈だ!! クローディアはお前が何を読んでいるか見たがっただけだろう。本の中身を見ようとしたわけじゃない!!」

「中身でも表紙でも同じことですわ。そもそもわたくしに近付こうとなさった時点でこの図書室に足を踏み入れています。違反行為をしたクローディアにも非があるのではありませんの?」


 努めて冷静に返してみるものの、ミカエル殿下の怒りは収まりそうにない。このまま争いが長引くのはわたくしの本意ではなかった。仕方なく、クローディアへ向き直り、頭を下げた。


「クローディア、うっかりとはいえ、叩いてしまったことは謝るわ。ごめんなさい」

「え、嘘……謝った……?!」


 謝罪に対し、クローディアは愕然としているが、ひとまず溜飲は下がったのだろう、涙も止まっているし、見たところ叩いた手も腫れてるわけでもないようだ。


「さ、これでこの場にはもう用がありませんわね。お二方とも早々にここをお出になってくださいまし」


 なおざりとはいえ、わたくしが謝ったことで毒気を抜かれたのか、今度こそ二人とも大人しく特別図書室を出て行ってくれた。


「――――――ふぅ」


 二人の気配が遠ざかったのを確かめてから、閉じたドアにもたれかかる。胸に抱きしめた本のブックカバーをそっと外せば、出てくるのは『古代呪術・禁呪の体系と記録』。


「こんな本を読んでるなんて見られたらどんな言いがかりを付けられるか分かったものではないわね……」


 遠く幼い記憶の中で、あの正体不明の魔法使いが使っていたのは、今私たちに受け継がれている魔法とはその術式も系統もまったく異なるものだった。詠唱もなしにあの場にいた人間を昏倒させ、炎を操り、わたくしと……カ■■■お兄様に呪いをかけた…………。

 あの場にはミカエル殿下やエドアルドもいたのだが、魔法使いの言葉の通り、わたくし以外の者はあの事件の記憶を『忘却』させられていた。それどころか、ミカエル殿下とエドアルドはお兄様の存在自体忘れ去ってしまっているのだ。

 あの事件の存在を知るのは、あの場に居なかったことで逆に歪んだ結界の存在に気づいた王宮の高位魔術師と、その報告を受けた国王陛下、そしてそこに同席したというわたくしの父だけだ。

 あの魔法使いのことは今も父が秘密裏に調べてくれている。けれど、有力な情報は得られていないとラフィの届けてくれた手紙には書いてあった。


「わたくしと……お兄様の呪いを解く……そうすればきっとあの者はまた現れる……」


 これをゲームと言い、わたくしに取引を持ち掛けた目的はわからない。そもそもあの事件の目的自体いまだ不明だ。王家を狙ったテロだというのならば、従僕に過ぎないお兄様が狙われる理由は無い筈だ。

 あの者は『仕事』だと言っていた。つまりは誰かの依頼で動いていた可能性が高い。そしてその依頼そのものはたいして重要視はしていなかったように思う。わたくしのなにがそうさせたのかはわからないが、依頼を棒に振ってまで自分の思いついたゲームにわたくしとお兄様を引っ張り込んだ……。

 あの者が用いていた魔法の正体が掴めれば、呪いを解く手がかりも、彼の目的も、見えてくるのではないか。


「……此処になら……有史以前の魔法体系の文書や禁呪についての本もある……このどこかに……きっと手掛かりが……」


 人気のない、薄暗い書架を見る。奥の方は灯りが足りていないのか、昏く淀んで見える。それはまるであの日に見た仮面の奥の深淵に似ていた。


前書きと本編の温度差については苦情その他はお控えくださいますと助かります。基本的に後輩に尻を叩かれて続けてるシリーズなので、この手のやり取りが今までの更新の度に起こってると思ってください。

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