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きよじ  作者: 東 清二
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第三十九話 看護婦から看護師

監督の拷問を、凌いでるところです。

瀬戸内海の小さな島で、これから忘却剤入りの注射を打たれようとされてる。一体全体 何をどうすれば、こんなことになるのだろう。俺が何か、間違えたのか?俺達に、忘却剤入りの注射を打つように指示した、監督の楽しそうな顔を見ると、殺意が芽生える。


椅子に座らせられた俺は、足をベルトで固定される。次は、腕の番だ。そこで俺は、手首を横ではなく、縦にしてみた。俺を椅子に座らせたチンピラが、ちゃんと手首が固定されているか確認しているが、手首が縦だとちゃんと固定されている。そのことを確認したチンピラが、離れた後に 俺の手首を横にしてみると、案の定 隙間が出来た。


同じように 椅子に座らせられ、両手両足を固定された、小3のサイトウ ハヤト君と小2のヨコヤマ ケンジ君が、手出し出来ないことを確認した監督が、口を開く。

「いやよお お前達悪ガキ3人にはよお、散々してやられたからよお、忘却剤入りの注射を1本とは言わず あるだけ打ってよお、お前達が泣きわめく顔を楽しみにしてるからよお」と、ほざく。

「注射1本で、帰れるんじゃないのかっ!」と、ハヤト君。

「お前達3人は、身動きが取れないようにしたからよお。お前達の心を折るまで、注射とともに 思う存分ぶん殴ってやるからよお」と、監督。


先ずは 俺から、悲壮な顔をしている看護婦さんに、忘却剤入りの注射を打たれる。注射を打たれて、少し経つと、確かに頭がボーッとする。ただ、別になにも忘れてなんかいない。小3のハヤト君も小2のケンジ君も、同様に注射を打たれる。さすがに2人が、どんな状態かまでは分からない。


「注射1本 打ったらよお、1発ぶん殴るからよお」と、ご機嫌そうな監督。

「クソ野郎がっ!」と、俺。怒りのあまり憎しみのあまり、俺の顔が引きつる。

小1の俺と小3のハヤト君と小2のケンジ君が、チンピラ達に1発ずつ顔面を殴られる。痛みよりも、憎しみの方が勝っているので、あまり痛くない。痩せ我慢も、この人生で覚えた。そんな中、監督と看護婦さんが、何やら揉めている。そして、2回目の注射の、俺の番となった。


「ごめんなさい。私だって、こんな事 したくない」と、看護婦さんが、悲しげな顔で、俺に言う。

「どんまーい!俺だって こんな事、されたくない。看護婦さんも、ここに来ることになったのは、監督とチンピラ達に汚い手を、使われたんでしょ」と、俺。

「家族を人質に、取られているの。捕まってはいないけど、居場所をしられてるので、どうしようもないの」と、看護婦さん。

「看護婦さんは 知らないだろうけど、監督もチンピラ達も 全宇宙の支配者 クソ大和田おおわだの側の人間達ですよ。だから、やり口が汚い。クソ大和田おおわだの側の人間達は、クソ野郎とクソ女の集団ですからね。看護婦さんが、監督の言うことを聞いて、それで看護婦さんの家族が無事でいられるなら、嫌だろうけど しょうがないですね」と、俺。

「本当に、ごめんなさい。子供に、大人が暴力を振るうなんて!」と、看護婦さん。

「俺の場合は、こういう事に慣れているので、大丈夫ですよ。それはそうと看護婦さん、俺の隣りの隣りで ブチ切れてる 小3のサイトウ ハヤト君と、俺は どっちがかっこいいと、思いますか?」

「フフッ笑。この状況で、そんな事 言っていられるの。強いのね、きっと。私は結婚していて、子供もいるから、どちらでもないわ」

「ぬおーっ、それじゃ、しょうがないか。ちなみに 将来的には、看護婦さんも 看護師と呼ばれるように、なりますよ。婦人の『婦』が付くと、ろくなイメージが、なかったりしますから」と、俺。

「そうなの?そうなったら、嬉しいわ」と、看護婦さん。


「そこの2人よお、話し合ってないで、とっとと注射しろっ」と、監督。

また、2回目の注射を打たれる。相変わらず、頭はボーッとしているし、視界や輪郭までぼんやりし、身体中がふにゃふにゃになった感じがする。

《修羅場かー、もう飽きたけどね。》


十数本目の注射で、用意していた忘却剤が、なくなったみたいだ。その間、10数発殴られているけどね。少なくても、これで注射は終わりだ。だが 監督が「別に死んだって構わないからよお、撮影中の事故死として報告すれば、いいからよお。これからは、拷問の時間だからよお」と言う。チンピラ達も、了解したみたいだ。


「ヤトさん、まだ意識ありますか?」と、俺。

「ああ。ギリギリだけどな」と、ハヤト君。

「もう俺は、戦う事を選択しますからね」と、俺。

「出来るのか?」と、ハヤト君。

「はい!」そう言い、俺は 手首を縦ではなく横にして、隙間をつくり拘束していたベルトから、手を引き抜いた。足のベルトも外し、自由になった。監督とチンピラ達は、それを予期しておらず 慌てふためいている。

「さあ 復讐の時間の始まりです。俺は、憎しみは 一生忘れないからな!」と、宣言する俺。


こうして、我慢 苦労 辛抱の限界を超え、俺はやっぱり戦うことにした。体調は悪いけど、まだ 戦えると思うんだ。殺すつもりなら、殺されることも、覚悟しなければならない。次回の話は、やっと最後の反撃です。以上。

あまり楽しい話ではないけれど、面白かったらよかったです。続編も、楽しみにしてくれると、嬉しいです。

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