第四十三話 後始末 【ブレる全宇宙の支配者対俺】
俺の宿敵 大和田が、ブレるところと、ちょびっと喧嘩の話しです。
とりあえず、身体中があちこち痛い。特に、腕と手が重症だ。手に関して言えば、看護婦さんから「 手術をしても もう治らないかもしれないと」、言われている。俺の隣には、小3のサイトウ ハヤト君が、怪我をして疲れてるのに、ブチ切れた顔をしている。夏目 雅子さんも、疲れた様子で青白い顔をしている。それを孤児院の子供達が、遠巻きに見ている。そして いちゃもんをつけてきた、全宇宙の支配者 大和田の、回復と修復を待ってるところだ。
「お前らよお、大和田にこれだけのことをしたらよお、ただじゃ済まないからよお」と、監督。
「うるせえよ、クソ野郎。目ん玉えぐり出して、耳をちょん切ってやろうか。その次は、殺すからな」と、俺。
「いやよお…」と、途端に 威勢の良さがなくなる監督。
「ああっ!怒」と、俺。監督は、大和田の後ろに隠れ、怯えている。
「雅姉も こんな奴とは別れて、残り短い人生 身綺麗にしときなさい。きっと天国で、馬場ちゃんが待ってるから」と、俺。
「はい!馬場さんと、付き合います!」と、夏目 雅子さん。
「じゃあ、俺の手はぼろぼろだけど 足はまだ大丈夫なので、さっきから薄眼を開けて こちらを見ている大和田に、蹴りでも見舞うか」と、俺。
「まてっ、待て!」と言いながら、素早く逃げる大和田。逃げ足だけは、速いんだよな。
「それじゃあ、話し合いだ。こちらの要求は色々あるけど、すぐに東京へ生きて帰ることと、とっくに夏休みが終わっているんだ。クソ大和田の全宇宙の支配者の権限で、時間を巻き戻せ!こちらの要求が通らないと、まずは蹴り上げ 次は殺すからな」と、俺。
「いや、待て」と言った大和田を、蹴り上げる。大和田は監督を盾にして、監督の後ろに隠れる。
「いやよお…」と、監督。俺は、監督の股間を思いっきり蹴り上げる。悶絶する監督。久し振りに、汚い者を蹴り上げてしまった。
「分かった!話し合いをしよう。もう暴力は、無しにしよう」と、大和田。
「ああ」と、ふてくされながらの俺。
「そちらの要求は、分かった。ただよお、お前がかえる孤児院にはよお、俺の側の人間がたくさんいるからよお、多数決で決めるからよお」
「ああ。ご自由にどうぞ」
「まずはよお、夏休みがもう終わっている件だけどよお。そちらが謝罪するというならよお、全宇宙の支配者の権限で、時間を戻してやってもいいからよお」
「断る!何も悪い事をしてないのに、謝罪するわけねえだろ」
「お前は、いつもそうやってよお。こっちが揺さぶりかけてるのに、相変わらずブレないからよお。ただよお、多数決だからよお。時間を巻き戻して欲しい奴は、手を挙げろ」
監督と大和田を除く、全員が手を挙げた。
「待て!ここにいる孤児院のガキにも、俺の側の人間がいるはずだ!何で、俺の言う事を聞かないんだ!」
「暴力じゃなくて、多数決に決めたのは、お前だろ 大和田」と、俺。
「いやよお、この件は 保留という事にしとくからよお。次に、生きて東京へ帰る件だけどよお。多数決じゃなくてよお、お前対、ここにいる俺の側の人間との対決で、決めるからよお」
「ああ。自分で決めた事も守らない、相変わらずのクソ野郎っぷりだな 大和田」と、俺。
まずは大和田に、小3のヨコヤマ ヒロユキ君が指名された。俺が闘うと思っていたら、「俺が、やる」と、同じく小3のサイトウ ハヤト君が名乗り出た。大和田は虚をつかれ、動揺している。「いやあよお、こいつは元 武田勝頼でよお。松田優作の片われでもあってよお…」と、大和田が話している途中で、ヨコヤマ ヒロユキ君対ヤトさんの喧嘩が始まった。壮絶な殴り合いの末、最後まで立っていたのは、ヤトさんだった。喧嘩が始まる前から既に、ダメージがあったのに、よく勝ったものだ。
次は、俺の番だ。俺の対戦相手には、小2の番長 ヨコヤマ ケンジ君が、大和田に指名された。が、ケンジ君は 度重なる暴力と忘却剤の注射のせいで、立ち上がることすら出来ない。
「俺の側の人間の、しかも子供相手に、そんなことをした奴は誰だ!」と、大和田がぶち切れる。
「いやよお…」と、張本人の監督が、消え入りそうな声を出す。
「じゃあ 俺の対戦相手は、大和田で」と、俺
「待て!それは駄目だ。誰か他のガキで、あいつに勝てる奴は?」と、俺をあいつ呼ばわりして、大和田が言う。しかし、誰も 名乗り出ない。
「清二、孤児院がお前を消すために作られたって、本当だったんだな」と、ヤトさん。
「はい。しかも、24時間365日 監視されてますよ。言ったじゃないですか。少年院と、大して変わらないと」と、俺。
「ああ、だな」と、ヤトさん。
《僕は思うんだ!不幸の王様 大和田が、全宇宙の支配者なんて間違っていると!だから、僕は願うんだ!この不幸にまみれためちゃくちゃな世界を、僕の手で変えるんだ!今は何も出来てないけど、いずれ念能力者になり、本当の自分になる。そして 幸福の王子になったら、世界中なんて 簡単に変えてみせる!いずれね》
こうして 大和田と大和田の側の人間による、ブレまくる事態となった。シーソーの原理とやらで、俺が落ちぶれたら、大和田達は這い上がれると 勝手に信じこんだ。だから俺は、いっそ落ちぶれる事にした。すると 全然這い上がれない大和田達が、内輪揉めと潰し合いを勝手に繰り広げる。そんなこったろうと、思ってたよ。次回の話は、いつ東京へ帰れるかの話です。以上。
面白かったら、幸いです。よろしければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!