第二十七話 男気奢り
紳助さんとの、男気の話です。
瀬戸内海の小さな島の小学校での、俺と紳助さんでの漫才も、無事終わった。これで終わりかと思いけら、俺が紳助さんに、ある提案をする。
「それでは、紳助兄やんの奢りで、何か美味いものと欲しいものを、ご馳走して貰おう。ここんとこ、昼飯抜きだったので、腹が減った。一生食べていくお金が、あるみたいだし、紳助兄やんとみんながよければ、出かけようぜ!」と、俺。
「みなさんさえよければ、全然奢りますよ。仕事の都合で、あまりこの島にはもう居られないですし」と、紳助さん。
「何か、美味しいものを食べまくりたいかー!」と、俺。
「食べたーい」と、子供達。
「じゃあ、先生さえよければ、飯もそうだし、お金があったら買いたかった、何か必要なものを、買いに行こう」と、俺。
「かしこまりました。今日の授業は、中止にします。みんなー、帰る準備と出掛ける用意をして」と、若い女性の先生。
「はーい」と、子供達。
「よっしゃああ、紳助兄やんの、男気奢り!東京では、こうは出来ないからね」と、俺。
「涼はん、奢るのはいいのですが、予算はどれぐらいですか?」と、紳助さん。
「100万円前後。地方じゃ、あまり金はまわってこないし、お金がなくて買えなかったものも、あるだろうし」と、俺。
「そうか、そういうものか。100万円前後ぐらいなら、全然余裕です」と、紳助さん。
「それに、俺に やっぱり紳助兄やんは、男気があって男前だなっと思われるのも、なかなかいいだろ?」と、俺。
「ハハハッ、最高です。そこの女教師、この島 銀行ATMありますか?」と、紳助さん。
「あります!」と、女性の先生。
「じゃあ 大丈夫です。涼はん、1億ぐらい使っても、いいですからね」と、紳助さん。
「さすが、俺の側の人間。銭屋一家 相談役になる男は、違うねー。よっ男前 紳助兄やん」と、俺。
「涼はん、褒めるのは、しっかり奢ったあとにして下さい」と、紳助さん。
「了解。よっ ひょっとこ前!」
そして、この島で一番高い料理屋に、俺と紳助さんと先生と子供達が着いた。
「今まで、値段が高過ぎて食べれなかった料理を、食べ放題ですよー!」と、紳助さん。
みんなで、高級料理をがっついて、食べまくる。みんな、自然と笑顔になる。俺は、ここんとこ昼飯抜きだったので、子供達の中では、一番食べた。紳助さんは、飯の間にも、子供達と先生を笑わせていた。
「ふーいー、満腹満腹。それじゃ続いて、買い物へ行こう」と、俺。
この島唯一の商店で、みんな買いたい物を、先生のところまで持って行って、買ってもいいか尋ねている。文房具用品は、買っても大丈夫みたいだが、予算の関係で、おもちゃは却下されている。
「じゃあこれで、買い物終了。みんなちゃんと紳助さんに、お礼を言って」と、先生。
「ありがとうございました」と、子供達。
すると1人の子供が「先生、これも買いたい」と、野球のグローブを持ってきた。
「ごめんね、それ買っちゃうと、予算をオーバーしちゃうの」と、先生。グローブを持ってきた子供が、哀しい顔をする。
「ホイッ、紳助兄やん、出番だ。速く金おろして来て」と、俺。
「涼はん、あといくらぐらいあればいいですか?」と、紳助さん。
「100万円使ったから、あと50万円ぐらいかな。余ったら、何かあった時の為に、プールしとけばいいし」と、俺。
「かしこまりました。お金をおろしてきます」と、紳助さん。哀しい顔をしていた子供が、グローブが買えると、大喜びしている。
「もうたくさんお金を使わせてしまったので、もうこれ以上は使わせられません。もう十分です」と、先生。
「俺は、野球は日本の国技でいいと、思っている。子供が、グローブ買いたいと言うのなら、お金がある人が出せばいい。じゃっ、紳助兄やん、あと50万円ほどおろして来て」と、俺。
「うん、うん。かしこまりました。お金すぐおろしてきます。野球が日本の国技かー、さすが涼はん、それはいいなー」と、紳助さん。颯爽と、お金をおろして来る。
野球のグローブが、買えた子供は、大喜びで、俺は人はこんなに喜ぶものなのかと、驚く。よっぽど、グローブが欲しかったんだろう。子供達と先生に「ありがとうございました」と、言われ、紳助兄やんも、嬉しさのあまり、顔がホクホクだ。
「じゃあ紳助兄やん、これでこの島での任務、終わりということで」と、俺。
「はい!東京に戻って、どうやったら、涼はんを這いあがらせて、恩返しが出来るのか、何か方法はないのか、頑張って探してみます」と、紳助さん。
こうして、しまだ 紳助さんは、この島を離れ、俺の前からも姿を消した。そして、今現在 2015/09/12も、俺と紳助さんは、この時以来、会えていない。そこには、高く大きな壁が立ち塞がっている。ただ、もうすぐだ。もう最後の最後まで、来ている。きっと、そう遠くない未来に、お互いのビジョンを持って、会えるだろう。俺はもう最期の時を、迎える準備が出来ている。以上。
よろしければ、続編も楽しみにしてくれると、嬉しいです。