表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きよじ  作者: 東 清二
43/198

第四十二話 宿命の戦い 【幸福の王子対全宇宙の支配者】

全宇宙の支配者 大和田との、戦い。それを見守る人達の話です。

《腕が肩が、重い。まるで、ただの棒だ。とても重たいね。だけど俺は、この憎っくき敵を馬乗りになり、殴り続けることに決めたんだ。沖田おきた 総司そうじが、いつもそうするように。そして 俺の身体が、この負荷に耐えられなくなり 悲鳴をあげる。やっぱり、天才中の天才 沖田おきた 総司そうじは凄いんだなと、改めて思い知らされる。俺じゃ 所詮、こんなものか。これっぽっちしか、殴り続けられないのか。これで、戦っていると言えるのか!》


夏目なつめ 雅子まさこさんが見守る中、かれこれ2時間ちょい、俺が最も憎む男 大和田おおわだを馬乗りになって全力で、大和田おおわだの顔面に俺の拳を叩き込む。どうやったら 沖田おきたみたいに、三日三晩徹夜で 凄いパンチの回転の速さで、全宇宙の支配者 クソ大和田おおわだを、殴り続ける事が出来るのか?ただ 俺がガキで、弱くて脆いだけなのか?


「ダーリン、もう十分!このままじゃ、ダーリンの身体が壊れちゃう」と、夏目なつめ 雅子まさこさん。思いつめた顔をしている。

確かに、俺の身体は 自分の限界を越えてしまったのかもしれない。俺の拳なんて、皮が剥け肉がちぎれ、骨まで見えてる。指も おかしな方向を向き、多分 折れてるだろう。でも、今殴り続けなくては!憎しみを込め、恨みを込め。ただ ただ、腕を下す 拳を叩き込む。


清二きよじ!もう 終わりにしろ!」と、小3のサイトウ ハヤト君の怒鳴り声がする。

「だって、ヤトさん!こいつのせいで、俺も俺の側の人間も、生き地獄のような状況されてるんですよ!」

「それでも、やめろ!お前、自分の手を見てみろ。手も腕も、おしゃかになるぞ!大和田おおわだが、クソ野郎なのは知ってる。だけど このまま殴り続けたら、お前の手も腕も 使いものにならなくなるぞ!プロ野球選手に、なりたいんじゃなかったのか!」

「潮時か」とつぶやき、俺は 大和田おおわだを殴るのを止め、近くの床の上に転がった。

清二きよじ、次は 俺がそいつを殴る!」と、ハヤト君。

俺は床の上で、脱力しながら「やめといた方が、いいですよ ヤトさん。俺達が帰る 孤児院サレジオは、大和田おおわだが俺を自殺か自決させる為に、作られたんです。そいつを殴ったら、ヤトさんまで、被害を受けますよ」

「そうなのか!」

「俺には 家族はいないけど、ヤトさんには父親がいるので、大和田おおわだには関わらない方がいいですよ。ヤトさんの家族や大事なもの大切なものに、危害を加えるなんて、大和田おおわだ大和田おおわだの側の人間達の常套手段ですよ。だから 本当は、殴れるうちに戦えるうちに、やってしまわなないと」

「分かった。止めとくよ」と、怖い顔をしながらのハヤト君。

「看護婦さーん、手がボロボロになりましたー」と、俺。看護婦さんに、「ボロボロどころじゃない」と、怒られる。看護婦さんに応急処置をされ、俺は 床に大の字で寝っ転がる。このまま 死んで消えてなくなれたらと、切に願う。もう俺は、心なんて とっくに折れているのに!


そうこうしている最中、大和田おおわだの身体の再生と修復が始まる。崩壊していた大和田おおわだの顔面が、徐々に治っていく。全宇宙の支配者の権限で、大和田おおわだが傷を負った場合死んだ場合、自動で再生すると 勝手に大和田おおわだが決めた。不死身の大和田おおわだ。誰に聞いても、何でこんな奴が全宇宙の支配者なんだと言う。


じゃあ、こちらの条件と、大和田おおわだ大和田おおわだの側の人間達とのを比較をしてみよう。こちらは、俺も俺の側の人間達も、念能力を禁止されている。大和田おおわだ大和田おおわだの側の人間達は、汚い手口で みんな念能力を手に入れている。その上、俺が 這い上がりそうになると 難癖をつけられ、俺の才能や金を奪い、大和田おおわだ自身や 大和田おおわだの側の人間達に渡す。もう ずっと、搾取されてきて こんなんじゃやってられない!けれど、全宇宙の支配者の権限で決められると、なかなか抵抗すら出来ない。そして、今に至る。


雅姉まさねえ、もう撮影なんかとっくに終わっているので、この島から出て行こう」

「はい。ダーリン、手が…」

「こんなもの、唾つけときゃ治るよ。雅姉まさねえだって、夏なのに長袖じゃないか」

「白血病だと、あちこち傷むのよ。だから、夏なのに長袖なの。それより ダーリン、このままだとダーリンまで、白血病にされちゃうの」

「問題ない。別に長生きしたい訳でもないし、死んだら 本当の自分にも念能力者にもなれるので、寿命が短くなるのは むしろ望むとこだよ」

「さすが、ダーリン!」

「あとは そこで、自己修復している ゴキブリ以下のクソ野郎ゴキブリ以上にしぶといクソ大和田おおわだと、無駄かもしれないけど、話し合いだね」

「うん」

清二きよじ、夏休みなんて とっくに終わったよな?」と、ハヤト君。

「はい。その点も、そこのクソ野郎中のクソ野郎 大和田おおわだと、話し合いです」


こうして この時もそうだが、今も 俺対全宇宙の支配者 大和田おおわだとの消すか消されるかの戦いが、繰り広げられている。俺の場合は、死んでも 設定はそのままで、消えてなくならない。大和田おおわだの場合は、殺されることが大半だが輪廻転生で、再び生き返り 不幸を振りまく。大和田おおわだの念能力は、幸福のひとの幸せを奪って、念能力を発揮するように 大和田おおわだ自ら設定した。その結果、今 この時代、不幸な人は容易く見つかるが、幸せな人を見つける事が、困難な時代になった。ただし、こちらの勝利は目前だ!もう 俺は、そろそろ寿命だからね。永くても、あと16年待てばいい。あとは、気力と体力が続くかだけだ。以上。

何時になったら、この消すか消されるかの戦いが、終わるのだろう。宜しければ、続編も 楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ