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きよじ  作者: 東 清二
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第三十八話 忘却剤

監督が拷問を、楽しんでるところです。

何で、こんなことに なったんだろう。瀬戸内海の小さな島で、夏目なつめ 雅子まさこさんの主演映画を、撮影した。俺は、出演していない。監督が、孤児院サレジオの子供達には、ギャラは払わないと宣言した。揉めた。小さな争いが、起こった。俺も、巻き込まれた。やられたら、やり返せで、ボコボコにされたり、ぶっ飛ばしたり。結果、今 監督と 対峙している。


「クソ監督!もう 夏休みなんて、とっくに終わってるだろ!」と、俺。

「いやよお、こんなはずじゃなかったからよお。もうよお、お前たちには、全て 忘れてもらうことにしたからよお」と、監督。

監督が 連れて来たチンピラ数名に、新しく 看護婦姿の女性がいる。いなくなったチンピラもいるが、まだ 残ったチンピラもいる。何やら 薬品や注射器を、用意している。嫌な思いと、悪い予感しかしない。


「いやよお、注射1本打って 、ここで起きた事 全てを忘れたら、東京に帰してやるからよお」と、監督。

「はーあっ⁉︎」と、俺。俺、映画に 出演してないのに。なんで、巻き込まれるかなぁ。

「いやよお、この注射にはよお、忘却剤が入っているからよお。最近 起きた事を、しっかり忘れることが出来るからよお」と、監督。

「だから 俺は、口外しないと 言ってるじゃねえかっ!」と、俺。

「いや、この注射は お前だけではなく、ガキ共全員に打つからよお。注射1本打ったら、東京に帰れるなんて、いい取引だろ」と、監督。


「そもそも クソ監督は、取引の意味が分かってない。俺は 注射1本打って帰りますが、ヤトさんは どうしますか?」と、俺。

「幸い 金が手に入ったし、注射打って 、とっとと東京に帰ろう」と、ハヤト君。

「了解しやした」と、俺。

俺とサイトウ ハヤト君とヨコヤマ ケンジ君は、取り敢えず 強くて生意気だから、という理由で 注射は後回しにされた。


ここで起きた事、見た事、聞いた事を、口外しないっという契約書にサインした子供さえ、注射を看護婦さんの手で、打たれる。注射を打たれた子供は、目が虚ろになり 体が脱力状態になり、受け答えさえ出来なくなる。そんな中、監督が質問し、子供は 意識が朦朧している中、ここが何処で 自分が誰か、分からなくなるまで、追い込まれていく。こんな事が、あっていいのだろうか?


「ヤトさん。この感じだと、俺たちは注射1本どころじゃ、済まないでしょうね」と、俺。

「ああ、だな」と、ハヤト君。

「いっそ、忘却剤入りの注射を、クソ監督に打つというのは どうでしょう?」と、俺。

「ハハッ 笑、だな」と、ハヤト君。

「もう最悪、忘れたふりでもして、とっとと東京に帰りましょう」と、俺。

「ああ」と、ハヤト君。


《これから自分達に、降りかかるであろう事態を、目の前にして、ほとほと この最低最悪の人生に、嫌気がさす。本当の自分【ドン・リュシフェル】でもなく、念能力を禁止され、才能も ことごとく奪われた。俺の側の人間に会っても、力及ばずで、残ったのは スッカスカのかっすかすの自分。自分で、自分のことすら 守れないなんて!オーライ、もう なるようにしかならないさ》


「ヤトさん、今 居る 看護婦さん、案外 美人じゃないですか?」と、俺。

「ハハッ笑、今 話すことか?」と、ハヤト君。

「今じゃないと。これから 記憶を失うかも、しれないんですよ。あーあ、このまま 死んで消えてなくなれたらなぁ」と、俺。

「どんな人生を送ってきて、どんな人生が待っていたら、そんなことになるんだ」と、ハヤト君。

「最低最悪の人生。その分、最後の最後の人生。じゃあ ヤトさん、どっちが看護婦さんにモテるか、勝負しましょう」と、俺。

「ああ。別にいいぞ」と、ハヤト君。

「勝った方には、1発 監督を、ぶん殴れるという賞品が、あったりなかったり」と、俺。

「ハハッ笑。それも、いいな」と、ハヤト君。

「そんじゃあ もう、終わらせてくる。俺の中では、嫌な事は 速く終わらす、ですからね」と、俺。


もう 孤児院サレジオの、小1から小3の子供達も、全員 注射を終えたみたいだ。残すは、俺とサイトウ ハヤト君とヨコヤマ ケンジ君だけだ。忘却剤入りの注射を、打たれた子供達は、目の焦点が合わず どんよりしていて、まるで薬物中毒のジャンキーの集団みたいに、なっている。監督が連れて来た看護婦さんは、申し訳なさそうな 済まなさそうな、厳しい顔をしている。こんな人が、進んでこんな事をするわけがない。きっと、看護婦さんなりの、訳や理由があるのだろう。それにひきかえ監督は、心から楽しそうにしている。もうこの男は、全宇宙の支配者 大和田おおわだの側の人間だけあって、根っからの悪人で クソ野郎なんだろう。


「監督っ、俺たち3人を残して、もう全員 注射1本打っただろ!もう その辺にしとかないと、先ずは お前をぶっ飛ばして、忘却剤入りの注射をありったけ打って、その後 俺の手で、ぶっ殺してやるよ」と、俺。

「まてっ待て!分かった!こいつらには、この辺にしておく」と、慌てる 監督。

「じゃあ、俺達の番で。何で こんな事になるのか、さっぱり分からないけどな」と、俺。

「次はよお、楽しみに取っておいた、お前達 悪ガキ3人の番だからよお。お前達が、泣いて叫んで、俺に許しをこうのが、目に浮かぶからよお。俺と俺の仲間達の恐ろしさを、たっぷり教えてやるからよお」と、ニヤニヤ笑いながら、言う監督。

「じゃあ ケンジ君はともかく、俺とヤトさんは 気持ちを強く持って、乗り越えましょう。たかだか、注射と拷問」と、俺。

「ああ、だな」と、ハヤト君。


こうして悪い大人達による、悲惨な状況になった。 この後、1本どころじゃ済まない注射と、納得のいかない詰問が、待っている。まだ この頃は、自分が全宇宙の支配者になれる事と、もっと早く その事に気付いて、戦う道はなかったのかと、今になって思う。次回は、監督とチンピラによる悲惨な状態と、看護婦さんにまつわる話です。以上。

新年明けましておめでとうございます!今年も、よろしくお願いします。

さて、今回の話は あまり楽しめる内容ではないかもしれませんが、続編も、楽しみにしてくれると、嬉しいです。それでは!

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