第六十九話 救急搬送 ~俺のお尻が…~
3話に渡った、悲劇のお尻の話が終わります。医師って素晴らしいな、念能力って大事だなぁという話です。
間もなく、救急車がやって来る。かといって、安心安全でもない。確かなことは、俺の肛門の奥に 木の枝が刺さり、取り出せず お尻がズタズタに、傷だらけになっている。何故、こんな事になってしまったのか?しょうもない児童養護施設の、しょうもない先輩、熊谷 ツヨシと横山 ケンジの仕業だ。そして、小学校二年生の俺 東 清二と、救急車に同乗するのがジャンボ・テレジア…。キリスト教の修道女なのに、運動と、児童養護施設 東京サレジオ学園の子供たちにケツバットばかりする女性だ。そんな女性と、俺は救急車に運ばれ どこぞの病院へと運ばれる。
救急車の車内でも、ジャンボ・テレジアは自分の名を明かそうとしない。俺の方は、名字も名前も 救急隊員に伝えたけどね。それだけじゃなく、ジャンボ・テレジアは、誰がやったにかもついても、明かそうとしない。そんななので、救急車の車内ではジャンボ・テレジアと救急隊員の口喧嘩が、繰り広げられてる。そして 口喧嘩の模様は、どんどんジャンボ・テレジアが追い詰められていき、体だけは大きいジャンボ・テレジアが小さく小さく小さくなっている。東京サレジオ学園の『ねむの家』の子供たちには、あんなに強く出るジャンボ・テレジアなのにね。
大きな病院へ到着すると、俺は泌尿器科へ送られ、お尻の状態を医者の手によって、詳しく調べられる。レントゲン撮影をしたり、肛門を拡げられ 木の枝があるのを確認されたりする。そして 2人居る医者たちが「何で、この子がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ」と泣き始める。
「木の枝、取れそうですか?」と、俺が聞くと「奥の奥に入っているので、手術しかない。肛門がギタギタに傷ついているので、一生 人工肛門しかない」と泣きながら、医者は言う。人工肛門といっても、糞が溜まってきたら 毎度毎度 病院へ行き、糞を取り出さないといけないらしい。手術をして、なおかつ人工肛門…。俺が思っていた以上に、事態は深刻だった。
医者たちは「当然、事件として警察に電話する」と言い、「それだけは、勘弁してください!ことを大きくしないでください」とジャンボ・テレジアがお願いしている。
「事件性があれば、警察に電話するのは医者の義務だ。だいたいシスターだか知らないが、何で本名を秘密にしているんだ」と医者。
「じゃあ、きよじの居ない所なら、私の本名を教えます。だから、ことを大きくしないでください」とジャンボ・テレジア。
「お前みたいな女は知らないだろうけど、東 清二という名前が、医者にとってどれ程の価値と、どれ程の意味があると思っているんだっ!この子は、直江 嘉人の生まれ変わりだぞっ!ドクター直江が、どれだけ世界の医学と日本の医療の針を進め、進化させてきたと思っているんだ。その子と、こんな形で会わなくちゃいけない、俺たち医師の気持ちがお前に分かるか?」と、涙を目に浮かばせながら、ぶち切れながら医者が言う。
「確かに、直江 嘉人って 俺の過去だけど、医学が進歩したっていうのに俺のケツ一つ、治せないのか?」と俺。
「はい!手術の必要のある状態で、例え手術しても 一生人工肛門です」と、無念さを滲ませながら 医者が言う。
「じゃあ 泌尿器科の医師だけじゃなく、この病院で一番の念能力の使い手に、聞いてみてくれ。どの人生もそうだけど、基本的に最終的には 俺は五体満足のはず。それでも無理なら、手術して人工肛門とやらでしょうがない」と俺。
「そうか!念能力があった!ちょっと待っててくださいね。腕利きの念能力者の医者を、すぐに連れて来ます」と医者。
バタバタと医者が、駆けて行った。もう1人の方の医者は、ジャンボ・テレジアに ぶち切れている。何で 救急車を呼ばず、ドッチボールをさせたのかとね。
「もう勤務時間外で、喫煙所で一服してたら 、何で 呼び出され連れて行かれないといけないんだよ」と、白衣は着てないけど 医者と思われる男が、駆けて行った医者と一緒に ブーブー言いながらやって来た。
「俺たちじゃ 手術しても、一生人工肛門なんだよ。いいから『凝』を使って、見て欲しい。タバコなんて、何カートンでも、奢ってやるから」と泌尿器科の医者。
「『凝』は、使うと疲れるんだよ。ちゃんと約束守って、タバコ奢れよ。じゃあ、『凝』を使ってと、うわー!ドクター直江の生まれ変わりだあ!」と、連れて来られた医者が言い、驚いて尻もちをつく。
「だから、言っているんだよ。お尻の怪我なのに、俺たち泌尿器科の医者でも、助けられないんだよ」
「分かった!タバコなんて、どうでもいい。名前を教えてもらっていいですか?今の本名を。ワンライフワンタイムの、一生に一度の権利を使えば治せます。お願いします!」と、連れて来られた医者。
「名前は、東 清二だよ。本名教えただけで、治せるのか?」と俺。
「治せます。念能力を使えば。東 清二君と、皇太子どころじゃないじゃないですか!天皇と上皇を飛び越えて、もはや法皇陛下じゃないですか!護衛も付けずに、お尻を怪我して…。日本は、何をやっているんだ!このままじゃ、日本中 不幸になって、めちゃくちゃになる」と、タバコ好きの医者が嘆く。
「治せるんなら、早く治してくれ。ケツが痛いのには、変わりはないから」と俺。
「分かりました。治します。ただ、取り引きになります。一生に一度の権利を使うので、法皇陛下が、念能力者に成ることが、遅くなります。もともと12歳で念能力者に成るのが、15歳に成らないと念能力者に成れなくなります」とタバコ好きの医者。
「うーん、それは悩むなぁ。だったの3年だけど、12歳でも遅いぐらいなのに、15歳か…。でも 取り引きしないと、手術しても 一生人工肛門なんだよな?」と俺。
「はい」と、涙で顔を濡らす 泌尿器科の医者。
「じゃっ、しょうがない。15歳まで 念能力者に成れなくていいから、念能力で治してくれ」と俺。
「すいませんでした!」と、泌尿器科の医者。
「ああ。別にいいよ。お前らのせいじゃないし。じゃあ、タバコ好きの医者、念能力で治してくれ」と俺。
「かしこまりました。すぐ、済みますので」とタバコ好きの医者は言い、印を結び 手を俺のケツの近くにおく。眩い光が出て、俺のケツの痛みが消えた。泌尿器科の医者が確認し、嬉しそうに「完治しました」と言う。
「本当に、すぐ済むんだな。ありがとうな」と俺。
「どういたしまして。あとは俺が…」と、タバコ好きの医者が言い、『凝』を使い 俺をじいっと見てる。そして「よしっよしっ、大丈夫だ。法皇陛下、15歳じゃなくて12歳で、念能力者に成れますよ」と告げる。「どうやったのだ?」と、泌尿器科の医者が聞く。「なーに、一年や一歳につき、1週間 俺が禁煙すればいいだけだ」と、タバコ好きの医者が言う。
「禁煙、出来るのか?」と泌尿器科の医者に聞かれ、「ドクター直江 嘉人の生まれ変わりの法皇陛下の為なら、3週間禁煙なんて余裕だ」とタバコ好きの医者が言う。
「ありがとうございます」と俺は、深く頭を下げてお礼を言う。
「法皇陛下にお礼ならともかく、頭下げられる程のことではありません。あと そこのクソ女、名字は横山です。知っておいて、取り引きにでも使ってください」とタバコ好きの医者。
「内緒にするって、言ったじゃないですか!」と、名字が横山だと発覚した、ジャンボ・テレジアが叫ぶ。
「道理でな。横山という名字を秘密にし、ひた隠しにしてきたジャンボ・テレジアは、息子であろう 横山 ケンジの、やることなすことを褒める。他の子供たちには厳しくあたり、よく理由が分からないけど、俺を目の敵にしている。その理由が分かったよ。ジャンボ・テレジアについては、罪と罰を覚悟しておくんだな。」と俺。
「待ってください!私が、ケンジのそばに居てやらないと…」と、弱々しくなった ジャンボ・テレジア。
「知らねえよ!じゃあ、もう帰るけど 医者たち、どうもありがとうな」と俺。
「どういたしまして。凄え、鳥肌が…。世界一の外科医、直江 嘉人の生まれ変わりに、御礼を言われた。医師として、一生分の手柄だー!」と、3週間も禁煙しないといけないのに、医者たちは大喜びだ。
そして、なんとか東京サレジオ学園の『ねむの家』へと、帰る運びとなった。意気消沈している、ジャンボ・テレジアとね。
《監視されてるけど、独りぼっちではない方を選ぶか?孤独だけど、自由を選ぶか?2017/01/13 今現在の俺は、孤独だけど 監視はされていない。けれども、これを自由とは呼べない。12歳で、念能力者に成る筈が、今年で36歳に成るのに、念能力が復活しない。チャンスはあった。だけど、全宇宙の支配者 クソ大和田と大和田の側の人間たちの嘘に、みんな騙され 俺のことを勘違いされる。結局、この2回目の東 清二としての人生では、念能力者だったのは、四日間と二日間だけだ。長ければ 寿命まで、あと15年待たないといけない。短ければ、今日にでも 念能力が手に入る。だから 、ものも言わず 黙りこくって待ってんだ。日本中だけじゃなく、世界中の名のある人々が、勿論 俺の側の人間たちが、待ってんだ。そう 俺が、革命を起こす日をね》
こうして、専門外の医者の念能力で、俺のお尻のえぐい怪我が、無事 完治した。これで3話に渡る、俺の悲劇のお尻シリーズも終わった。嫌な思い出で、嫌な話しでしかなかったけど。次回の話は、ジャンボ・テレジアへの懲罰人事と、居なくなる人居なくならない人の話です。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!