第四十九話 多数決【愚の骨頂の全宇宙の支配者】
児童養護施設 東京サレジオ学園に、全宇宙の支配者 大和田が現れ、厄介になる話です。
俺の名は、東 清二。東京都の西の方にある、児童養護施設 東京サレジオ学園で、生きている。東京サレジオ学園の『ねむの家』と呼ばれるところに、小学校一年生から小学校三年生までが、一つ屋根の下で、収容されていて、俺もその中の一人だ。ただ俺は 小学校一年生で、一番年下だから 喧嘩が強くないと、何も出来ない。そんな中、憎っくき宿敵が、性懲りもなく現れる話。
いつものように『ねむの家』の手伝いをしながら、小平市立第三小学校に通う毎日だが、三宅シスターと、東京サレジオ学園の園長の村上コウスケが、不穏な空気で 密談をしている。分かっている事は、俺にとってろくでもない事が起きるということ。何たって 村上コウスケは、大和田の側のクソ野郎で、4人いる、村公の内の一人だ。もう1人の村公こと村内 公一も、俺と同学年の小学校一年生として、『ねむの家』で生活している。なんか俺の、行く場所行く場所に、大和田の側の人間が配置されている。そんな中での密談なので、悪い予感しかしない。
そして、大和田が『ねむの家』にやって来た。『ねむの家』の小1から小3までの子供達が「大事な話がある」と三宅シスターに言われ、食堂に集められた。そして何故か、俺の真後ろには 小3の番長 ヤトさんが居て、こういう時には まるで俺を、何かあった時の盾のように扱っている。
「いやあよお、瀬戸内海での撮影 ご苦労だった。知ってる奴もいるだろうけど、俺は、大和田という。新しく この『ねむの家』の、スポンサーになってやることにした。俺がスポンサーになるからにはよお、もう ここの子供達には 貧乏はさせないからよお」とぬかす。
ヤトさんにも、背中を突かれ「断る!」と言う俺。
「いやよお、お前が何を言おうが、無駄だからよお。ここの園長の村上 コウスケは、この大和田の親友だからよお。お前らの世話をしている、三宅とも話し合って決めたからよお」と大和田。大和田の発言を受けても、村上コウスケと三宅シスターは、黙っている。
すると佐藤シスターが立ち上がり「私は、反対です!ハヤトと清二に大怪我を負わせた張本人に、ここ『ねむの家』に関わって欲しくありません!」と、毅然と言う。
「んだんだ」と俺。
「ああ、俺も 反対だ」と名前の出た、小3のサイトウ ハヤト君。
「いや、反対がある場合には、ここは平和的に多数決で決めるからよお。ただ あらかじめ言っておくけどよお、俺の言うことは 素直に聞いておいた方がいいからな」と大和田。
「それも、俺は反対だ。クソ大和田の言う事を聞いて、ドツボにはまり不幸になってしまった人を、俺はたくさん見てきた。今すぐここから出て行けっ!チョン公以下のエタヒニン以下のゴキブリ以下の、クソ大和田!」と、思わず感情が剥き出しになる俺。
「そうなのか?」とヤトさん。
「はい」と頷く、俺。
「いやっ、お前はそうやって 俺を拒絶して拒否してよお。ここは 正々堂々と、民主主義に則って 多数決で決めるからな。俺、大和田が この『ねむの家』のスポンサーになるのに、賛成の奴は?」と大和田が、勝手に多数決を始める。賛成と手を上げたのは、東京サレジオ学園の園長の村上コウスケと三宅シスターだけで、『ねむの家』の子供達は誰も手を上げていない。
「はいっ、大和田が 『ねむの家』のスポンサーになるのは、反対多数で 却下で」と俺。
「いやっ待てっ!何で、いつもこうなるんだ!大人は、3人いる中 2人賛成だからよお。俺は、スポンサーだからよお。ガキ1人に付き、1万円払う用意があるからよお。1人、1万円だぞ。大和田は、太っ腹だからよお」と、子供を買収しようとする大和田。
「買収!?子供に!私は、絶対 反対です!」と、毅然と凛とした佐藤シスター。
「ああ。俺も、反対だ」とヤトさん。
「もう 子供は、眠る時間なんだよ!とっとと帰れ!クソ大和田!」と俺。
「わかった。1万円で駄目なら、2万円出す。これで、どうだ?俺は、太っ腹だろ?」と、無駄な自信を嫌味な程のぞかせる大和田。『ねむの家』の子供達が、月に2万円と喜び始める。
俺の真後ろにいるヤトさんに「どうせ 月に2万円じゃなくて、一回こっきりで2万円なんで、俺はどんだけ金を積まれようが断るので、とりあえずヤトさんには 瀬戸内海で手に入れた小銭があるので、大和田の話しは全部 断った方がいいですよ」と小声で伝える。
「ああ、分かった。そうしとく」とヤトさん。
「月に2万円か。分かった、大和田が『ねむの家』のスポンサーになっていい」と、小1の吉田大地が認めた。吉田大地はとても性格が悪く、みんなの嫌われ者で、後々 俺にも災厄をもたらす。後に判明したが、大和田の側の人間で、大和田の隠し子でもある。
「他には、いないか?2万円だぞ!」と大和田。
「ひがしきー、2万円だぞ!ひがしきは、貰わないのか?」と、小2の番長 ヨコヤマ ケンジ君が、俺に聞く。
「自分で考えて、自分で決めて下さい。クソ大和田は、俺の憎っくき敵なので、俺は金を貰わないし 大和田の言う事も、聞きません」と俺。
「わかった。3万円出す。これで全員、OKという事で決まりだ。これはもう、決定したことだ。ここに居る誰にも、意見も反対も受け付けない」と、勝手に決めた大和田。相変わらずのクソ野郎っぷりだ。
「ひがしきー、俺は 月に3万円もらうからなー」と、小2のケンジ君。
「ケンジ君は、瀬戸内海で手に入れた 小金があるはずなんですけど。俺は、大和田の存在も言う事を聞くのも、絶対に永遠に反対ですからね」と俺。
「ああ。だな」とヤトさん。
「俺は、もらうからな。月に3万円。『ねむの家』は小遣いが、安すぎるからよ」と、小1の大木茂。大木茂は、過去に大和田に 対俺用に、特攻を植え付けられている。なので、俺にだけは 強くでる。大和田の側の人間で、もちろんクソ野郎中のクソ野郎だ。今はまだ小1だが、この後 大木茂の後輩になる奴は、カツアゲされたり暴力を振るわれたり、悲惨だったりする。
「じゃあよお 俺は約束を守る男だからよお。約束通りの3万円だ」と大和田は言い、財布から3万円だけを出し、テーブルの上に置いた。
「1人、月に3万円じゃねえのかよっ!」と、吉田大地がキレる。
「お前らが勝手に、1人に付き 月に3万円と勘違いしただけだ。一回こっきりで、3万円だ。俺が スポンサーになることに賛成した奴らで分けろ。これで多数決は、俺の勝ちだ。これから ここ『ねむの家』は、俺の好きにさせてもらう」と大和田。
「お前、ふざけるな!」と、大木茂。
「じゃあよお、これからの事を、村上と三宅と話し合うからよお。お前ら ガキどもは、とっとと寝ろ」と、クソ野郎っぷりが、もはや真骨頂の大和田。
「ね、ヤトさん。大和田の言う事なんて、聞かない方がいいでしょう」と俺。
「ああ。だな」とヤトさん。
「子供達を買収して、しかも約束も守らない。私は、大和田とかいう人だけじゃなく、村上園長と三宅シスターにも、怒っています」と、悔し涙を流しながら 佐藤シスターが言う。
「もう多数決では こちらが勝ったからよお。今さら、何を言っても 無駄だからよお。このテーブルにカメラを置いて、『ねむの家』でのアイツの様子を放送するからよお」と大和田。
きっと アイツとは、俺のことなんだろう。「もう 佐藤シスターは、涙を拭いて!俺はもう、眠ります!」と俺。いつもなら、とっくに寝ている時間だ。
「ああ。だな」とヤトさん。
「清二 ハヤト、何も出来ず ごめんなさい!」と、握り拳を震わせながら 佐藤シスターが言う。
《この頃から 20年くらい、全宇宙の支配者 大和田は、俺を監視下におき ことあるごとに俺の邪魔をする。もっと言えば、数百年 邪魔をし続け、大和田と大和田の側の人間達の人生が上手くいかないのも、俺のせいだと難癖をつける。そして 俺にとって、最低最悪のこの人生が始まった。もう 落ちぶれるのは、しょうがないから 大和田のいない所に、行こうとした。今の俺は 落ちぶれてるけど、大和田がたどり着けないとこにいます。あとは【哀姫】と【念能力】を、待っているところです》
こうして、再び 大和田がやって来た。呼んでもいないのに。大和田は、勝手に自然消滅とか してくれないかなぁ。次回の話からは、俺が 24時間365日 監視される仕組みが、出来上がるところです。以上。
読んでくれて、どうもありがとうございました。よろしければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!