第五十話 奪われる記憶【いなくなってくれ!全宇宙の支配者】
東京サレジオ学園 『ねむの家』に、大人達がやって来て いろいろ やらかす話です。
俺の名は、東 清二。小学校一年生で、小平市立第三小学校に通っている。家も家族もなく、多摩地方にある 児童養護施設 東京サレジオ学園に住んでいる。東京サレジオ学園の中にある、小学校一年生から小学校三年生までが、『ねむの家』で暮らしていて、俺も そこにいる。そこに、全宇宙の支配者 大和田がやって来て、自分が多数決で決めると言ったのに、それすら守らない。時間は夜になり、子供はみんな 眠りについた。
俺は自分のベットで、若干 不安を残しつつ、眠った。すると 物音と「こいつじゃない。こいつでもない」と話し声がする。眠気に襲われながら、俺は起きて やっぱり『不幸の王様』大和田が、「ガキ共は、寝ろ!」と言ったくせに、起こしに来きやがるとは。大和田はクソ野郎だと、改めて思う。このまま 一部屋に15人前後いる子供達が、1人ずつ叩き起こされるのは 嫌なので、「俺なら、ここだ」と 俺は、自分のベットの位置を教え、机の卓上スタンドをつける。
そして、「どうせ、俺に用があるんだろ?」と問う。
「いやあよお、お前は そこに居たのか。このままよお、お前を寝かしとくわけにはいかないと、俺による 大和田御前会議で、決まったからよお」と、大和田が調子こきながら言う。
嫌気がさしながらも、俺は「まだ 眠ってから、一二時間だろう。御前会議と言うなら、最低限 偽者の天皇のとこにでも行ってやれ。1人で決めたことを、大きく言うな」と言う。
「いやあよお、御前会議については、保留にしといてやる。とりあえずよお、お前の記憶をどうにかしないとよお。お前が 俺を、クソ野郎と誤解してるからよお」
「クソ野郎中のクソ野郎じゃねえか。こっちは、眠いんだ」
「いいから、ついて来い。村上と三宅の、許可は取ってある。ついてこないと、ここのガキ一人一人 ぶん殴るぞ!」
「『ねむの家』の子供は、クソ野郎も多いので ぶん殴られても 問題ない奴も、いるんだけどな。食堂に行けばいいのか?」
「ああ。お前に取っても、悪い話ではないからよお」と、大和田。
大和田が持ってくる話って、悪い話に決まっているけど、早く眠りたいから 俺は食堂に行く。
食堂には、大きなテレビカメラと それに繋がれているテレビ、村上 コウスケと三宅シスター、そして見知らぬ 白人と日本人のハーフと思われる 青年がいた。そのハーフの青年は、いずれ役者にでもなるのだろうと、直感がした。まあ 俺には関係ないから、どうでもいいけど。
「いやあよお、このテレビカメラで お前を含めた ここのガキ共を撮影して、公開するからよお。それで見物料を取って、俺は金を手に入れるからよお。そして、スポンサーもやってやる。さすが、大和田だろ」と、自慢げに言う 大和田。
俺は うんざりしながら「また、カメラか。村公と三宅シスターが、大和田の側の人間で、大和田の言いなりなのは分かった。そんで、そこのハーフの青年は誰だ?」と聞く。
「いやあ こいつはよお、お前の記憶を消して 変える事の出来る男だからよお。今からでも、お前が大和田の側の人間になると言うなら、記憶を奪うのは見逃してやっても いいからよお」
「眠いので、とっとと終わらせてくれ」と俺。
ハーフの青年が「『白い巨塔』に、子役で出てた人ですよね。こんな腐れ仕事で、こんな人に出会えるなんて!」と嬉しそうに言う。
「『白い巨塔』は、時間 巻き戻して、最初から撮り直すらしいけどな。こっちは、眠りっぱな叩き起こされて、眠いんだよ。とっとと、かかれ」と俺。
すると、ハーフの青年が ひそひそ話で「あれだけの演技が出来るなら、記憶消されたフリにしませんか?こっちも、合わせるので」と囁く。
「面倒くさいから、全力で来い。将来 役者になる、ハーフの青年」と俺。
「しょうがないみたいですね。俺の本意ではない事だけは、分かってて下さいね」と、悲しそうな顔をするハーフの青年。
ハーフの青年が、俺のこめかみに 両手の握りこぶしを当て、ぐりぐりと圧迫する。俺は、突然 眼から火花のようなものが見え、脳内の記憶が まるでスクロールされてる気がした。「これで、大和田関連の記憶は消去しました」と、ハーフの青年が言う。「まだ 大和田が、クソ野郎中のクソ野郎だと覚えているぞ」と俺。「ちゃんと俺の記憶を消せ」と大和田が言う。「子供にこれ以上したら、廃人になっちゃいますよ!」とハーフの青年。「いいから、やれ」と大和田。「本当に、すいません!全力でいきます。何とか精神を、持ちこたえて下さい!」とハーフの青年。同じように、俺のこめかみが ぐりぐりやられたと思ったら、俺は 前後不覚になり 意識を失った。
『ねむの家』の子供達の話し声で、俺は目を覚ました。何で、自分が食堂に居るのか わからない。食堂には、テレビカメラとテレビが置かれ、見知らぬ大人の人たちがいる。
「清二、やっと起きたか。俺が誰だか、分かるか?」と、言われる。
「小3の番長 サイトウ ハヤト君。みんなには ヤトさんと呼ばれ、いつも恐い顔で 喧嘩ばっかりしてる人」と俺。
ヤトさんは、フフッと笑い「俺のこと覚えているなら、大丈夫だ記憶を消されたとしても」と言う。
「じゃあ 見た感じ朝なので、テレビカメラに写らない場所で、朝飯にしましょう」と俺。
見知らぬ大人達が、こちらを伺い 話し合っている。というか、紛糾している。
「こんなところを撮影しても、何にもならない。ビジネスにも、ならない。自分のお名前、わかりますか?」と、俺が聞かれる。
「今この時代だと、東 清二だ。多分」
先ほど 質問した人が「東宮御所や皇居に、お戻りなるつもりは?」と聞いてきた。
「今は、ない。どっちにしろ、念能力者にならないと、意味がないし戦えない」と俺。
「このままいくと、24時間365日 監視されることになりますが、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないけど、どうせそうなるんだろ?」と俺。
「はい!申し訳ありませんが、こちらとしましても あなた様が、どこで何をしているか把握しておかなくてはいけないので」と、多分 宮内庁 関係者の人。
「テレビカメラのないところに、いれば監視されずに済むか?」
「いえ、ここ『ねむの家』だけじゃなく、児童養護施設 東京サレジオ学園全部が、監視の対象です。カメラがなくても、念能力で 全部屋全て 監視されます」と、心苦しそうな 宮内庁関係者の人。
「理解した。分かったから、帰れ!」と俺。
「いやよお。こいつら宮内庁の関係者達はよお、俺の言うことを聞かないから…」
俺は、話を最後まで 聞かずに「今、発言していたクソ野郎も、連れてけ!少なくても、ここ『ねむの家』には、立ち入り禁止だ」と言い 決める。
「いや、俺の記憶は 消したはずじゃ…」
「人相と風体とイメージで、クソ野郎かどうかは、だいたい分かる。シスター意外は、出て行け!」と俺。
すごすごといなくなる大人達。監視されるのも、納得出来ないけど どうしても念能力者にならないと、何も出来ない。ここ数百年、這い上がっては 次の人生へと送られ、それが これまで続いている。俺は 念能力を禁止されてなければ、余裕で超一流の念能力者なのに!
《僕は願うんだ、自由をこの手にと!ドン・リュシフェルという、本当の自分になることを。哀姫 ニケ姫 ミケ姫と、ずっと一緒に暮らし一緒に生きていける未来を。今は活動休止中の、武装戦線 銭屋一家 そして、コルレオーネ・ファミリーの未来を!もちろん、今 頑張っている 極道達との未来も!少なくても、あと16年待てば 俺は寿命だろう。もう、十分生きた。念能力を手に入れ、きっと願いを叶えるんだ》
こうして 大和田だけじゃなく、俺がどこで何をしているか 知っておきたいという、宮内庁の関係者の働きかけもあって、念能力で 24時間365日監視する仕組みが作られた。それが いつの間にか、料金を払えば、一般の人でも パソコンで観れることになる。そして 俺が卒園するまで、監視は続くこととなる。次回の話は、記憶が奪われた分 再認識する話です。以上。
読んでくれて、どうもありがとうございました。よろしければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!