第二十五話 漫談
紳助さんと一緒の、時間での話です。
しまだ 紳助さんと、瀬戸内海の小さな島を、ぶらぶら散策する。今のお互いの、状況や状態を確認する。紳助兄やんの状況や状態は、悪くはないが、俺の状況と状態は、最悪と判断された。それでも、久し振りに、俺の側の人間に会えたので、話は弾み、いい時間となった。
多分、この島唯一の、小学校に着いた。「頼もう頼もう」と、俺。勝手に中へ入る。一人ぼっちじゃないと、俺は社交的だったりもする。紳助さんは、小学校の中へ入るのを嫌がったが、せっかく面白い話が出来る二人なのに、誰も聞いてないなんて、勿体無いと、取っ捕まえて小学校の中へ連れて行く。小学校には、小1~小6ぐらいの子供たちと、若い女性教師がいた。「しまだ 紳助!」と、女性教師が驚く。
「涼はん、もう戻りましょう」と、紳助さん。
「馬鹿、分かってねえな。じゃあ授業中止して、俺と紳助兄やんの、面白い話でもどうですか?」と、俺。
「はいっ、是非。みんな、机片ずけて一つにまとまって」と、女性教師。子供たちが、机を教室の後ろの方に移動し、教室の真ん中で体育座りをしながら、一つにまとまる。
「ほら、田舎だと、授業中止して、こういう時間が作れるんたよ。東京だと、こうは、いかない。じゃあ、紳助兄やんと俺で、漫才でもするか」と、俺。
「漫才は嫌です。もう一生やりません。漫才やらなくてよくなった時が、一番幸せでした」と、紳助さん。
「じゃあ、俺一人で、面白い話ためになる話だと、漫談か?」と、俺。
「漫談です」と、紳助さん。
「じゃあ、俺一人で、何か面白い話かためになる話をするよ。一人だと、漫談らしい」と、俺。
「みんな、拍手!」と、女性教師。子供たちが、パラパラと拍手する。
「じゃあ、まずは俺の自己紹介から。東 清二と、言います。家族は、完全にいません。イギリスへ行って、創価小学校へ行って、福岡へ行って、東京に戻って、今ここにいます。ちなみに、正体は喧嘩の強い馬鹿です。そう、皆さんと一緒の」と、俺。
「えー、違う」と、子供たち。
「はっ?喧嘩の強い馬鹿じゃなくても、生きて行けるのですか?」と、俺。
「生きて行ける」と、子供たち。
「じゃあこの、俺のとなりにいる男を見て下さい。しまだ 紳助さんと言って、正体は喧嘩の強い馬鹿ですよ。つい先日も、小学校三年生の内の番長を、返り討ちにしてシバキあげた男ですよ」と、俺。
「フフッ」と、笑う紳助さん。
「そんでこの男は、いい顔っちゃいい顔ですけど、ブサイクっちゃブサイクなんですよ。よく結婚出来たな、という話ですよ、まったく。よっ男前!よっひょっとこ前!しかも、悪徳芸人と言って、後輩芸人のギャラを安くして、自分のギャラを高くするという男です」と、俺。
「涼はん、もうその位で。俺の印象が、悪くなる」と、紳助さん。
「まだまだ、こんな物じゃない。銭屋一家と言って、関西が縄張りのヤクザのトップ集団なんだけど、それの相談役になる事が内定している。その事に関しては、手放しで素晴らしい。銭屋一家は、今活動休止中なんだけど、絶賛、合気道を学んでいるところだから、強くなっていると思う。将来が、楽しみだ。じゃあ、こんなところで、俺の漫談は終わりにします」と、俺。
子供たちも女性教師も、シーンとしている。はっ!失敗だったか?
「涼はん、面白くてためになりました」と、紳助さん。
「うおっ、何だシーンとしているから、つまんなかったと思ったじゃん。紳助兄やんから見て、ツッコミどころや、聞きたい事が満載だっただろう?」と、俺。
「いっぱいありました」と、紳助さん。
「紳助兄やんが漫才やってた時って、1人で2人分以上の仕事をしていたから、しんどくて、いっぱいいっぱいになったんだよ。もちろん、後輩芸人からの、突き上げもあったし。あとは、紳助兄やんは司会の仕事に 力を入れて、楽して儲けて下さい」と、俺。
「司会の仕事、気合い入れて頑張ります。涼はんも、楽して下さい」と、紳助さん。
「俺は死ぬまで、楽は出来ないなー。1人で、ギリギリの生活を送るしか、出来ないなー。俺が落ちぶれて、1人になることを、全宇宙の支配者クソ大和田とその側のクソ達が、望んでいるからね。どうしょうもない。じゃあ、紳助兄やん、漫才の準備でも始めよう」と、俺。
こうして、漫談は終えました。あまり手応えが、なかったけど。次は、禁じられた漫才です。さて、どうなることやら。以上。
よろしければ、続編も楽しみにしてくれると、嬉しいです。