第七話 白い巨塔 其の二
ドラマ「白い巨塔」出演が決まり、リハーサル。演技力が試されているところです。
白い巨塔 其の二
リュシフェル
広末に、演技指導したせいで、監督に怒鳴られる。
「はい、ほい。だったら、俺がやって見せます」と、俺。どうも俺は、意地っ張りだ。病室のセットのところまで行き、看護婦役の女性に、話しかける。
「女優の方ですか?」と、俺。
「女優ってほどでも、ないですけど」と、看護婦役の女性。
「あの、俺の設定は、孤児院のガキで。それと、俺が何を言っても、目が見えてないと思ってください」と、俺。
「わかったわ。孤児院の子で、何をいっても、実は目が見えてない」
「よろしくお願いします」俺の目に、包帯が巻かれる。
「リハーサル入ります」
俺は、病室のベッドに、座らされている。
「先生、術後の経過ですが」と、看護婦。
「見えるようになったはずだが」と、田宮二郎。
カーテンが閉められる。そして、包帯がするする解かれる。
「わあ、見えます」と、俺。看護婦、困惑。
「よかったな。もうすぐ、退院できるぞ」と、田宮二郎。
「本当に見えるの?」と、看護婦。
「やったぁ、これでオウチに帰れる」と、俺。看護婦役の人が、俺の前で指をふる。
「これ、何本?」
「あの、えーと。先生、ありがとうございました」と、俺。
「オウチないでしょ?」と、看護婦。田宮二郎、困惑。
「それでも、もう帰りたい」と、俺。
「ちゃんと見えるように、なってからね」と、看護婦。
「見えますから、わあ、見えたー」と、俺。
「見えていないのか?」と、田宮二郎。
「えーと、今のところは、ただぼんやりと、暗いか明るいかわかるだけです」と、俺。
「先生、失敗ですか?」と、看護婦。
「いや、いまの時点では、何とも」と、田宮二郎。
「わあー、見えるよっ」と、俺。
「もう、いいから。ねっ」と、看護婦。
そして、また、包帯が俺の目に巻かれた。
「先生、次は見えるようになりますか?」
リハーサル終了。
「監督、この子、メインでいきましょう。ばっちり、撮っときましたから」と、カメラマン。
「わかった、田宮二郎と相談する」と、監督。
「きよじ、すごい。」と、広末。
「いやー、それほどでも。でへでへ。」と、俺。
第七話、以上。
A-まず、読んでくれて、どうも、ありがとうございます。続編も、読んでくれたら、幸いです。それと、
「AP吾妻涼」という、コメディーも、書いています。そちらの方も、よろしくお願いします。