第八十九話 削られる10番
創価へ来て 2日目、創価小学校のサッカー部の練習に参加し、俺は足を削られ 耐え、小5のみんなの推挙で 背番号も決まります。
俺の名は、東 清二。親もなく家族もなく金もなく家もない。じゃあ、どうやって生まれてきたかって?正解は、太陽の堕とし子だ。つい最近まで、呪われし忌まわれた児童養護施設 東京サレジオ学園に住んでいたけど、俺にはお互いの存在そのものを消すか消されるか?の戦いを続けているクソ大和田という名の宿敵がいる。よりによって その宿敵が、全宇宙の支配者だ。しかもクソ大和田は、不死身ときている。そして そのクソ大和田の判断で、俺は創価小学校と そのサッカー部の寮へ送られた。そして創価に来て 2日目、サッカー部の練習をするところだ。
俺の在籍する小5のクラスの担任が、小5と小6のサッカー部の監督だった。そして幸か不幸か、俺の希望するポジション、トップ下とか司令塔と呼ばれるポジションが空いていた。空いていた理由は、糞野郎過ぎて2人しかいない小6のサッカー部員が、フォワードという攻撃陣だったからだ。だから俺がミッドフィルダーとはいえ、トップ下や司令塔をやると、小6のクソ大和田の息子と小6の松崎と書いてハゲチャビンと読む、糞野郎と一緒に練習をしなくてはならない。ただサッカーでは、幾ら守備を頑張っても 攻撃陣が点を取らないと勝てないし、俺の性格上も 守備より攻撃の方が好きだ。なので、俺が攻撃陣を選んでくれたと、無駄に喜んでいる担任で監督の男の為にも、小6の糞野郎2人との攻撃の練習も、我慢するしかない。監督で担任の先生と、小6の糞野郎2人のところへ行く。
「俺だ。司令塔だ」と俺。
「ふふっ笑。皇太子殿下は、攻撃陣をしてもらう」と、担任で監督の男。
「別に攻撃陣は構わないけどよお、こっちはフォワードで オレはエースストライカーなんだよ。司令塔だか知らねえが、ちゃんといいパスを出せよ」と小6のクソ大和田の息子。
「先輩は、先輩だからな」と、エイズの松崎と書いて ハゲチャビンと読む奴。
「じゃあ、皇太子殿下は このまま攻撃陣とで、練習をしてて下さい」と担任の監督。その場を去る。
攻撃陣で練習といっても、小6の糞野郎2人は 足が遅く ボールを扱う技術もなく シュートすらも、不正確極まりない。有るのは、性格と存在の悪さだけだ。しょうがないので俺は、前後にドリブルし 小6の糞野郎の間を抜き、シュートを決めるのを繰り返す。俺はボールを奪われないし、シュートもゴールの四角に正確に放てる。それが自分自身で確認出来たので、ボールを持ったまま 全体で守備練習をしている小5の守備陣に、攻撃を仕掛ける。
虚をつかれた創価の守備陣は、俺にゴールを決められる。そして、サッカーコートにボールが2つあるという状況が生まれた。俺にゴールを決められたとはいえ、創価の守備陣もそうだし ゴールキーパーも、鉄壁といった感じだ。ゴールキーパーの指示のもと、組織として守備が出来ている。それでも 俺はゴールを決め続け、1人で2つのサッカーボールをドリブルするという荒技を披露する。
「さすが、清二だ」と、無駄に俺の足を削り続ける 小5の鈴木 史郎は笑顔になり、とうとう優秀な小5のゴールキーパーが「ボールを1つにしてくれ」と言ってきた。
ボールが1つになったことで、小6の糞野郎2人も フォワードとして参加するが、俺がゴールキーパーと一対一になれるいいパスを出そうが、楽々ゴールキーパーに止められる。しかも リバウンドの来ないキャッチングで。その上「パスをだせ」と、クソ大和田の息子が言う時は、大抵 オフサイドポジションに居たりする。
「小6の糞野郎2人!次にゴールを決められなかったら、もうパスしねえからな」と、俺は宣言する。それでも、小6の糞野郎2人は、絶好の場面を俺が作り出しても、ゴールを決められない。
「じゃあ、もうフォワードは居ないものとする。小6の糞野郎2人は、放っておけ。俺1人対創価の守備陣全員だ」と俺。1人でドリブルし、ゴールキーパーが優秀なことを踏まえ、ゴールの四角かゴールキーパーの股の下を狙い、ゴールを量産していく。小6のクソ大和田の息子が「パスを出せよ」とキレるが、無視する。ただ、左サイドバックをしている史郎が「どうせ清二から ボールを奪えないなら、オレは清二の足を削る」と言い、スパイクの裏で 俺の足を削る。それはいつものことかもしれないが、俺はすね当てをつけていない。だから、凄え痛い。
史郎に、「俺は、すね当てをつけてないかもしれないぞ」と伝えても、「こんだけ蹴り入れて 削ったのに、倒れないなんて すね当て付けてるに決まってるだろ」と意に介さない。史郎が、誰とも上手くやっていけない一因を、俺は身をもって知った。
小6のクソ大和田の息子が「何で オレに、パスを出さねえんだ!」とブチ切れ、すね当てをつけていない俺の足が、打撲と打ち身で限界を迎えようとしたところで、監督の「今日の練習、ここまで」という声が聞こえた。
小6も小5も みんな監督の周りに集まり、今日の総括が話されようとしていた。ちなみに、小5に2人 別メニューで練習をしていた者もいた。
「まず 皇太子殿下は、司令塔とする。創価小学校のディフェンス相手に、同じ小学生が それも1人で、ゴールを量産出来るとは。さすが皇太子という、生まれ持った圧倒的な才能の差だ」と監督。
「監督!皇太子だか何だか 知らねえが、こいつオレと松崎にパスをよこさねえぞ!」と小6のクソ大和田の息子。
「ああ、そりゃあ どんだけいいパスを出しても、お前らじゃ点を決められないからだ。其れと担任で監督の男、創価小学校のディフェンス陣って、どのくらいのレベルだ?ゴールキーパーも、優秀だぞ。これで地区大会レベルだと、都大会も関東大会も勿論のこと、全国大会ってどんだけ凄いんだ?という話なんだけど」と俺。
「安心してください、皇太子殿下。創価小学校のディフェンスは、ディフェンスだけなら全国大会でも トップレベルです。攻撃陣が弱点でしたが、司令塔に自ら点を取れる 皇太子殿下が加わった!」と監督。
「良かった、守備陣は全国大会レベルかぁ。其れなら、大丈夫だ。あと監督、散々 俺の足削られたんだけど、なるべく早く すね当てを用意してくれ。倉庫には、中古のスパイクはあったけど すね当ては無かった」と俺。
「待て!清二、すね当て付けて無かったのか!?」と、散々 俺の足を削った史郎が、驚く。
「ああ。見てみるか?強めの打撲と打ち身で、きっとあざだらけだ」と俺。サッカー用の靴下を下げると、案の定 俺の足は、あざだらけになっていた。
「清二、すまん…。」と頭を下げて、顔を伏せる 史郎。
「簡単に、目線を外さない。その間に何かあったら、どうするつもりだ。俺の足は、ただの強めの打撲で 捻挫したわけでも 骨が折れたわけでもないから、大丈夫だ。ただ史郎、次からは気を付けろよ。俺は、すね当て付けてないかもしれないと伝えたし、だいたい蹴った感触で すね当ての有り無しぐらいは分かれ。これだって、史郎が誰とも上手くやっていけない一因だろう」と俺。
「分かった。清二、すまん」と史郎。
「皇太子殿下、うちの左サイドバックが申し訳ありませんでした。皇太子殿下が大丈夫と言うなら、大丈夫でしょう。皇太子殿下の背番号は、何番にいたしますか?」と監督。
「10番」「10番」と、小5の少年たちが、口々に言う。
「東のし とか、清二のよ とか、だいたいの俺の名には しと よ が、入ってる。俺を表す数字が、4だからね。背番号4番が空いてたら、4番にしてくれ」と俺。
「皇太子殿下、4は死人番号と言って…」と監督が話をしていたら、「10番」「10番」と小5の皆んなが囃し立てる。
「オレでも、10番は付けられなかったんだぞ!」と、小6のクソ大和田の息子が怒鳴る。
「うるせえ!また ぶっ飛ばされたいのか?監督、清二の背番号は10番で。清二は、確実に創価の会長の言っていた救世主とやらだ。オレは、信じてはいなかったけどな」と史郎。
「分かった。皇太子殿下の背番号は、10番にしよう。確かに10番は、トップ下や司令塔の着ける番号だし」と監督。
「10番か…。俺は、サッカーにおける背番号10番の意味を、理解し知っているんだけどな。大体、何で丁度 司令塔とか10番とかが空いてるんだよ。運命とかいうやつか…。仮に俺が、背番号10番を着けるなら 番号に見合った働きをするから、それならそれで俺にボールを集めてくれ。確実に、点に結びつけるから。あと史郎には伝えてあるけど、3つの大罪と言って 1、俺の言うことは聞く2、俺の言い付けは守る3、俺に反対された事はしない、出来るなら この3つを守ってくれ。小6の糞野郎2人以外はな」と俺。
「はい!」と小5のみんな。
「会長の言っていたとうり、本当に創価に救世主が現れた。皇太子殿下の背番号は、10番でいく。これで創価小の攻撃陣も、あと1年もすれば 全国トップレベルだ」と監督。
史郎が俺に、ひたすら謝り続ける中、この日の練習は終わった。
《うん、創価編は具体的なエピソードは覚えているが、個人名だと 鈴木 史郎のように、確実に俺の側の人間とかじゃないと、覚えていないな。あちこち送られる時だったり、死ぬ度に記憶を消されているから、しょうがないか。しかし まあ、2017/07/05今現在へと続いている この最低最悪の人生は、いつ終わるのだろう?想定していた以上の、最低最悪っぷりだ。もう、どこへも送られない。最後の最後まではきた。寿命までは、長くてもあと15年。あとは、念能力さえ復活すれば 今この時代この世界の混乱も悪いところも、全て正せるのに。念能力さえあれば…。未来を掴むんだ、俺》
こうして創価小学校に来て、2日目のサッカー部の練習を終えた。未だに、削られた足が凄え痛かったことを覚えている。野球だと俺の背番号は4だけど、サッカーとかラグビーだと背番号は10番だったりする。ずっと以前からそうで、俺の場合 いつの人生も 基本的に両親共いないので、トシと名乗ることが多い。トで10 シで4なんだろう。次回の話は、史郎の母親が出てきて 最大硬度を誇るダイヤモンドを、何で削るのか?という難問を出されます。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!