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きよじ  作者: 東 清二
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弟二話 枕戦争

きよじ 第二話 枕戦争

                      リュシフェル 


新しい部屋もきまり、荷物を置く。大きな部屋にあったのは、それぞれ一人分のベットとタンスだけ。

「やっぱり、お前は、こっちの部屋を、佐藤シスターの部屋を選んだか」と、ハヤトに言われる。(ハヤト.あだ名、ヤトさん。俺より、二つ年上。運動神経抜群。頭も、キレる。俺と同じ、山中星美ホーム出身。喧嘩では、同学年とそれ以下では、無敵。過去に、俺と対戦あり。四月から、サレジオ小学校三年生。)

「ヤトさん、だっけ?ハヤトが、その方が良いって言ったんじゃないですか」

「三宅シスターの担当している、向こうの部屋は、こども寮出身ばっかだし、エイズのやつも、いるからな」

「ふーん。それでですか」

「とりあえず、一年間よろしくな」

「よろぴく」


 その夜、ハヤトに蹴り起こされる。なぜか、枕を持っている。

(面倒くせぇ)

「何すか?」

「お前は、知らないだろうけど、サレジオ学園、ねむの家伝統、枕戦争が、これから始まる」

「だから、何すか?」

「お前は、きよじは、強制参加だ」


 さてと、説明すると夜、みんなが寝た頃に、各部屋の主だった者が、枕片手に、違う部屋のやつら、特にむかつくやつらをよってたかってボコボコにするというサレジオ学園ねむの家伝統の行事らしい。小学校一年生から、三年生の男子だけしかいないのに、この有様。先が思いやられる。


「俺は、いいや、特にむかつくやついないし、面倒くさいし」

「おいっ」

 ハヤトが下っ端に、何かを命じる。

「てめー」

 すると、フミオが、枕片手に殴りかかってくる。俺の頭に、必殺の一撃。少し、いやだいぶ痛い。

「ふーん。枕って、寝るための道具だとばかり思ってたんですけど」

 そんな事を言っている間にもう一撃くらう。さすがに、むかついたので、フミオの鼻めがけて、渾身の一撃。フミオの鼻から、鼻血が滴り落ちる。

 

 喧嘩のコツは、相手よりも、強く殴り、強く蹴る。それで、根性さえあれば、まず負けない。それでもだめな時、例えば、相手の方が体格や力が、上の時は、頭を使う。(頭突き?)それも、かなり有効だが、ただ殴るのではなく、鼻、次にテンプル、そして、首根っことっ捕まえて後頭部から、地面に叩き落す。とか、蹴りなら、まずロー、そして、金的。(反則?)とか。後は、喧嘩慣れすることです。ちなみに、俺の場合は、相手が柔道をやってたら、柔道技で、空手なら空手で、ボクシングならボクシングで倒すのが、大好き。


「もう、勘弁してください。もう、勘弁してください」

 フミオが泣き叫ぶ。文字どうりボコボコにした。ちなみにフミオは、俺よりひとつ年上で、四月から小学校二年生。俺とハヤトと同じ、山中星美ホーム出身。山中星美ホームでは、俺と大の仲良しだった。(それなのに、何でこんな事になるんだ)

「さすがだな」

 と、少し焦りながらハヤトは言う。俺は、枕で素振りをしながら、

「で、てめーはどうするんだ」

「お、俺はいい。もう、きよじとは、一度喧嘩してるし、もうすぐ、時間だし。おいっフミオ起きろっ」

 ハヤトがフミオに、蹴りをいれる。よろよろと、フミオが起き上がる。鼻血が止まらず、ところどころ顔も腫れ始めている。それでも、ハヤトの言うことは、聞くらしい。

「じゃっ行くか」と、ハヤト。

「今日は、もう無理です」と、フミオ。

「じゃっ行くか」と、俺。

ハヤトと俺の二人で、フミオのケツを蹴り飛ばしながら、目的の場所まで進む。そこは、二つの大部屋のちょうど中間地点だった。


 そこには、もうすでに、三人の少年が待ちかねていた。横山 ヒロユキ、横山 ケンジ、そして、バかつお。三人とも枕を持っていた。

「おせーじゃねぇか」(ヒロユキ:四月から、サレジオ小学三年生)

「おせぇぞっ」(ケンジ:四月から、小平市立弟三小学校二年生)

「よおっ」(カツオ:俺と同じく、四月から、弟三小学校一年生)

 とりあえず、ハヤトと俺で、話し合う。

「きよじが、ヒロユキとケンジを何とかしろ。二人とも俺たちとは違うこども寮出身だから」

「ハヤトは?」

「俺は、見てる」

「何だそれ」

「いいからやれ」

「面倒くせぇ」

 とか言ってる間に、ケンジに枕で殴られる。つずいて、ヒロユキに、ついでに、バかつおにも、枕でおもいっきり殴られる。そして、ボコボコにされる。何とか、顔と頭は手でガード。が、どうガードしたって手は、二つしかない。ガードの隙間から、枕、拳、肘が飛んでくる。ハヤトを見る。ニヤニヤ笑っている。フミオを見る。目すらあわせてくれない。同じ、星美ホーム出身たって、こんなもんだ。

(しょうがねぇ)

こういう時は、敵のトップから、つぶすに限る。この場合、ターゲットは、一番年上のヒロユキだ。なるべく、自分のガードをゆるめずに、左ジャブ。打つべし、打つべし。鼻血が吹き出るヒロユキ。すると、ケンジが枕を捨てて、襲いかかってくる。半身でかわし、髪の毛をつかみ、腹に膝げり。怯んだところを右のこめかみに、右フック。コツは、最後まで一気に振り下ろす。バかつおは、目を見開いて、口をあんぐり。

「さあ、どうする?バかつおちゃん?」

「きよじ、強かったのか?」

「さあ?どうするバかつおちゃん」

 すると、ヒロユキとケンジから、

「まいった」

「今まで、喧嘩した中で一番強いぞ」

 との、声。ハヤトとヒロユキが話し合い、これから俺は、枕戦争には、参加したい時にしか、参加しない、ということで決着。こうして、枕戦争初日は終わった。


以上、第二話終わり。






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