第七十三話 『しいの家』へ 大木・ゲオルグ・兄を捨てよう
俺がぶっ飛ばした先輩を、先輩だらけの住処へと捨てに行く話です。
ここは、全宇宙の支配者 クソ大和田の創り出した檻の中だ。俺がまだ 皇太子として、東宮御所にいた頃、自分の才覚で稼ぎ出した金で創られた。名称は、東京サレジオ学園。住所は東京都の西部 多摩地区にある、児童養護施設だ。児童養護施設だけあって、親のいない子供や親が育てられない子供、果ては親がこんな子供いらないと、捨てられた子供もいる。そして子供たちは、男子のみで 女子はいない。女子が居ないのは、子供が子供を作る訳にはいかないので まだ分かるが、この東京サレジオ学園の運営は、キリスト教の神父と、シスターと呼ばれている修道女が切り盛りしているので、お金もない。もっと厄介なのが、園長にしてクソ大和田の親友 村上 コウスケだ。神父で園長の村上 コウスケ以上に、穢れた生き物は地球には存在しない。村公はエイズウイルスの保有者で、尚且つ 俺に対する仕打ちが、神父のくせに精神科医に診てもらい、およそ人のする事ではないと断罪されている。
そんな中、小平市立第三小学校の二年生になった、俺 東 清二は、小1から小3までが暮らす『ねむの家』で、中学生の先輩 大木・ゲオルグ・兄を返り討ちにした。その結果、足元に『ねむの家』に居る 大木茂の兄、大木・ゲオルグ・兄が転がっている。このままでは邪魔なだけなので、いつも優しい佐藤シスターに報告をする事にした。ちなみに佐藤シスターは、大抵 食堂に居る。
「佐藤シスター!ゲオルグを退治しました」と俺が言うと、「ゲオルグ!?」と佐藤シスターは、戸惑う。
「後輩ばっかりをいびり 虐める 大木 茂の、兄のゲオルグです。兄弟揃って しょうもないです。そんで、その大木・ゲオルグ・兄が『ねむの家』に侵入し、俺がぶん殴られたので 反撃し、タイマンでぶっ飛ばしました。まだ ゲオルグは、『ねむの家』の廊下に転がっているので、住んでる東京サレジオ学園内の家に捨てに行きます。佐藤シスター、大木・ゲオルグ・兄が、何処の家に住んでいるか分かりますか?」と俺。
「大木 茂の兄なら、『しいの家』です。ちょっと待って!清二、中学生を1人で倒したの?」と佐藤シスター。
「はい。中学生にしても、弱かったです。ゴミ以下なので、それでは『しいの家』に捨てに行って来ます」と俺。
「分かりました。大木 茂の兄は、『ねむの家』には 立ち入り禁止にします。清二、私が『ねむの家』に居る間に殴られるなんて、ごめんなさい」と佐藤シスター。
「別に いいですよ。俺は、大した被害もありませんし」と俺。
俺が佐藤シスターと一緒に、『ねむの家』の廊下に行くと、まだ 大木・ゲオルグ・兄は廊下に這いつくばっていた。
「ケンジ 怒!茂の兄を、どこから『ねむの家』に侵入させたの!?」と、珍しく 佐藤シスターが怒りながら言う。
「イヤッ、窓から…。シスター!相手は、中学生のセンパイだからよ…。」と、たどたどしく 小3の番長 横山 ケンジが言う。
「どちらにしろ、『ねむの家』の子供以外は、『ねむの家』には立ち入り禁止です!ケンジ!今すぐ『しいの家』に、連れて行きなさい」と佐藤シスター。
「大木・ゲオルグ・兄は、中学生にしても体重 重そうなので、『ねむの家』に侵入させた責任を持って、ケンジ君がゲオルグの住む『しいの家』まで、捨てに行ってくれ」と俺。
「ひがしきー、『しいの家』は、センパイがいっぱい居るから、ひがしき も手伝ってくれ」とケンジ。
「佐藤シスター、ゲオルグ・兄の住む『しいの家』って、『ねむの家』の玄関出て すぐ左に建ってる家ですよね?」と俺。
「はい」と佐藤シスター。
「そんでもって、番長だった 今は小4のサイトウ ハヤト、通称 ヤトさんが住んでる家でも、ありますよね?」と俺。
「はい」と佐藤シスター。
「じゃあ、大木・ゲオルグ・兄を捨てに行く序でに、ヤトさんが元気にしているか、顔でも見に行って来ます」と俺。
「ハヤトの心配なんて、やっぱり清二は清二ね。それでは私は、責任を持って 茂の兄が『ねむの家』を出るところまでは見ます。立ち入り禁止も、今 告げます。金輪際、大木・兄は『ねむの家』に入らないで!」と佐藤シスター。
「じゃあ ビビりの小3の番長 横山 ケンジ、大木・ゲオルグ・兄を『しいの家』に、捨てに行くぞ」と俺。
「ひがしきー、それはいいけど、オレはすぐに帰るからなー」とケンジ。
大木・ゲオルグ・兄は、意識はあるようだが 中学生が喧嘩で、しかも小2の俺に負けたのがショックなのか、動かず 見たところ心が折れたみたいだ。しょうがないので、俺がゲオルグの両腕を持ち ケンジはゲオルグの両足を持ち、引きずりながら『ねむの家』の玄関を出る。『ねむの家』と『しいの家』の距離は、徒歩1分といったところなので、このまま引きずって行く。ただし『しいの家』に収容されている者たちは、小4から中学生三年生までいるので、小3の番長 横山ケンジは、『しいの家』の玄関に着くと、「ひがしきー、オレはここまでで帰るぞー」と、ビビりながら急いで 帰っていった。
〈小3の番長 横山 ケンジといっても、普段は暴れん坊なのに、先輩が相手だと此れだ。君子危うきに近寄らず と言っても、俺は自分が正しいと思ったら、相手が先輩だろうが先生だろうが、言うべきことは言うけどね。まぁ 其れも、俺の心が折れる前迄の話だけど〉
しょうがないので俺は、『しいの家』のガラス扉をノックして「頼もう!ゴミを捨てに来ました」と言う。
すると女性の先生が「『ねむの家』の子?ゴミは『ねむの家』のゴミ箱か、ゴミ置場に捨てなさい」と、優しく窘められる。
「まず この大木・ゲオルグ・兄というゴミは、中学生にしても 無駄に大きくて無駄に重いので、『ねむの家』のゴミ箱には とても入らない。かといって、ゴミ置場に捨てると犯罪になるかもしれません」と俺。
「どんなゴミなの!?」と女性の先生は困惑し、大木・ゲオルグ・兄を確認し、笑いながら「確かに『しいの家』の子で、『しいの家』のごみね」と納得してくれた。
ちょうど夕食どきだったので、ふと『しいの家』の食堂のテーブルを見ると、『しいの家』の少年も先生も 勢揃いしているみたいだ。そして、食堂のテーブルの端っこに、小4の番長 サイトウ ハヤト君が居た。相変わらず、恐い顔をしている。
「ヤトさん!俺が誰だか、分かりますよね?」と俺。
「ああ。清二だ」とヤトさん。
「小2の大木茂の兄、大木・ゲオルグ・兄は、分かりますか?」と俺。
「ゲオルグ…。ああ、分かるよ。嫌いな先輩だ」とヤトさん。大木・兄を、俺がゲオルグと呼んで、少しヤトさんの表情が、緩んだ。
「で 其奴を、タイマンで俺がぶっ飛ばしたので、確認してください」と俺。
「ハハハハッ笑!さすが、清二だ」と笑いながら ヤトさんは、玄関に来て ぐったりしている大木・ゲオルグ・兄を見て、「中学生のくせに 小2の清二に、タイマンで負けたのか」と大爆笑している。『しいの家』の女性の先生は、「ハヤトの笑顔なんて、初めて見た」と驚いている。
「じゃあ、『しいの家』の番長は、誰ですか?」と俺。
「中3のオレだ」と、小2の俺にとってはだいぶ先輩の、強そうな少年が言う。
「大木・ゲオルグ・兄の、敵討ちに 俺と闘いますか?」と俺。
「闘わない。小2のガキと、闘う理由がない。大木は、後輩には強いけど 相変わらず、大したことないな。小2のガキに、タイマンで負けるとはな。何で、ケンカになったんだ?」と中3の『しいの家』の番長の少年。
「大木・ゲオルグ・兄が、シスターの許可もなく『ねむの家』に侵入し、何の理由もなく俺の顔面を殴った。なので、次殴ったら反撃すると警告し、反撃してたら勝てた。勿論、俺1人でタイマンでです」と俺。
「それじゃあ悪いのは、大木じゃねえか。『しいの家』のゴミ 大木のせいで、すまなかったな、『ねむの家』の小2のガキ」と『しいの家』の中3の番長。
「別に殴られて蹴られるぐらいは、平気です。ここ東京サレジオ学園は、そういうところなので。良かったー、これ以上 中学生と揉めずに済んだ。あと、ヤトさんに質問です。『ねむの家』に居た頃と、『しいの家』に居た頃と、どちらが良いですか?」と俺。
「『ねむの家』に居た頃の方がいい。『しいの家』は、先輩ばかりだしな」とヤトさん。
「ヤトさんでも、そうなのか…。俺も 『ねむの家』から 他の家に進む事と時の、覚悟をして置かないとな。それじゃあ、ゲオルグの処分も出来たし、ヤトさんも元気そうなので、俺は帰ります。其れと ヤトさんは、大木・ゲオルグ・兄より、確実に喧嘩が強いので、嫌いな先輩なら ぶっ飛ばしちゃいましょう。ヒントは、圧倒的な恐怖を植え付けることです。それでは、夕食どきにお邪魔しました。失礼します」と俺。
「ゲオルグ狩りか…。清二、やってみるよ」とヤトさん。
「『ねむの家』の小2のガキ!『ねむの家』卒業したら、『しいの家』に来いよ」と『しいの家』の中3の番長。
「『しいの家』の中3の番長さん、その頃には話のわかる『しいの家』の中3の番長さんは、高校生になって『しいの家』には、居ないじゃないですか、まったく。それじゃ、帰ります」と俺。俺は1人で てくてく、『ねむの家』へと帰る。
中学生に袋叩きにされるのも、覚悟していたので 無事に帰れて、ホッとした。『ねむの家』では、俺が1人なのに無事だと分かった佐藤シスターも、ホッとしているみたいだった。
《そうか、考えてみれば、2017/02/24今現在の俺は、小2のこの頃よりは マシかもしれない。まず 俺の側の人間たち、例えば 武装戦線や銭屋一家、其れにコルレオーネ・ファミリーに極道たちに、会えないように分断されてるのは、変わっていない。ただし、今の俺の日常には、全宇宙の支配者 クソ大和田も、大和田の側の人間たちも、出てこない。俺が結果を出せない代わりに、クソ大和田もクソ木村 公一も、俺の現状を把握出来ていない。なので 俺に出来ることは、長くても あと15年 寿命まで 生きること。か、クソ大和田に禁止された、俺の超一流の念能力を再び、手に入れることだけだ。最後の最後まで来ている。既に俺の歯はボロボロだけど、歯を食いしばって頑張るしかない》
こうして、大木・ゲオルグ・兄を、先輩たちの割拠する『しいの家』へと、無事 捨てることが出来た。報復として、『しいの家』の中学生たちとも 闘わずにも済んだ。しかし何故、初めてのかくれんぼが、喧嘩に変わってしまうのか…。さすが、呪われし忌まわれた児童養護施設 東京サレジオ学園。次回の話は、今回の話に登場予定だった、園長 村公の推薦する少年 長沢 清次が、出てきます。勿論、糞野郎です。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!