第七十八話 終わりを告げる、枕戦争
児童養護施設 東京サレジオ学園にて、糞園長の村公の発案で始まり 代々続いてきた枕戦争を、俺の代で 俺の手で終わらせます。
時代は昭和の末期、所は 東京都の西部に位置する多摩地区にて、全宇宙の支配者 クソ大和田の手の内で、俺は苦しみの真っ只中にいる。そんな俺の名は、東 清二。親も家族も家もなく、当然 金もなく地位も名誉もない。そんな新しく 小平市立第三小学校の三年生になった俺は、児童養護施設 東京サレジオ学園の、小1から小3までが暮らす『ねむの家』で、新しい試みを始めようとしていた。その試みとは、『ねむの家』で 代々続いてきた枕戦争を、終わらせることだ。枕戦争とは、『ねむの家』に2つある大部屋同士が対立し、攻撃側守備側に分かれて 1人をターゲットに、数人で枕を使って 序でに蹴りもパンチも入れてボコボコするというのが、枕戦争だ。この忌まわしき風習が、東京サレジオ学園の糞園長 村公こと クソ村上 コウスケと、キリスト教の修道女たちの指示のもと、行われている。
例えば、シスターや村公に、「枕戦争は、もう嫌だ」と言ったところで 枕戦争は終わらない。時代は、東西冷戦の真っ只中で、相撲にしたって 東と西に分かれて、戦い合う。平氏と源氏の争いに則って、枕戦争も キリスト教の神父やシスターにとっても、正当化されてる。『ねむの家』に至っては、糞園長の村公や シスターの指示で、誰がボコボコにされるターゲットになるのが、決められている始末だ。
ただ 俺としては、分かっていることは、暴力は憎しみしか生まない。憎しみは 報復となって、新たな暴力を生む。その結果、男子しかおらず 暴力と喧嘩が日常茶飯事の東京サレジオ学園を、なんとか住み良い場所に 俺は変えたかった。全宇宙の支配者 クソ大和田や 大和田の親友 糞園長 村公の創り出す負の連鎖を、『ねむの家』の中だけでも 断ち切りたかった。なので俺は、俺の住む大部屋担当のいつも優しい 佐藤シスターに、「枕戦争を、俺の代で終わりにしたい」と相談した。
すると佐藤シスターは、「清二らしい判断ね。ただし枕戦争を止めるには、対案が必要なの。枕戦争に代わるものがね」と答えた。
「それじゃあ 俺の住む大部屋は、何か俺が 大部屋の子供が全員眠るまで、面白い話でもします。問題なのが、三宅シスターの担当する大部屋です。中山 カツオなんかに出来るか分かりませんが、カツオを三宅シスターの担当する大部屋に送り、なんとかさせる。要は、小3の糞チビの2人 吉田 大地と同じく小3のクソ大木 茂を、黙らせて抑え込めればいい。その為の喧嘩なら、俺がします」と俺。
「さすが、清二ね。ハヤトから聞いてるわ。清二は、優しいだけじゃなく 喧嘩も強いって。それが仮に上手くいったら、あとは村上神父ね」と佐藤シスター。
「クソ村公か…。神父に成る仕組みとか システムとかを、俺は知らないのですが、どうしたら村公みたいな エイズで 子供に沈黙を強いて 激烈に怒る糞野郎が、ここ東京サレジオ学園の園長になれるのかが、俺にはさっぱり分からない。オマケに俺と 、消すか消されるかの戦いをしている クソ大和田の親友で、クソ大和田も 東京サレジオ学園を自由に、出入り出来てるし こんな悲惨な環境を、俺は経験したことがない」と俺。
「清二…。私は、どうしたらいい?」と佐藤シスター。
「うーん、せめて俺の側の人間が、1人でも居れば 環境は良くなる。か、俺が念能力を取り戻すか。まぁ いいや。愚痴を言ってても、しょうがねえ。取り敢えず、カツオに枕戦争を終わらせるように、言ってみます」と俺。
食堂で、小3の中山 カツオを発見した。三宅シスターも、一緒にいる。
「カツオ、枕戦争を終わりにするぞ」と俺。
「枕戦争を、終わりにはできません!」と、何故か 三宅シスターが答える。
「じゃあ 仮に枕戦争を続けるとして、佐藤シスターの担当する大部屋には、俺が居て鈴木 ユウが居て、序でに カツオも居る。一方 三宅シスターの担当の大部屋は、糞チビコンビ 大木 茂に 吉田 大地に、無駄に喧嘩を吹っかける 佐々木 なすび しかいない。この戦力差で、三宅シスターは 継続して、枕戦争を戦えると思っているのか?」と俺。
「戦えなくても、戦わせます。シスターとして!」と三宅シスター。
「カツオ、余裕で勝てるよな?」と俺。
「ああ。毎日、攻撃側だ」とカツオ。
「待って!部屋割りは、村上神父が決めているの。戦力差が、出るわけないの。ナオトは?ケンカ強いでしょ?」と三宅シスター。
「あんな なすび、秒殺してやるよ」と俺。
「アハハハハッ笑」と、カツオが無駄に笑う。
「三宅シスターの人望のなさが、こう出るんだよ。仮に 毎日攻撃側なら、別に枕戦争が続いてもいいけどな」と俺。
「待って!村上神父に、相談してきます」と三宅シスター。
三宅シスターと村公が相談した結果、枕戦争は糞園長の村公の発案で始めたとのこと。終わらせられるものなら、やってみろとのこと。佐藤シスターの担当する、俺が暮らす大部屋が守備側で、ボコボコにされるターゲットは、俺に決まった。こうなりゃ、論より証拠だ。幸い、鈴木 ユウが 俺に加勢し、中山 カツオは様子見とのこと。
そして、俺がボコボコにされるターゲットになった、この日の枕戦争が始まった。敵は思ったとうり、なすびを先頭に、大木 茂に吉田 大地だ。
「俺が なすびを返り討ちにするから、ユウはその間だけ 糞チビの2人の足止めをしといてくれ」と俺。
「分かった」と鈴木 ユウ。
俺は 枕の中綿をギリギリまで薄くし、俺のラリアット一発で、なすびは一回転して気を失った。
「じゃあ、ユウ!なすびは、瞬殺したから あとは大木 茂に吉田 大地の、強い者には媚び 弱い者をいたぶる 糞チビ2人を、ユウ1人でぶっ飛ばせないか試してみてくれ。無理だったら、俺が加勢する」と俺。
「もう なすび倒したのか!分かった、こんな糞チビ2人 俺1人で倒すよ」と鈴木 ユウ。
もともと背の高い 気も強くて ある程度、喧嘩も強い 鈴木 ユウは、チビで いつも小便臭い吉田 大地と、ひたすら弱い者いじめを続ける 大木 茂を、簡単に叩きのめした。
「やるじゃねえか、鈴木 ユウ!」と俺。
「清二には、枕戦争で 俺がターゲットにされた時に、助けてもらっているから、借りが返せてよかった」と鈴木 ユウ。
「それじゃあ 何もしなかった中山 カツオを、佐藤シスターの担当する 俺たちの大部屋から追放し、なすびは 俺がボコボコにされるのを楽しみにしている三宅シスターに放り投げ、大木と吉田は玄関の外へ捨てよう」と俺。
「ハハハッ笑!分かった、そうしよう」と鈴木 ユウ。
「待て!オレを追放するな!」と言っている 中山 カツオを無視し、作戦通り なすびを「何で、負けたの?」と戸惑っている三宅シスターに、俺は「プレゼントだ」とくれてやり、大木と吉田は玄関の外へ捨て、尚且つ 鍵も閉めといた。
「ユウ!これで『ねむの家』の小3は、制覇した。平和だー!」と俺。
「ハハハッ笑!清二は、何者なんだ。こんな凄え奴、俺は知らない」と鈴木 ユウ。
翌日、戦意を喪失した 三宅シスターの担当する大部屋の者たちは、「もう 枕戦争は、イヤだ。戦いようがない」と、全員が口を揃えた。
「何で、闘えないんだ!」と、糞園長の村公がぶち切れる中、村公の発案した 代々続いてきた枕戦争も、俺の手によって終結した。何もしなかった 口ばっかりの中山 カツオは、三宅シスターの担当する大部屋へ移動となり、代わりに喧嘩ばかりする 佐々木 ナオト 通称なすびは、俺がしっかり見るということで、俺の住む 佐藤シスターの担当する大部屋へ来ることになった。兎にも角にも、これで『ねむの家』の夜中は、平穏になり 平和になった。
《2017/04/12今現在の俺は、孤独に苛まされながらも、無事だ。全宇宙の支配者 クソ大和田も 大和田の側の人間たちも、いないところへいる。そして、俺が何処で何をしているかの情報も、クソ大和田は知らないだろう。勿論 その代わり、俺は 俺の側の人間たちにも会えてなく、強力過ぎて クソ大和田に禁止された俺の念能力も、まだ返ってきてはいない。人はこの状況を不幸と言うのだろうけど、俺は もっとどん底を経験している。まぁ 幸せじゃないことに、変わりはないけれど。だから、ずっと待ってんだ。俺の宝物 明るく無邪気な 6歳に年齢が固定されている女子、ピノコ・ナディア・哀姫が、俺の側の人間ですら 今俺が居る場所に、たどり着けていないのに、哀姫がたどり着き 会いに来てくれることを。そして、奪われた才能奪われた念能力が、返って来ることを。そうすれば、年齢が15歳で固定されている、俺にとっては本当の自分 ドン・リュシフェルに成れる。そうすれば、全宇宙の支配者 不死身の クソ大和田なんて、簡単に消せる。あとは、とんねるず ダウンタウンに、俺の女と 準女を味方に、俺が全宇宙の支配者になってやる。日本中どころか、世界中が待ってんだ。不幸の王様 クソ大和田が、完全に消えて無くなることを。そして俺が、幸福の王子になることをね》
こうして、糞園長 村公が創り出した、暴力と憎しみしか生まない 枕戦争を、俺の手で終わらせることが出来た。序でに、村公4人の人生も、終わらせられたらいいのに。まぁ、いずれね。今回の話は、小3になり 変わった 小平市立第三小学校の話も書くはずが、枕戦争を終わらせた話だけで、終わってしまった…。念能力が禁止されてるとはいえ、俺にもっと才能があったらよかったのに。才能さえ奪われなきゃいけない、意味が分からん。次回の話からは、俺にとっては原罪の、鈴木 ユウにとっては悲劇の始まりの話です。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!