◯ 0 プロローグという名のお風呂シーン
◯ プロローグ
「やっ、やめてくださいっ……! やめっ、あッ……!」
「良いではないですかぁ~、1日の疲れを癒すにはお風呂と相場が決まっていますー」
「だからってそんなっ……!」
大入浴場である。お風呂である。
大理石を積み上げたようなそれはそれは立派なお風呂で一糸まとわぬ姿で僕は美女に纏わり付かれている。
「だっ、だから自分で洗えるからッ……!」
触れたこともないような感触、ぷにぷにでふにふにの弾力性あふれる感覚に頭の中が弾けそうだった。
「アカリ様のお体ですもの、私が洗いますわ?」
「良いから!! そういうのいいから!!」
先に言っておく。僕は男だ。
冷静さを欠く前に伝えておきたいのだけど、普通に男の子だ。
「ほーらほらほらっ、可愛いお胸もっ」
「何処触ってんだよ?!」
「ついでにこんなところもっ?」
「ひゃぁっ!?」
変な声をあげたことに恥ずかしさのあまり死にたくなるけど重ねて宣言しよう、正真正銘、僕は男なんだ。
城ヶ崎高校に通う至って普通の高校2年生だった、……ハズだった。
「え……、エシリヤお姉様……? あの……えっと……私も……」
「あらあら、エミリアも入ってきたの? ーーほら、いらっしゃい」
「はいっ」
「じゃ……俺はこれで……」
「あらあら、いけませんよっ?」
「ひゃっ」
女子とは適度な距離を保ち、男子とは適切な距離感で佗しい学園生活を謳歌していたのに何故こんなことになっているのかーー、……何故、美人姉妹に囲まれてお風呂に入れられているのか。
「ほら、アカリさんもこちらへっ……」
「ぎゃーっ!!」
何故異世界に飛ばされ、何故、一糸まとわぬ姿で、何故、
「流石伝承の魔導士さまです……お肌すべすべ……」
「やめっやめてェええええ」
何故「魔導少女」になっているのか。
……それを語るには数日ほど日を遡る必要がある。
これは、『僕が女としての第二の人生を歩む物語』だ。
夏の暑さから逃げるように執筆週間となりました。
他の小説も連載し始めました、こちらも応援してもらえると嬉しいです。
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