表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きよじ  作者: 東 清二
19/198

第十八話 雅子姉さんと白血病

三度目のお風呂のシーンと、白血病の話しです。

二度風呂から、あがる。指がふやけてフニャフニャになっている。雅姉まさねえはよくこんな長時間、お風呂に入っていられるなー。お風呂好きって、言ってたものなー。一緒に撮影に来ていた、孤児院サレジオの子供たちからは、俺だけ、何度もお風呂の撮影があり、ブーブー文句を言われた。俺が望んだわけでないのに。そもそも、二度目の風呂は、撮影してないし。そんなこんなしていると、なつめ 雅子さんが顔をだす。

「ダーリン!もう一回、お風呂よ。今度は撮影するみたい」と、なつめ 雅子さん。一緒にいる孤児院サレジオの子供たちが、俺がダーリンと呼ばれていることに、動揺が走る。俺は、知らんぷりをする。

「また、喋らない気?ひがし 清二きよじ君、もう今日、最後の撮影にするから!ちゃんと名前も、おぼえたんだから!」と、元気ハツラツのなつめ 雅子さん。

「だー、しょうがねえなー。馬場ばばちゃんの、女の頼みだもんなー。もう、今日最後ですからね」と俺。1日に、お風呂三度も入るなんて、俺の長い歴史の中でも、初めてかもしれない。

お風呂に入る前に、監督に、「謝るなら今のうちだぞ」と言われ、「次は殺すからな」と俺は、答える。険悪な雰囲気の中、撮影が始まろうとしていた。ただ、雅姉まさねえは何だかはしゃいでいて、気付いていないみたいだ。

撮影の前に監督から、「もし間違えたり、嘘をついたりしたら、その映像を公開するからな」と、脅される。きっと、喧嘩で、俺に負けたことを根に持っているんだな。俺は「どうぞ、ご自由に」と答える。こうして、三度目のお風呂のシーンの撮影が始まった。

「もう、お風呂のシーンは、撮り終わっているので、後は一問一答で、お互い意見と情報の、擦り合わせをしよう」と、俺。

「うん。撮影しているけど、大丈夫ダーリン?」と、なつめ 雅子さん。

「大丈夫だー。ただ、話せる範囲で。じゃあ、今 俺が置かれてる状況について。サレジオ学園という、児童養護施設にいる。先生にも、クソ大和田おおわだの側の人間達がいて、子供にもクソ野郎がウジャウジャいる。そこで、もうこれで最後の人生だけど、その分 最低最悪の人生を送っている」

「大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないけど、やるしかない。死ぬのは、ありなんだけど、俺の場合消えて無くならないので、続けるしかない。終わるまで。雅姉まさねえは?」

「私は今、白血病になって治療中。ただ、治りそうにない」

「白血病って、確か世界保健機構に、もう治し方が分かったって、報告したはずなんだけども。【直江なおえヨシひと】っていって、俺が過去に医者をやっていた時の名前なんだけと」

「その名前、何度も聞いた!その人なら、治せるって!」

「うーん。美人薄命かー。これから俺の場合、過去に出来たことが、どんどん出来なくなっていくからなー。白血病って、白血球とか血が駄目に、なるとか?」

「うん。免疫力がどんどん低下して、病気で死んじゃうの」

「多分、血を全部取り替えても、駄目だろうし。血を作るところを、治すなり、移植するなりしないとなー。ただ、雅姉まさねえ全然そんな風に、見えないけど」

「うん。これは話していいか、分からないんだけど、《念能力者》にお金払って、この映画撮り終えるまで、症状が出ないようにしてもらったの。すごいお金かかった」

「《念能力》かー。俺が《念能力者》の時だったら、即完全に根治させるんだけどね。無論、無料でね。まあ、ただ雅姉まさねえ馬場ばばちゃんが大好きなんでしょう?」

「うん。あとダーリンも」

「俺は除いて。ただでさえ、俺と恋愛するはずだった女性達が、順番待ちで渋滞しているから。そうか、ジャイアント馬場となつめ 雅子さんか。 まさしく、ビッグカップルだね。ただ、馬場ばばちゃんがもう死んでるなら、雅姉まさねえも、もう寿命かもしれないなー」

「寿命?」

「うん。おばあちゃんになるまで、生きなくても、キレイなままで、死ぬのも悪くはないかもね。馬場ばばちゃんが生きていたら、俺と雅姉まさねえで会いに行って、何とかなるんだけど」

「でも、馬場ばばさん、結婚してるし」

馬場ばばちゃんの、お金使い込んで、男遊びはっかしていた、クソ女だよ」

「ぶっ殺す!」と、雅姉。

すると監督が、「お前達、いい加減にしろ!《念能力》の話しなんか、公表できるわけないだろ!」と怒鳴った。俺が「何だ、またぶっ飛ばされたいのか?」と言うと、押し黙った。「ぶっ飛ばされたの」と、雅姉まさねえ、思わず笑う。以上。

よろしければ、続編も楽しみにしてくれると、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ