第六十八話 お尻に木の枝が刺さったまま、ドッチボール
前回の話の続き、お尻に木の枝が刺さったまま、ドッチボールをさせられる悲惨な話です。
まずは、俺のケツについて。お尻の肛門の奥に、木の枝が刺さり 尚且つ枝は折れ、取り出せない。歩くたび、動くたびに ケツに激痛が走る。何で こんな事になっているのか、説明しよう。ここは、児童養護施設 東京サレジオ学園の敷地内だ。そこに小学校二年生になった、俺 東 清二が暮らしている。東京サレジオ学園には、上級生も居て、小学校三年生の熊谷 ツヨシと同じく 小3の横山 ケンジという、輩たちが犯行に及んだ。好き勝手にね。その上、口止めをして、2人とも逃げ出した。結果、俺のお尻に 木の枝だけが 痛みとともに残った…。
途方に暮れた 俺は、鏡の前なら 木の枝は取り出せるんじゃないかと、『ねむの家』に帰る。ただ 鏡を見ながら頑張っても、余程 肛門の奥に木の枝はあるのか、取り出せない。しょうがないので 手を洗い、救急車を呼ぶことにした。ただ 電話しようとしても、『ねむの家』はもぬけの殻で、大人が誰もいない。そして 『ねむの家』の子供は、お金を持たされていない。僅か 小2の俺は、救急車を呼ぶ 電話番号を知らなかった。なので、ジャンボ・テレジアという 日曜日にするドッチボール担当のシスターの所に、行くしかないと 苦肉の策で、結論した。
何とか 激痛に耐え、ドッチボールの行われる坂の上までたどり着くと、当然のようにドッチボールが行われている。そして、俺に気付いた ジャンボ・テレジアが、プラスチック製のバットを持って、「大遅刻よっ!当然、ケツバットよっ!」と怒鳴る。
「ジャンボ・テレジア!今、それどころじゃないんだ。救急車を呼んでくれ」と、悲痛な声の俺。
「はあっ!?ケツバット これから受けるからって、救急車を呼べって?何が、サレジオ始まって以来の天才よ。とんだ、軟弱者じゃない」と、ジャンボ・テレジア。
「いいから、救急車を呼んでくれ…。」と俺。
「まあ いいわ。今 ドッチボールの最中だから、決着がついたら きよじ には、いつもより多めのケツバットにするわ」とジャンボ・テレジア。
「お前、まだ ケツに棒刺さってるのか?」と、熊谷 ツヨシが、ジャンボ・テレジアに聞こえないように、小さな声で言う。
「ああ。『ねむの家』の鏡の前で、頑張って 取り出そうとしたけど、無理だった。もう あとは、救急車しかないだろ」と俺。
「ひがしきー、秘密は守るものだぞー。オレのせいじゃないからなー」と、横山 ケンジの、明らかに知恵遅れの、虫酸の走る 声がした。
「ふざけやがって、クソ先輩共が。じゃあ 俺、今日のドッチボールは見学で。その後、救急車に乗る」と俺。
「だから、たかだか ケツバットで、何で救急車を呼ぶのよ。それより、大遅刻の理由を言いなさい!」とジャンボ・テレジア。
「遅刻の理由なら、熊谷とケンジに、聞け」と俺。
「きよじ!オレは止めたからな。枝が折れたのは、ケンジのせいだからな」と、焦る 熊谷 ツヨシ。
「ひがしきー、オレのせいじゃないからなー」と、同じセリフを繰り返す、クソ野朗 こと横山 ケンジ。
「何があったか知らないけど、先輩の言うことは聞くものよ!じゃ、ドッチボール再開!」とジャンボ・テレジア。
「ひがしきー、ほらな。センパイの言うことは、聞くものだって シスターも、言ってるだろー」と、クソ大和田の側の人間の、横山 ケンジが言う。
そのまま ドッチボールが再開され、俺は 動いたらケツに激痛が走るし、この後の治療のことも考えて、コートの外野で、ひたすら おとなしくする事にした。だが、ジャンボ・テレジアが再三、挑発してくる。確かに、いつもの俺は、ドッチボールでは活躍し、最後の方まで ドッチボールのコートに残っているけどね。内野の人数が少なくなってきた時、「きよじ!強制よ、内野に入りなさい!」と、俺の状況がまるで分かっていない、ジャンボ・テレジアの命令が出る。
渋々、俺は内野に入り 下半身を棒のように固定するイメージで、上半身だけで動くようにする。まあ、ケツにも木の棒が刺さっているんだけどね。いつもとは違く、ひたすら動かない俺を見て「本気を出さないと、いつもより多く ケツバットよ!」とジャンボ・テレジアがほざく。とうとう内野は、俺1人になり ジャンボ・テレジアと俺の、一対一になった。ブチ切れてる俺は、ボールに回転をかけ 野球で言うところの、カーブやシュートを投げつける。しかし、ボールに当たってアウトになったジャンボ・テレジアが「変化球を投げていいと、思ってるの!きよじは、大遅刻をした罰として 私は復活して内野に残るわ」と、言いやがる。
「分かった。こちらのチームの負けでいい。だから、救急車を呼んでくれ!」と俺。
「こちらのチームの勝ちね。分かったわ。きよじには、救急車じゃなくて ケツバットね」とジャンボ・テレジア。
「シスター ジャンボ・テレジア!俺のケツに、木の棒が刺さっているんだ。激痛で、動けないんだよ」と俺。
すると「ひがしきー、秘密は守るものだぞー」と横山 ケンジの、耳障りな声がする。
「ケンジ!そんな事、言ってる場合じゃないんだぞ」と熊谷が言う。
何も知らない、ジャンボ・テレジアが「そちらのチームが負けたので、代表して きよじに、ケツバットよ!きよじは、ケツバットに慣れてるから、お尻を出しなさい。大遅刻の分も合わせて、いつもより、キツイお仕置きよ」と言った。
「だから、そんな事 してる場合じゃねえんだよ」と俺。試しに俺は、自分のお尻を見ると、案の定 血まみれになっている。
それを見た、ジャンボ・テレジアは 慌てふためき「何で 血まみれに…。」と言う。
「ひがしきー、秘密は守るものだぞー。オレのせいじゃないからなー」と、もう 二度と聞きたくない、横山 ケンジの声がした。
「だから、救急車 呼んでくれと、言ってるじゃねえかっ!」と俺。
「待って!説明して!何でそんなに 血まみれになるくらい、怪我をしてるの?」とジャンボ・テレジアが聞いてきた。
「しょうもない先輩2人に、木の棒の枝でケツほじくられ、肛門の奥に入ったところで枝が折れ、救急車を呼んでくれと言っているのに、ドッチボールをさせられると こうなるんだよ」と俺。
「待って!それだと、重大な犯罪なの。誰が、そんなことしたの?言いなさい!」とジャンボ・テレジア。
「ひがしきー、秘密は守るものだぞー。オレのせいじゃないからなー」
「だから、ケンジ!そんなこと 言ってる場合じゃねえんだよ!」
「今 オレのせいじゃないからなーと言ってた奴と、そいつと話してた奴の2人の先輩だよ」と俺。
「待って!熊谷はともかく、ケンジがやったって言うの!それはダメ!それはダメよ!」と、狼狽える ジャンボ・テレジア。
「ひがしきー、秘密は守るものだぞー。オレのせいじゃないからなー」と、知恵遅れっぷりを発揮して、同じ言葉を繰り返す 横山 ケンジ。
「うるせえよっ!救急車呼ぶしかないだろ」と俺。
「待って!ケンジに、少年院に行かれたら 困るの!ここだけの話にして!枝を取って 消毒して、絆創膏を貼れば治るんじゃ…。待って、お尻の中まで ズタズタじゃない!」とジャンボ・テレジアが言う。
「だから 救急車を呼べ、ドッチボールをやってる場合じゃないと、言ったじゃねえか。ドッチボールさせたのは、ジャンボ・テレジアの責任だからな」と俺。
「私の責任…。ケンジが主犯…。救急車は呼びます。子供たちは、『ねむの家』に帰って!何とか ことを大きくしないで、ケンジが少年院に送られないように…。」と、ジャンボ・テレジア。
ドッチボールをしていた子供たちは、『ねむの家』へ帰り 俺は、ジャンボ・テレジアと救急車に乗る羽目になった。そして この事件で、何で ジャンボ・テレジアが自分の名字を秘密にしているのか、何で 横山 ケンジばかりを贔屓し 褒め 可愛がるのかが、見えてくる。
《思い出したくもない、書くのもしんどい話だった。こういう状況が、生き地獄をのたうち回ると言うんだなぁ。じゃあ、2016/12/31 今現在の俺はと言うと、未だに 生き地獄をのたうち回ってたりする。いったい何なのだろうか?このゴミみたいな、クソみたいな俺の人生は。最後の最後の人生、その分 最低最悪の人生。この人生を迎えるにあたって、もっと 文太の言うことを聞いて、しっかり準備しておけば良かったと、今更ながら 後悔している。後悔後の祭りだけどね。よっしゃああ 永く見積もって、あと寿命まで 15年。もう 頑張れないけど、社会の最底辺で 這い蹲って 乗り越えよう。ただ 希望としては、俺の宝物 ピノコ・ナディア・哀姫、逢いにきてくれ!それか、念能力を再び この両手に!あとどれ位、我慢と辛抱と苦労が続くと言うのか?》
こうして 俺のお尻は、血まみれになり 勿論、ドッチボールで悪化した。まともな環境で、まともな教育を受けていたら こうはならなかったのかもしれない。俺は、こんなにも大和田の側の人間たちと その子供たちの居る環境で、生きたことがなかった。全宇宙の支配者 クソ大和田の手のひらの上で、大和田や 大和田の側の人間たちの思い通りに生きなきゃいけないと、こうなってしまった。敵は、全宇宙の支配者で念能力者、俺はただのガキで 才能も奪われ念能力も禁止され、もはや戦いようがなかった。まあ 、いいや。今の俺は、最低限 大和田の居ないところまで、たどり着いた。次回の話は、救急車に乗り 病院へ行き、俺の悲劇のお尻の怪我が、重症だと発覚します。それと医師との、念能力の話もあります。さて、どうなることやら。以上。
読んで頂き、どうもありがとうございました。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!