弟四話 ピカピカの一年生
やっと小学校一年生。ではでは。
弟四話 ピカピカの一年生
リュシフェル
やっと、サレジオ学園ねむの家にも慣れてきた。そして、春を迎えた。小学校に入学する事になり、準備に追われる。入学先は、小平市立第三小学校。多摩にある、何の変哲もない普通の小学校だ。入学式の記念撮影の後で、担任の先生を紹介された。名前は、曽務川先生という女性の先生らしい。(顔がだらーんとしていて、ブサイクだ。後で知ったことだが、どうやらダウン症の一種らしい)
はじめに、先生の自己紹介があり、(ダウン症の話は、出なかった)そして、みんなの自己紹介が、始まる。さりげなく、可愛い子がいないかチェック。自己紹介を終えると曽務川先生がこう切り出した。
「わたしのクラスには、サレジオ学園という孤児院から来てる子が、三人います。鈴木 翼君、長尾 嫌君、東 きよじ君です。サレジオの子は、危険で凶暴なので、みんなあまり、かかわりあわないようにしましょう。いいですね」
(ふーむ。このくらいのことは、予想の範囲内だ)
「はーい」
俺が、一番大きな声で、一番可愛く答える。翼と嫌は、ずっと下を向いている。これしきの事で、だらしねぇ。下校の時刻になり、帰ろうとすると、曽務川先生に呼び止められる。
「君が、一番大きな声で返事してたわね。いい、サレジオの子には気をつけるのよ」
「はーい。危険で凶暴なサレジオ学園の東 きよじでーす。先生、早く顔と名前を覚えてくださーい」
「嘘でしょ?」
「本当だぴょーん。それでは、失礼しまーす」
こうして、入学式は終わった。
これからは、小学校と孤児院という二重の生活を送ることになる。面倒くせぇ。俺にとって小学校(三小)は、楽園だった。誰からも、強制や命令もなく、喧嘩もほとんどしなかった。ただ、スカートめくりは、正直してみたかった。恥ずかしくてできなかったけど。それに比べて、孤児院は、地獄とはいかなくても、それに近いところだった。枕戦争(夜、嫌いなやつや、適当なやつを何人かで、枕や蹴りでボコボコにする)が毎晩あったし、喧嘩は無い方がありえない状況だったし、掃除は強制で後輩の仕事だった。そのほか、先輩のわけの分からない命令も聞かなければならなかった。だから、俺は常に先輩と喧嘩をしていた。その中で、自分なりに喧嘩のコツを学んでいった。
そんなある日、シスター佐藤に呼ばれた。
「きよじ、大事な話があるの」
「何じゃらほい」
「フジテレビの(白い巨塔)っていうドラマのオーディションがあるの」
「それが、どうかしたのですか」
「それに、清二が行ってほしいの」
「何で俺が?」
「最初は、ハヤトがいるから承諾したんだけど、ハヤトがどうしても行きたくないっていうの。向こうとしては、孤児院の子がどういうふうか知りたいらしいの」
「どうしても、行けと」
「学校休んでいいから。お願い」
「分かりました。行くだけいってみます。落ちても知りませんよ」
「やったー。これで何とかいい返事ができる。急なんだけど明後日、
車でフジテレビまで送るから」
「ハイ、ホイ」
以上、弟四話終わり。
第五話は、ドラマ「白い巨塔」(田宮二郎主演)のお話です。目の見えない少年役で、俺、東清二が、出演していたはずなのですが、DVDには出てきていません。何か分かる方は、ぜひぜひ、情報を。