第八十一話 偽証
忌まわしき呪われた児童養護施設 東京サレジオ学園にて、まだ小学校三年生の鈴木 ユウという名の少年が溺れさせられ、その犯人探しと、結果 ユウに訪れてしまった 死についての話です。
時代は昭和の末期、ところは東京都の西部 多摩地区にある児童養護施設 東京サレジオ学園でのこと。東京サレジオ学園とサレジオ中学に隣接する場所に、プールがある。そこで小学校三年生の鈴木 ユウという名の、警察官の息子で それ故か、正義感の強い気の強い少年が、溺れさせられた。鈴木 ユウが救急車で搬送されたあと、シスターと呼ばれるキリスト教の修道女 三宅シスターによって、犯人探しが行われた。散々蹴りを入れ、鈴木 ユウを溺れさせた犯人の2人 吉田 大地と大木 茂は、怯えてなのか それとも自分がしでかした事への恐怖なのか、2人ともブルブル身を震わせている。ただし三宅シスターが「犯人は、きよじ でしょう。ユウにケンカで勝てるのは、きよじ しかいない」という発言を聞き、俺はぶち切れた。諸事情があり、三宅シスターと俺は、もともと仲が悪い。
なので俺は「ブルブル震えない!シャキッとしろ!」と言う。この言葉を聞いて、鈴木 ユウを溺れさせた犯人の吉田 大地と大木 茂は、震えが止まった。
そして三宅シスターの犯人探しも、頓挫する。救急車を呼んだあと、プールへ戻って来た佐藤シスターが「清二は、犯人ではない。ユウがまだ泳いでいて、大地と茂をプールへ放り投げたあとは、ずっと清二は 私と翼と一緒に居た」と証言した。
「じゃあ、誰が犯人なの!?私の監督責任が、問われることになるじゃない!」と、三宅シスターは、軽くパニクる。
「俺は、止めたからな。止めさせようとも、警告もしたからな」と俺。
「待って!そういえば、きよじに警告された…。カツオの命令で、ユウが大地と茂に攻撃されてると…。それじゃあ、大地と茂が犯人でも、私の監督責任が問われるじゃないの…」と、気落ちする三宅シスター。
「ああ。犯人はこの中に居るし、どっちみち警察も捜査するだろう。俺は ユウを、助けようとしたからな」と俺。
「待って!じゃあ、犯人は誰なの?それだけでも教えて」と三宅シスター。
「自分で考えろよ。そもそも、ユウが溺れようが どうでもいいと言っていたのは、三宅シスターだからな。犯人のヒントは、命令したのも実行したのも、全員 三宅シスターの担当する大部屋の子供たちだ」と俺。
警察が到着し、子供たちもシスターも、それぞれ事情聴取をされることになった。
俺は『ねむの家』へ戻り、外から丸見えの風呂へ入っている。風呂で翼ゴリに、誰が犯人なのか執拗に訊かれ、翼ゴリなんかに、マトモに答えるのもアホらしいので 適当に、「ユウがビート板を使って 泳ぎの練習をしていて、気づいたら溺れてた」と、少なくても半分は本当の作り話をしていたら、風呂あがりに翼ゴリが、俺の作り話を広め 俺も警察に、話を訊かれることになった。
刑事とみられる2人の警察官に、警察手帳を見せられ「確かに」と俺は、確認した。まずは、俺の指紋が採取され、その後 俺が泳げるかどうか訊かれる。俺はこの頃はまだ泳げなかったので、素直に「泳げない」と答える。ただし鈴木 ユウを溺れさせた犯人の、吉田 大地と大木 茂も、泳げない。そのうえ2人とも、チビときている。なので、そんな糞チビ2人より 背の高い、俺が 片一方の刑事に、がっつり疑われる。もう一方の刑事は、はなから俺を疑ってはいないみたいだ。
その後 深夜まで、吉田 大地に大木 茂、そして俺が ずっと取り調べを受ける。「俺はやってはいないし、犯人でもない。俺の失敗は、鈴木 ユウがプールへ来るように、説得してしまったことだ。ユウがプールの底へ沈んだあとは、俺は泳げないけど助けようとした」と真実を述べる。
が、片一方の刑事が「お前が、犯人だ。理由は、お前の方が背が高いからだ」と俺を疑い、譲らない。
そして鈴木 ユウの身体から、俺の指紋が検出されたという情報がもたらされ、俺を疑う刑事は まるで鬼の首を取ったように、「これで証拠は、揃った。お前が犯人だ」と俺に言う。
「俺は、鈴木 ユウを、助けようとしたと言ってるじゃねえか。なんとか、プールの底から引っ張り上げようとね。指紋なんて、当然つくだろう。こんな深夜まで 取り調べをして、俺を疑い続けて もし俺が犯人じゃなかったら、職責かけて 警察を辞める覚悟は、あるのか?」と俺が問う。
俺を疑ってはいない刑事は「もともと、貴方様を疑ってはいません。もし仮に犯人だとしても、宮内庁特権があります。このバカが、貴方様が犯人であると言い張っているのです」と答える。
けれども、バカ呼ばわりもされたのに、俺を疑う刑事は「いいや、お前が犯人だ。これは刑事の勘だ。お前の方が、背が高く 指紋まで出た。もしお前が犯人じゃなかったら、オレは警察を辞めてやるよ」と豪語する。
「其れは、確かか?こっちが真実を述べているのに、疑い続ける。もし俺が犯人じゃなかったら、本当に警察を辞めてもらうぞ」と俺。少し俺はぶち切れていたため、空気がピリッとする。
はなから俺を疑ってはいない刑事が「じゃあ、このバカには警察を辞めさせます。今 私達が謁見しお会いしてる相手が、どなた様かさえ理解していないので」と言う。
「うん、多分 俺を疑ってはいない方の刑事は、念能力者で 俺がどこの誰様か、知っていて分かっているのだろう。疑っている方の刑事は、念能力者ではなくて 疑い深い、悪徳警察官なんだろう」と俺。
「お前は、今自分が置かれてる状況が、分かっていないようだな。お前は、まな板に乗った鯉だ。オレのことを悪徳警察官呼ばわりして、タダで済むと思っているのか!?」と、正に悪徳警察官が言う。
「お前、そんな事ばかり言っているから、念能力者にもなれなくて 出世も、出来ていないんだぞ」と、悪徳警察官じゃない方の刑事。
「悪徳警察官の刑事は、俺が犯人じゃなかったら警察を辞めると、確かに言ったよな?」と俺。
「ああ。お前が犯人だからな」と悪徳警察官。
「じゃあ もう眠たくなってきたので、ケリをつけよう。小学校三年生が殺人をしても、大した罪には問われないよな?」と俺。
「はい」と、俺を疑ってはいない刑事。
「じゃあ そのことを、犯人の吉田 大地と、同じく犯人の大木 茂に伝えて、罪を認めさせよう。その上で、俺を疑い続ける悪徳警察官の方の刑事が、ちゃんと有言実行で警察官を辞めるかは、ちゃんとした方の刑事に任せるよ」と俺。
「かしこまりました!きちんと対応させて、いただきます」と、ちゃんとした方の刑事。
小学校三年生が仮に殺人をしても、大した罪には問われない。ここ東京サレジオ学園にも、残れると聞いて やっと吉田 大地も大木 茂も、たくさん蹴りを入れて、鈴木 ユウを溺れさせたのは、自分たちだと罪を認めた。
「ちゃんと有言実行で、刑事も警察官も辞めろよ」と俺。
「ウソだろ…。待て!オレは警察を辞めない!糞ガキたちに、騙されたんだ!」と悪徳警察官。
「責任持って、辞めさせます。こんな奴、警察には不要なので。最初から最後まで、真実を述べていた法皇陛下、お会いできて光栄でした」と、ちゃんとした方の刑事。
この数日後、『ねむの家』の子供は 皆んな集められ、意識不明の重体だった鈴木 ユウが、手当てのかいなく死亡したことが、佐藤シスターによって告げられた。それは、この忌まわれし呪われた児童養護施設 東京サレジオ学園に入って来なければ、喪わずに済んだ 尊い命だった。
《鈴木 ユウか。地獄が存在する分、天国も確かに存在し けど、ユウが天国へ行けたかは分からない。理由は、ここ数百年 天国へ入れる人の条件が厳しくなっているからだ。俺の相方が「がっぽり儲けて死ぬまで生きても、栄光とは言えない」と歌っているように、それだけじゃダメで 、バレない程度に善行をしたり、慈善活動もしないといけない。そして天国行きの条件が厳しくなった一番の理由が、ここ数百年 俺を取り巻く環境と、俺の状態 状況が悪過ぎることだ。全ては、俺が念能力を手に入れれば済む話だが、この2回目のとっくに身体の耐久年数の過ぎている、東 清二としての人生では、生まれてこのかた 2017/05/08今現在まで、ほぼほぼ生き地獄をのたうち回っている。それもあり、一番の理由は 俺が神道の儀式を、12歳以降 一度も行っていないので、日本は災害大国になった。日本中どころか、世界中が不幸になり 糞まみれになったけど、今の俺には何も出来ない。ただただ、未だ続く この生き地獄をのたうち回ることしかね。俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫!会いに来てくれ!俺の心なんて、とっくの昔に折れてしまっているから。あとは念能力さえあれば、こんな狂った世界も 大和田の世も、終わらせてみせるから》
こうして、鈴木 ユウは死んだ。俺は警察の人間ではないので、事件として処理されたのか、事故として処理されたのか、分からないし知らないけど、クソ野朗でもなく罪人でもないユウを溺死させたのは、間違いなく殺人だ。糞園長 村公の命令を小4の番長 横山 ケンジが受け、小3の口ばっかのクソ中山 カツオが指示をした。実行犯のクソ吉田 大地にクソ大木 茂は、小3だが 殺人は殺人だ。しかも、殺人事件には時効はなくなった。だから、とっとと拷問されて死にやがれという話。次回の話は、鈴木 ユウが殺されたことについて 納得のいかないユウの家族が、糞園長 村公に 警察を伴い直談判に来ます。勿論、何故か 俺も巻き込まれます。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!