第七十五話 スパイ~警察官の息子~
呪われた地獄の児童養護施設 東京サレジオ学園に、警察官の息子が入って来て、戦います。
時代は昭和の末期。ここは、東京都の西部 多摩地区にある、忌まわしき呪われた児童養護施設 東京サレジオ学園。何で 呪われてるかって?だってここ東京サレジオ学園は、俺の敵 全宇宙の支配者 クソ大和田の手の内にあり、日本は 大和田の世でもある。勿論、東京サレジオ学園の園長も クソ大和田の意向を受けた 糞野郎で、尚且つ 大和田の親友の村公こと、名前は村上 コウスケだ。キリスト教の神父で、しかもエイズウィルスの保有者のくせに、シスターと呼ばれる キリスト教の修道女と肉体関係を持ち、エイズの拡散に一役かってる糞野郎だ。そんな所に、小平市立第三小学校の二年生になった俺 東 清二が、生き地獄をのたうち回っていた。そんな地獄のような所に、何故か 警察官の息子が、『ねむの家』の新入りとして入って来た。
小1から小3までが暮らしている『ねむの家』に、俺と同学年の小2のガキが入る。小2のガキを、子供と呼ぶべきか?少年と呼ぶべきかは 分からないが、小2の新入りのガキは、鈴木 ユウと名乗り、自分は警察官の息子で、こんな所早く出て行きたいと、自己紹介した。鈴木 ユウは、背の高い 気の強そうな子供で、早くも 園長の村公と、険悪な空気だ。どうせ悪いのは 村公の方だろうし、東京サレジオ学園に入る際に受けさせられるI.Qテストで、村公と揉めたのだろう。俺としては、鈴木 ユウは、大和田の側の人間じゃなさそうだし、ヤクザの息子の多い ここ東京サレジオ学園で、警察官の息子という毛色の違う少年が入って来たのは、興味深かった。悲劇が待ってるとも、知らずにね。
小2の新入り 鈴木 ユウの暮らす 大部屋は、『ねむの家』に2つある大部屋の内の、俺や小2の松本 シンゴと同じ大部屋だった。なので、シンゴはすぐに鈴木 ユウと打ち解けて、仲良くなった。ただし、俺と鈴木 ユウの間には、一定の距離感がある。もともと鈴木 ユウは、サレジオに敵対感を持って入って来たので、俺の場合は すぐには打ち解けない。まぁ もともと、俺の性格がシャイで 話し方もぶっきらぼうなので、そのせいもあるのかもしれない。そして鈴木 ユウは「オレは警察官の息子だから、犯罪があったら 警察に通報するからな!」と宣言した。
此れで『ねむの家』の伝統の、夜中に1人をターゲットに、枕を使ってボコボコにする枕戦争が、鈴木 ユウにどう映るのか?俺は、普段通り 本日の枕戦争が終わるまで、ベッドの上でゴロゴロしていた。
「オレは、新入りを助けないからなー」と小3の番長 横山 ケンジが言い、ケンジのコメツキバッタの小2の中山 カツオも、それに同意した。
そして もう1つの大部屋から、攻撃部隊の小3の熊谷 ツヨシと 同じく小3の村瀬 フミオ、さらに小1のアホ 大久保 スグルなどが、枕を携えやって来た。本日のターゲットは、新入りの鈴木 ユウだった。新入りがすぐにターゲットにされる訳もないから、大方 園長の村公が、指図したんだろう。
俺は、 鈴木 ユウに「もうこれ以上は、闘えない。助けが欲しかったら、助けてくださいと言え」とだけ伝えておいた。
「助けなんて、いらねえ」と鈴木 ユウ。
そして、熊谷 ツヨシに村瀬 フミオ、さらにアホの大久保 スグルによる、鈴木 ユウへの攻撃が始まった。
枕で戦う 枕戦争といっても、普通に殴られるし 蹴られる。鈴木 ユウが、抵抗しながら「親父に言うぞ!警察に通報するぞ!」と言っても、効果があるどころか 火に油を注ぐ形で、鈴木 ユウへの攻撃は続く。俺は新入りが入って来た事以外は、いつもと何も変わらないので、ベッドでゴロゴロしている。
「オレは、助けないからなー」と小3の番長 横山 ケンジが言い、「警察官のスパイなんて、いらねえしな」と、ヤクザの山口組山健系の息子 中山 カツオが言う。
「待てっ!いつ終わるんだ!?」と鈴木 ユウが必死に叫ぶ。
「攻撃してくる奴らの、気がすむまでだよ。枕戦争は、審判が居ないから、時間切れもギブアップも、存在しないんだよ」と俺。
そのまま攻撃は続き、とうとう鈴木 ユウは、泣き始めた。それでも、小3の熊谷 ツヨシに小3の村瀬 フミオ、更に小1のアホ 大久保 スグルたちの攻撃は止まない。余程、この忌まわしき呪われた児童養護施設 東京サレジオ学園の『ねむの家』にて、「オレは、警察官の息子だ」と調子に乗っていた 鈴木 ユウの存在が、癪に触ったんだろう。
そして鈴木 ユウは「助けろ!」と叫ぶ。
が、俺は助けない。「新入りの警察官の息子。言葉遣いとお願いの仕方が、間違っている」とだけ、伝えておく。その間にも、鈴木 ユウへの攻撃は続く。
「お願いの仕方…。助けてください!」と鈴木 ユウ。
「ああ。了解した」と俺。
「そんじゃ、警察官の息子なのが自慢の小2の新入りに、枕戦争と喧嘩での 戦い方だけ教えるよ」と俺。大部屋のベッドの上を、枕を持って出て てくてく、ボコボコにされてる 鈴木 ユウの所まで歩いてく。そして、俺は「小2の新入りを、いくら枕戦争とはいえ 上級生も混じって、3対1でボコボコにするのは、ありえねえんじゃねえか?」と伝える。
「きよじ!お前、スパイに来た警察官の息子を助けるつもりか?こっちは、村上園長と三宅シスターの命令で、闘っているんだぞ!」と小3の熊谷 ツヨシが、語気を強める。
「奇遇だねー。村公も三宅シスターも、俺とは仲が悪く きっと近い将来 俺の敵になるだろう。じゃあ、新入り!涙を拭って、枕をフルスイングするとこから始めよう。ここ東京サレジオ学園にも、せめてもの情けか 中学生になれば、野球部ぐらいはあるしな」と俺。
「助けてくれるのか?」と、涙を拭った 鈴木 ユウ。
「ああ。例えば、小3の熊谷 ツヨシも 村瀬 フミオも、俺がここ『ねむの家』に入った時に、喧嘩の実験台にされ 俺は意識を失った事もあるし、その他諸々 恨みもあるしな。俺は、憎しみは忘れない。もう一匹の小1のアホは、お前が倒せ」と俺。
「分かった」と鈴木 ユウ。
いざ戦いが始まっても、もともと枕戦争で 俺がボコボコにされるターゲットになった時に、熊谷 ツヨシに村瀬 フミオは、返り討ちにしている。なので、小2の俺 一人対小3の先輩二人でも、余裕で勝てる。だから俺は、鈴木 ユウに喧嘩の指南をしながら闘う。何の為に、両腕が2つもあるのか?何の為に、両足があるのか?上手く動作させれば、一人で四人を相手に闘えることを、俺は知っている。俺が、熊谷とフミオの首根っことっ捕まえて、二人の先輩の顔面と顔面を衝突させて遊んでると、「ハハハッ笑」と鈴木 ユウは笑い、笑顔になった。
俺が敵にまわったことで、今も顔面傷だらけになり、熊谷 ツヨシと村瀬 フミオは、戦意を失った。
「じゃあ、あとは小1で 一二を争うアホの大久保 スグルだけなので、枕を使っても使わなくてもいいから、鈴木 ユウ 一人で倒せ」と俺。
「分かった!」」と鈴木 ユウ。
小1のアホ 大久保 スグルは、運動はできる方だが、とにかくアホなので 一対一なら、鈴木 ユウ一人で追い込め、スグルの鼻から 大量の血が出たところで、大久保 スグルは負けを認めた。
あとは枕戦争の攻撃側なのに、傷だらけになり 戦意を喪失した、熊谷にフミオにスグルを、廊下を通り 3人の暮らす大部屋へ捨てに行き、「次に戦う時は、容赦しねえからな」と俺が念を押して、この日の枕戦争は終わった。
きっと枕戦争において、ボコボコにされる守備側が、見事な逆転勝ちをしたのは、初めてのことだろう。俺としては、村公と三宅シスターの思い通りに、事が運ぶは嫌だし 鈴木 ユウに、助けも求められたしね。其れに、ちゃっちゃと本日の枕戦争を終わらせて、睡眠も取りたかったのもある。この日は、此れで幕引きとなった。
《鈴木 ユウか……。このまま鈴木 ユウが、生き続け 東京サレジオ学園に居れば、2017/03/17今現在の このクソみたいな世界も、ちょっとは違ったかもしれない。全宇宙の支配者 クソ大和田の息子 吉田大地が、俺の邪魔をする。俺が念能力を手に入れて、その念能力を当日を入れて三日間、保持しなければならなかった。たくさんいるクソ大和田の息子 近藤育史も、その俺の念能力の条件を知って、嘘をつき 全力で、俺が念能力者であることを、阻止しようとし、2017/03/17今現在 俺は念能力者ではない。ずっと待っているのだけど、念能力は復活しないし、俺の宝物 哀姫も 逢いに来てはくれない。勿論、其れが 簡単なことではないことは、分かっているけど。でも、もう 待ちくたびれたよ…。》
こうして、 忌まわれし呪われた児童養護施設 東京サレジオ学園に、何故か 警察官の息子が入って来た。サレジオ学園のある多摩地区には、警察学校もあるんだけどね。この背の高い気の強い 鈴木 ユウには、悲劇が待ち構えていて、俺も 滅多につかない嘘をついてしまう。皆さんも、ここ東京サレジオ学園が、何故 忌まわしき呪われた児童養護施設か、分かるかもしれません。次回の話は、台風の目となった鈴木 ユウと、其れにまつわる俺たちの話です。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!