第三十話 頭蓋骨陥没
映画の撮影が 終わったところと、自分の過去を振り返っているところの話です。
夏目 雅子さん 主演の映画『瀬戸内少年野球団』の撮影も、最後となった。もう 全てのシーンの撮影を終え、これをもってクランプアップとなった。なのに雅姉が 野球のバットを持って、「ダーリン、ちゃんとプロ野球選手になれるように、鍛えてあげる」と、言う。すると監督か「雅子、もう体は限界だろ。すぐ、入院しろ」と、言う。
《この当時、雅姉と 監督は、交際していたので そりゃクソ監督とはいえ、心配ぐらいはするか。まあ いいけど》
「それじゃあ ちょびっとだけ、野球のゴロのノックを」と、俺。
すると「ちゃんと私の愛情を 受け止めなさい!」と、雅姉が言い、火の出るようなライナーのボールが 飛んで来た。それを俺はなんとか、グローブの中に収める。
「軽めだと、言ったのですが。雅姉の愛情は、馬場ちゃんが受け止めます」と、俺。
「それじゃあ、私の気持ちを受け止めなさい!」「私の心を、受け止めなさい!」と、雅姉。2球連続で、鋭い打球が飛んで来た。もう どうしょうもない。俺は、なんとか1球だけは、捕ることが出来た。
「まーさー姉ー。野球の試合において、連打はない」と、俺。
「だって もう私には、時間も出来ることもない!」と、雅姉。
すると、ついさっきまで 撮影していた監督が、俺に「お前だから 駄目なんだ。他の奴なら出来る」と言い、小3のサイトウ ハヤト君と小2のヨコヤマ ケンジ君が、呼ばれ 夏目 雅子さんの強烈なノックを、受けることになった。ハヤト君も ケンジ君も、運動神経は良いが、なんせ使っているボールが硬式なので、なかなか踏み込めない。しかも 教室の中なので、机や椅子が邪魔になる。ハヤト君も ケンジ君も、「やってられるか!」と言い、雅姉の指名で、プロ野球選手を目指している 俺が、再び ノックを受けることになった。
雅姉の気持ちのこもったノックを、教室の端から端まで受け、机や椅子が邪魔なので、蹴り飛ばしながらボールを捕っているうちに、頭から 机や椅子にぶつかることもある。
すると「清二、その頭」とハヤト君、「ひがしき、頭が潰れて へこんでいるぞ!」とケンジ君。自分で 左後頭部を触ってみると、確かに左後頭部が へこんでいた。
《そういえば俺が まだ4歳ぐらいの時に、村松という少年に、俺が眠っているうちに 、車の後部座席に放り込まれ そのまま その車を運転され、あちこちに俺は 体中をぶつけ、打撲とともに 左側頭部 陥没となった。俺は「早く病院へ 連れて行ってくれ!」と、頼んだが、村松は 俺が死ぬまで待って どっかへ捨てるつもりらしく、俺が意識を失って 村松が俺を放り投げた時に、バチカン市国の関係者の車に 拾われた。その車に乗っていた神父達も、俺が捨てられるところを目撃し さらに頭がへこんでいることで、半ばパニックになっていた。そんな中、一瞬だけ 意識を回復した俺は「ホスピタル」と言い、再び 気を失った。次に 意識を取り戻した時は、東京大学病院の集中治療室の ベットの上だった。改めて 東京大学病院の医師に話しを聞いてみると、俺が車から 捨てられてから、3カ月以上たっていた。俺の状態はというと、バチカン市国の関係者に 病院へ運ばれ、すぐに 緊急 開頭手術が行なわれ、へこんだ頭は医師が内側から押し、なんとか戻ったが、脳挫傷がひどく 意識を取り戻すかは、分からなかったみたいだ。一通り リハビリをしている間に、俺が意識を失っていた、数カ月間に 起きたことを、東京大学病院の医師達から 聞いた。まず、俺の偽物が出た。それと、来日予定だった ローマ法王の来日が、無くなったとのこと。理由は まだ子供の俺を、車から投げ捨てる輩がいる国には、ローマ法王自身が 行きたくないとのこと。
東京大学病院の医師達は、俺の偽物が出てきたことに 憤りを感じているみたいだけど、よくあることだと なだめておいた。それよりも、頭蓋骨を陥没した俺を、病院まで連れて行ってくれた、バチカン市国関係者に お礼を言えないかと、東京大学病院の医師に 伝える。そして、本物が 治りましたよっと 連絡してもらい、リハビリが終わったら、正式にバチカン市国へ招待されることが決まった》と、そんなことも あった。
こうして俺の頭は 古傷になり、それが 映画の撮影が終わったあと すぐに、再発した。俺の幼少期は あちこちに飛ばされ、そこで結果を出しては、いちゃもんつけられ、また飛ばされるの 繰り返しで、最終的に ここしかない ここなら24時間365日監視出来る 暗殺も出来ると、全宇宙の支配者 クソ大和田が決め、孤児院に 収容される事に決まった。無論、俺の意思とは 関係なく。次回の話は、俺がバチカン市国へ行った話と、瀬戸内海の小さな島で、映画 撮り終わったあと 何があったかです。以上。
よろしければ、続編も楽しみにしてくれると、嬉しいです。