第八十三話 無効
児童養護施設で、小3の鈴木 ユウという名の少年が死に、警察の刑事部長が事情聴取をしに、単身乗り込んで来ます。取引をしたところで、何もかんも無効になっていってしまう話しです。
時代は昭和の末期、プールにて まだ小学校三年生だった、鈴木 ユウという名の少年が、散々 蹴りを入れられ意識不明の重体となり、結果 溺死した。ユウは、気も強く 背も高く、警察官の息子だけあって正義感も強く、なんの非の打ち所もない少年だった。ただし、入って来て暮らしていた児童養護施設が、最悪だった。忌まわれし呪われた児童養護施設、その名も 東京サレジオ学園。まず この頃もそうだし、今も未だにそうなのだけど、全宇宙の支配者は 糞野郎中の糞野郎 クソ大和田で、世はまさしく大和田の世だ。そして東京サレジオ学園の園長は、そんなクソ大和田の親友で、全宇宙史上 最も汚れた最も穢れた糞野郎 村上 コウスケだ。その村公が、鈴木 ユウを殺せと最初に命じた。結果 ユウは死に、その事情聴取に警察の刑事部長が、単身 東京サレジオ学園へと乗り込んで来た。小学校三年生の俺 東 清二も、東京サレジオ学園に住んでいて、否応なく 巻き込まれた。
糞園長 村公に、「鈴木 ユウを殺せ」と命令されたと、小4の番長 クソ横山 ケンジが自白し、予定にはなかった村公の取り調べが行われようとしていた。
村公は「オレは、やっていない!無実だ!」とわーわー騒ぎ、それでも刑事部長が取り調べをしようとすると「取り調べの前に、きよじ と一対一で話し合いをさせろ」と喚く。大の大人がわーわー喚き、対処に困った刑事部長が よりにも寄って「10分だけだからな」と、村公と俺とのサシの話し合いを認めやがった。
『ねむの家』の小部屋で、村公は何度も 誰も盗み聞きをしていないか確認し、村公と俺とで10分間の話し合いが始まる。
「ケンジがオレを売りやがった。お前はオレを売らないよな?」と村公。
「言わなかったか?俺は、お前が大嫌いだと。お前は、殺人教唆で刑務所にでも、入ってろ」と俺。
「待て!何か策を立てろ!」
「断る!」
「待て、10分しかないんだ!わかった。取引だ」
「だからお前は、取引の意味もルールも恐ろしさも、分かってねえと言ってるじゃねえか」
「待て、わかった。お前が言っていた、取引の条件をのむ。オレは、ここ東京サレジオ学園から 居なくなる。お前は、東京にある別の施設へ送る。二度と、オレはお前には会いに行かない。約束する」
「お前、絶対だからな!取引だからな。約束だからな。じゃあ、Aパターン 村公が横山 ケンジに「鈴木 ユウを殺せ」と命じ、それが中山 カツオに伝わり、吉田 大地と大木 茂が、実行した」
「それでは、ダメだ!取引の意味がない!オレが、責任を取らされる!」
「Bパターン 俺が、翼ゴリ相手に作り話をした、鈴木 ユウ自身が足のつかない深いプールで、ビート板を置き 結果、溺れてしまった。Aパターン、Bパターン、好きな方を選べ」
「Bパターンだ!そっちなら、オレは責任を取らされない」
「村公、これは取引だからな。村公は、ここ東京サレジオ学園から居なくなる。俺は、東京にある別の児童養護施設へ行く。村公は、二度と俺の前には現れない。約束でも、あるからな」
「わかった。Bパターンだ」
ここで刑事部長の用意した、10分間の時間が経過した。
刑事部長がノックして姿を現し、俺が証言をすることになった。刑事部長と村公と俺の3人で、尚且つ 録音もされるとのと。こうして俺にとっては原罪に当たる、偽証が行われようとしていた。
「鈴木 ユウがプールに行きたくないと言っていたのに、俺がプールへ来るよう説得してしまった。ユウは遅れてプールへやって来て、ビート板を使いながら 泳ぐ練習をすると言った。ユウが泳ぐ練習をしている中、糞ガキ2人がユウにちょっかいを出し始めた。俺はそれを止め、ユウに今日の泳ぎの練習はやめといた方がいいと伝えた。それでもユウは、もう少しでコツが掴めそうだと泳ぎ続けた。プールの半分をビート板を使いながら泳ぎ、足のつかない底の深いプールで、もうビート板はいらないとビート板なしで泳ぎ始めた。そして俺が目を離してる間に、ユウはプールの底で溺れて沈んでいた。俺はすぐさま 助けようと思い、プールへ飛び込み助けようとしたが、俺は泳げないし 更に厄介なことに、プールの底が深かった。二度挑戦して助けられなかったので、プールで遊んでいた高校生を脅し、高校生2人がかりで なんとかユウを引っ張り上げることが出来た。佐藤シスターに救急車を呼ぶように伝え、三宅シスターに 人工呼吸と心臓マッサージをするように伝えた。ユウが救急車で運ばれた後の、ユウの状態は知らない。勿論、後日 ユウが死亡したとは、知らされてるけどね」と俺。
「分かりました。君は、助けようとしたのですね。警察を代表して、お礼を言います。では、録音を止めます」と刑事部長。カセットテープを止める。
「その歳で、こんなに論理的に話が出来る子がいるなんて。きっと、勉強も出来るのでしょう。では、君はもう戻っていいですよ」と刑事部長。
「了解」と俺。小部屋を出ようとすると、村公が「3人で、話し合いだ。お前は、戻るな!」と喚く。
「子供にこれ以上、負担をかけられない。もう戻って」と刑事部長。
「じゃあ、オレも帰る」と村公。
「村上 コウスケ、貴様には 殺人教唆の疑いが、かかっているんだよ。黙って、座ってろ!」と刑事部長。
俺は小部屋を出て、その後 小部屋で何があったかは知らない。1時間後ぐらいに、村公はいつものだんまりで小部屋から出て来て、沈黙しながら 神父たちの寝起きする家へと帰って言った。
帰り支度をする刑事部長に「村上 コウスケの殺人教唆の罪は、どうなりましたか?」と俺が聞くと、「1時間ずっと沈黙して、黙秘権を行使するようだ。あんな奴が、園長で神父とはな。ここは文字通り、地獄絵図のような所だ」と刑事部長。
「鈴木 ユウの家族がいるなら、俺の知っていること 分かっている事を、全部 話しますよ」と俺。
「じゃあ、ここで話してみて」と刑事部長。
「さっき話し録音した内容は、Bパターンです。Aパターンは、糞園長の村上コウスケが、小4の番長 横山 ケンジに、「ユウを殺せ」と命じ、それが小3の中山 カツオへと伝わり、殺人を実行したのが、吉田 大地と大木 茂です。これが策のAパターンの方です」と俺。
玄関で靴を履こうとしていた刑事部長は、「待て、今の話しを録音させてくれ。子供は罰せないけど、鈴木 ユウの家族に伝えたい」と言う。
「ユウの家族に、俺が会えたら俺の口から伝えます。それでは、お引き取りを」と俺。
「君を凝で、見てみてもいいかい?」と刑事部長。
「はい。いいですよ」と俺。
刑事部長が念能力の凝を使い、俺を見て「皇太子どころか、法皇陛下…。そのお方が何故、こんなところに。SPも付けずに?」
「其れは、こっちが聞きてえよ。じゃあ、ユウの家族を連れて来るなり、俺が行くなりしたら 真実を述べるよ。分かっている範囲内だけどね」と俺。
「待って下さい、それは分かりました。法皇陛下の方が、心配です。こんなところに、お一人で…。」
「ああ。今の俺は、敵の手の内の中で、生き地獄をのたうち回っているからな。じゃあ、この辺で」と俺。玄関から食堂へ戻ろうとすると、「そんな事を聞いて、こんな状態を知って 帰るに帰れません」と刑事部長が、顔を暗くし肩を落とす。
「じゃあな」と俺が伝えると、刑事部長はそのまましばらく動かず、気持ち的に抱えきれないぐらいの重荷を背負って、肩を落としたまま帰って行った。
《例えば 2017/05/22今現在だって、生き地獄は続いているけど、其れでもこの頃よりはマシかな。孤独になった分、糞野郎にも糞女にも、会わなくて済む。もう 忌まわれし呪われた児童養護施設 東京サレジオ学園は卒園したし、上司に同僚の全員がクソ大和田の側の人間たちの就職先も、3年間頑張った後に辞めることが出来た。就職して特に2年目以降は、毎日 死んで消えて無くなりたいと思っていたから、辞められた時の解放感は、半端じゃなかった。なのに、その直後 俺は10ヶ月間、水と塩こしょうのみで生き、餓死を経験し、何回かぶっ倒れて死んだ後で、体重が30キログラムぐらいで救急車で病院へ、担ぎ込まれた。入院中は、飢えに飢えていたけど、もう朝の2時半に起きなくていいとか、糞野郎に会わなくていいとかで、高揚感でいっぱいだった。その後 退院し、頑張って ゴミだらけだった部屋を片付け、施設へ送られた後 やっとクソ大和田からも敵の手の内からも、逃れることが出来た。勿論、未だに不幸だけど あとは、俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫を待ち続けることと、念能力が復活するのを、ぶち切れながら待っている。もう最後の最後まできた。長くても、あと15年。そして俺にとっての本当の自分、ドン・リュシフェルに成るんだ!》
こうして、単身乗り込んで来た 警察の刑事部長が、思わぬ荷物を背負って帰って行った。糞園長 村公は、捕まらず 取引を持ちかけといて、ルールを守らず 、結果として取引も無効になっていった。一度決めたら変えられない 取引のルールも守れない守らない、さすがクソ大和田の親友で、取引で決めたことすら守らない 前例を、糞野郎中糞野郎 村上 コウスケは、作りやがった。次回の話は、村公が取引を履行しない話で、それ以降は 俺が創価小学校にいた時の話と、行かなきゃ良かった福岡での話を書こうと思います。ジャイアンとジャイ子があろうことか夫婦になり、糞野郎と糞女になっていった、もはや死刑囚の澤野夫妻についても、ちゃんと大和田に改変された記憶も、思い出したので。その福岡編が終わったら、小3の終わり サレジオ学園の次の家へと進む話を書きます。なんだか、後悔ばかりですが…。なんとか、描ききらねば!以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!