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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

憧れの人

作者: 秋時雨林檎

初めての恋愛ものです。

まだまだ至らないところがたくさんあると思いますが、アドバイスや感想をいただけたら幸いです。

「ね、今日空いてたら勉強しようよ。」

彼女が帰り際に話しかけて来てくれた。美人で、黒髪のショートヘアが小顔によく似合っていて、勉強も運動もできて、女子からも男子からも好かれる。完璧な彼女は私の憧れだ。そんな人に勉強に誘われて飛び上がって喜びたい気持ちをおさえて返事をした。



しんとした教室。机を二つ寄せてワークを開く。

「あのさ、なんで私なんかを勉強の相手に選んでくれたの?」

「A高校、目指してるんでしょ?」

それは紛れもない事実だ。なんで彼女が私の志望校を知っているのかは分からないが気にかけてくれたことがただ嬉しかった。でも、A高校は県内でも有数の進学校。自分でも頭は悪くは無いと思ってるが、先生に志望校を言ったら難しい顔をされてしまった。やっぱり難しいのだろう。

「あのね、私もA高行きたいんだ。」

知ってた。そもそも彼女がそこを目指してるらしいという噂を聞いたから興味を持ったのだ。

「馬鹿にしないの……?」

「するわけないじゃん。一緒に行こうね!」

彼女は性格まで美人だった。同じ高校を志望している人がいると聞いて、一緒に勉強をしようと思ったのだという。これからも一緒に勉強してくれる?と言われてしまった。こちらからお願いしたいくらいだ。思いがけない申し出にぶんぶんと首を縦に振った。


カリカリとシャープペンを使う音だけが聞こえる。

もう何箇所も分からなかった所を教えてもらった。彼女は勉強を教えるのもうまかった。

彼女が机の上のペットボトルを飲んだ。細い首が少しだけ動くのに見とれてしまう。美人は何をしても様になるのだ。

ふと窓の外を見るともうすでに暗くなりつつあった。時計に目をうつすともうすぐ6時だ。彼女もそれに気付いたのか。もう帰ろうかとの提案。なんだか名残惜しかったのだが、彼女に迷惑をかけるわけにはいかない。


帰り支度をする。

「あ!やば、このプリント今日までに提出だった!帰りに職員室寄っていい?」

珍しい失敗。でもそんなところすら可愛いと思える。

「うん、いいよ。」

「あっ、でもゴミ….」

私達の学校ではペットボトルは回収ボックスに入れなければならない。だが、それは職員室とは真逆の方向にあるのだ。

「私持ってくよ。自分の分のも捨てなきゃならないし。」

「本当?助かるよ!ありがとう!」

一本も二本も変わらないし、少しでも彼女の役に立ちたかった。

「じゃあいってくるね!下駄箱の所で待ってて、一緒に帰ろう。」

彼女は荷物を掴むとたったったっっと走って行ってしまった。

先ほど言われた言葉が脳内でリピートする。一緒に帰ろう、か。考えてみるとドキドキしてきて、そんな事を考えてる自分がおかしく思えて頭を切り替えようとした。

なに考えてるんだか……早く捨てに行こう……。

机の上のペットボトルをとった瞬間、彼女が飲み物を飲んでいた光景がフラッシュバックしてきた。心臓の鼓動が五月蝿い。


気が付いたら私は彼女の飲んでいたペットボトルの蓋を開け、そこに唇を寄せていたのだった。

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