第五十六話 第三小学校
通っていた小学校の話しと、敵達についての話です。楽しんでいただけたら、幸いです。
俺の名は、名乗るほどのものではありません。じゃなかった、東 清二といいます。親もなく 家族もなく 金もない 家もない、そんな暮らしをしています。学年は、小学校一年生。生意気な、大人びたガキンチョです。俺が住んでいるのが、児童養護施設 東京サレジオ学園 ねむの家です。ねむの家には、小学校一年生から三年生までが暮らし、何かに付けて 毎日、喧嘩ばかりをしている。だから、無駄に 喧嘩のレベルが高い。そして、 小学校一年生の俺の通っている学校が、東京都の西にある 小平市立第三小学校。公立の共学の小学校。ここが、今回の話の、舞台です。
小平市立第三小学校は、不良も居れば、ガリ勉も居る 普通の公立の小学校。勉強には重きを置かず、かといって スポーツにも、力を入れている訳でもない。ただ フレンズと言う、軟式野球のチームがある。俺の将来の夢は、プロ野球選手になることだったから、なるべく早く フレンズと言う野球チームに入ろうと思った。
クラスメートはというと、小学校一年生にして もうフレンズの一員の、池尻と藤田。池尻は、顔は浅黒くて 運動神経も良く、俺とも 俺がフレンズに入って野球がしたい、ということもあり すぐに仲良くなれた。一方 藤田の方は、こちらも運動神経は良く ベビーフェイスで、野球チームの フレンズに入っている。ただ 未だに解明出来ていない、謎も残っている。藤田は、大和田の側の人間で、19歳になった時の俺と 思わぬ形で、多分だけど 再会した。まあ もう終わったことだから、どうでもいいや。
そして クラスメートの女の子に、宮本さんという 整った顔立ちで 気立てのいい女の子が居た。全部が全部 そうではないが、『宮』という文字が 名に含まれた名の場合、宮内庁に関係する人の子供の場合がある。俺が、元 中大兄皇子で、元 聖徳太子だったから、俺が 宮内庁の人を知らなくても、宮内庁の人は 俺を知ってる場合は多い。そんなことは ともかく、すぐ ハニートラップに引っかかる俺は、この宮本さん という女の子に、小さな恋心を抱く。ただ 、いいなと思っているだけで、所詮 小1、何もなかった。池尻には 見透かされ、この時から 俺の好きな女子は、公然の秘密になり 知ってる人は知ってる事となった。知ってますか?嘘が嫌いだと、そうそう秘密なんて 持てないんですよ。
それと小1の時の、俺の担任の先生が 曽務川先生。ダウン症の一種で 顔がダラーンとし、東京サレジオ学園の子供を目の敵にする先生だ。後に分かったことだが、教員免許は持っていなく その上、全宇宙の支配者 クソ大和田の側の人間でもある。この東 清二としての、最後の最後の人生は、至る所に 大和田の側の人間達が配置されている。そして そこから抜け出すことも、突破することも出来ない。よって、ただただ 耐え忍ぶことになる。それが、今に至る。
そんな 曽務川先生が、家庭訪問で 東京サレジオ学園 ねむの家に、やって来た。運が良いのか悪いのか、ねむの家には 小3の番長 サイトウ ハヤト君、通称 ヤトさんが居た。そして 、曽務川先生を見た ヤトさんは、明らかに苛立ち、不機嫌モードだ。ヤトさんは、知らない人がいると、戦うことを想定し ピリピリする。その上、曽務川先生は 東京サレジオ学園の子供を、敵視している。
そんな状況や そんな時は、佐藤シスター!「ハヤト!そんな顔しない!」と、ヤトさんをたしなめてくれた。だが 、曽務川先生が「ここが悪名高い、悪ガキばかりが収容されているところね。あなたも、私に対して 敵対心むき出しじゃない」と、ヤトさんに向かって言う。
「家庭訪問は、終了で。曽務川先生、もう帰ってくれ」と俺。
「清二!このババア、誰だ!?」と、ヤトさん。ヤトさんは、明らかに機嫌が悪い。
「俺の通っている 小平市立第三小学校の、担任の先生です。ヤトさん、家庭訪問は定期的にあるので、俺にやつあたり しないでくださいね」
「ハヤトは、喧嘩ばかりしているけど 根は良い子で、清二は、正当な理由がないと喧嘩もしないし ねむの家での手伝いもしてくれる子です。確かに ねむの家の子の中には、根が腐っちゃって もう育てようのない子も居ますけど、これだけは はっきり言えます。ハヤトも清二も、良い子です!」と佐藤シスター。佐藤シスターのあまりの迫力に、曽務川先生は タジタになる。
「そんじゃ、家庭訪問 終了で。俺は、曽務川先生を玄関までなら、送ってきます」と俺。
玄関まで 曽務川先生を送り、初めての家庭訪問が 無事?終わった。
「ヤトさん、先公は もう帰りましたよ。うおっ ヤトさん、まだ 恐い顔だ」と俺。
「清二、あんなのが 担任の先公なのか?」とヤトさん。
「子供じゃ 担任を、選べませんからね。どうせだったら、若くて美人の女の先生がよかった」と俺。
「ハハッ笑。だな」とヤトさん。やっと、表情が緩む。
「こらっ 2人とも、女性を顔や見た目で 選んじゃダメよ。なかなか知りえないかもしれないけど、まずは中身よ」と佐藤シスター。
「俺が選ぶとしたら、笑顔重視かな。俺の場合、面白いことを言う 面白いことをする。そして俺は大馬鹿なので、自然と女性が笑顔になる。なので、笑顔の良い女性がいいかな」と俺。
「笑顔か。清二らしいわね。ハヤトは?」と佐藤シスター。
「俺は、若くて美人で 、さらに金持ちの女がいいな」と、男の夢を語る ヤトさん。
「ハヤト!まず 滅多に、独身女性で そんな条件の良い女性は、いないわよ。もう、これだから ハヤトは」と呆れ顔の佐藤シスター。
「ちなみに俺は、生涯独身だろうけどね。ナハハハハッ笑」と俺。
「ハハッ笑。何でだ?清二なら、そこそこモテるだろ」とヤトさん。
「俺には、子種がない。だから付き合うことはあっても、結婚はしません。その分 俺の過去達に、子供が出来て 結婚してくれれば それでいい」と俺。
「清二、子供 出来ないの?過去達って、清二の前世のこと?」と佐藤シスター。
「昔から どの人生で、俺に子供は出来ないです。過去達も 俺の前世ですが、遠い将来 いずれ姿を現わすでしょう。天国は確かに存在して、佐藤シスターなら 天国に行けるでしょうから、天国で俺の過去達に 出会ってみてください」と俺。
「分かったわ。清二がそう言うなら、そうなんでしょう。良かった、私 天国に行けるのね。天国で、清二の前世を確かめる。今から、楽しみだわ」と佐藤シスター。
「清二、俺は天国に行けるか?」とヤトさん。
「ヤトさんは、地上で頑張ってください。クニオ君や 弱い者をいじめる人が、天国に行けるか…?知らん。ヤトさんは、俺と二つしか 歳が離れてないので、どっか 適当な場所で生きててください」と俺。
「適当な場所って、そんなとこ あるのか?」とヤトさん。
「男に生まれたからには、自分で見つけてください」と俺。
《自分が何者かも知らなかったけど、この頃はまだ 良かったのかもしれない。そりゃあ 俺は、トイレの後に お尻を1回しか拭かないから お尻は年中臭く、歯もきちんと磨かなかったから 清潔感は欠片もなかった。それでも 夜はぐっすり眠れたし、なにが理由で ぶっ飛ばされるのか 殴り蹴られるのか分からず、怯えながら 夜を過ごさなくてすんだからね。この後 約2年後、中学生のいる家に入ると、小学生なのに 中学生と戦わなければいけない日々が、俺を待っている》
こうして、全宇宙の支配者 クソ大和田の管理下に 俺はなにも知らずに置かれ、大和田の親友 村上 コウスケが園長を務める、児童養護施設での暮らしが続く。こちらは この消すか消されるかの戦いを、知らないし覚えてもいないのに、大和田と大和田の側の人間の術中にはまっていってしまうこととなる。次回の話は、相変わらず 児童養護施設 東京サレジオ学園 ねむの家での暮らしと、小平市立第三小学校での日々です。以上。
読んでくれて、どうもありがとうございました。よろしければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!