第三十四話 嘘発見器と全宇宙の支配者
映画の撮影を終え、監督と嘘発見器と戦っているところです。あと 全宇宙の支配者にまつわる話です。
夏目 雅子さん主演の映画の撮影も終わり、雅姉不在の中 監督をぶっ飛ばしたら、ヤクザがやって来た。こちらの事情を説明し、俺が誰であったか話し 「念のため確認する」とヤクザ達は帰って行った。俺も サイトウ ハヤト君も ヨコヤマ ケンジ君も 他の孤児院の子供達も、さすがに これで東京へ帰れると思っていた。
そしたら この映画の監督が、また誰かを連れて 切羽詰まった顔で やって来た。
「お前らガキ共のせいで、俺がヤクザに 怒られたんだぞ。ヤクザでは 駄目だったからよお、俺の仲間達を連れて来た。契約書にサインしていない奴は、ぶん殴ってでも 言うことを利かすからよお」と、監督。今度は 根性腐ってそうな、数人の大人の男達を連れて来た。
《何で このクソ監督は、自分が悪いと反省しないのだろう。俺が 何度も、ぶっ飛ばしたのに。映画のスタッフに聞くと、帰りの旅費は 監督が管理してるみたいだ。俺は 契約書にサインはしないけど、口約束なら ちゃんとするのに。せっかく 雅姉に会えて、いい思い出になるはずだったのに!》
「でっ、クソ監督がしょうもない大人達を連れて、何の用だ?」と、俺。
「いやぁよお、お前らを このまま帰すと、何言いふらされるか分からないからよお」と、監督。
「清二、無事に帰るためには サインした方がいいか?」と、ハヤト君。
「自己判断、自己責任で。こうなるんだったら、ヤクザ達の方が よっぽど話しが通じて、よっぽどマシだったなー」と、俺。
「ひがしきー、俺はもう 帰りたいから サインするぞー」と、ケンジ君。
「どうぞ、ご自由に。あーあ 俺としては、ここもしょうもないけど、帰ってもしょうもないんだよなー」と、俺。
「ぶつくさ言ってないでよお、サインしてない奴は そこに並べ!」と、クソ監督。
サイトウ ハヤト君 ヨコヤマ ケンジ君、そして 俺が並ぶ。三人とも、憮然な顔で。
「今日は よお、嘘発見器を持って来たからよお 俺に嘘は通じないからな」と、監督。そういえば、クソ監督が連れて来た しょうもないヤクザにもなれないチンピラ達が、説明書を見ながら 嘘発見器と思われる装置を、セッティングしている。
「クソ監督!俺の出演シーンはカットしたんだし、契約書にサインはしてないけど、口外はしないと約束すると言っているだろ!」と、俺。
「その言葉が 本当か、嘘発見器にかければ 分かるからよお、お前は後回しだ。お前が何者か、ギチギチ詰問してやるからよお」と、クソ監督。
嘘発見器を前にして チンピラの恫喝があつて、納得はしていないけど 渋々 ハヤト君もケンジ君も、契約書にサインをした。次は、俺の番か。どうしたものか。
取り敢えず 嘘発見器の椅子に座らされ、計器を装着される。そして クソ監督が、ニヤニヤしている。やっぱり、殺しておくべきだったか。
「俺の質問に 正直に答えれば、すぐに 解放してやるからよお」と、気分を害す 笑顔を見せる クソ監督。
「どうせ 長引くんだろ」と、俺。まあ こういう状況には、慣れているからね。
「まずはよお、ここで見たこと聞いたことを口外しないと、約束するか?」と、クソ監督。
「ああ」と、俺。計器を見ている チンピラが、嘘はついていないと、監督に伝える。
「嘘じゃないのか?」と、監督。
「ああ。これで 終わりか?」と、俺。
「いやぁよお あとは、俺はよお 雅子と付き合っているからよお、それも口外しないと約束するか?」と、監督。
「ああ。基本、そんなことどうでもいい」と、俺。また チンピラが、嘘はついていないと クソ監督に伝える。
「じゃあよお、お前が何者かについてだけどよお。この映画の撮影の合間によお、お前の噂を耳にしているからよお。お前みたいなガキに、雅子があんなに嬉しそうな顔をするからよお。お前は 何者だ?」と、監督。
「ただの家族のいない 孤児院の、小学校一年生のガキだ。多分な」と、俺。
「そんな答えじゃ 嘘発見器を持って来た、意味がないからよお。ただのガキに、雅子があんなに信用する訳 ないからよお」と、監督。
「クソ監督、クソ大和田みたいな話し方するな。知り合いか?」と、俺。
「いやっ、その名前を 簡単に口にするな!そもそも、質問するのは 俺だ!お前みたいなガキが、大和田のことを語るな!」と、監督。
「なんだ クソ監督、クソ大和田の側の人間か。どうりで クソ野郎だと思ったぜ。ちなみに俺は、クソ大和田の敵側の人間達のトップだぞ。未だに、消すか消されるかの、戦い中だ。先に戦いを始めたのは、クソ大和田だけどね。大和田を 嘘発見器にかければいいんじゃないか?クソ大和田の言葉ほど、信用出来ないものはないからな」と、俺。監督が 嘘発見器の計器を見て、本当だと知って 仰天している。
「いやよお、そんな奴を このまま帰す訳にはいかないからよお。とりあえずよお、俺だけでも 見逃してくれるように してもらわないとよお」と、監督。急に、弱腰 逃げ腰になる。
「そんで 思い通りにいかないと、完全に消そうとするんだろ。雅姉も、お前みたいなクソ監督と付き合ってるようじゃ、寿命が来てもしょうがないかな。まあ 雅姉には、馬場ちゃんがいるからね。クソ監督 こんな扱いを受けて、俺は憎しみは 永遠に絶対に、忘れないからな!」と、俺。
《知っているかい?この頃もそうだし きっと今も、全宇宙の支配者の名前は 大和田っていうんだ。性根が腐っている クソ野郎で、俺が クソ大和田の言うことを 全部断ると、勝手に 俺が消されるか 大和田が消されるかの戦いを始めた。その戦いが、少なくても 数百年 続いている。ただ 今現在は、こちらの勝利が 確定している。だから僕は祈るんだ。この苦しみと不幸が、早く終わりますようにと!》
こうして監督の正体も 分かり、この後も戦いが 簡単には終わらない。俺は この映画に、出演してないのに。ある程度 時代を過ごさないと、なかなか いい監督は 出現しないみたいだ。以上。
よろしければ、続編も楽しみにしてくれると、嬉しいです。