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きよじ  作者: 東 清二
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第十五話 なつめ 雅子

映画の撮影の話です。

「皆さん、遅れてしまってすいませんでした。私がなつめ 雅子まさこです。私の映画へ出演してくれてありがとうございます。私は子供が大好きなので、この撮影を楽しみにしています。よろしくお願いします」とキレイな優しそうな女優さんが言った。なつめ 雅子さんかぁ、覚えておこう。

「撮影準備、始めるぞ」とキライな監督さんが言った。うん、この人のことは、覚えなくてもいいや。

この映画での、俺の役は、耳が聞こえない子供の役らしいので、台本にはほとんど台詞はない。台本も、粗く、見所は、なつめ 雅子さんの体当たりの演技しかない。どの辺が体当たりかというと、子供と一緒にお風呂に入るシーンで、上半身のセミヌードを撮るとのこと。女優さんも、大変だなぁ。うおっ、このままいくと、俺の裸も撮られる事に。まあ、いいや。減るもんでも無いし。

みんなが、台本の確認をしている。俺はほとんどセリフがないので、一つ年上の横山よこやま けんじ君に、セリフを叩き込んでいた。図体がでかくて、運動神経も良いのに勉強が出来ない。なので、セリフも

覚えられない。最近は、『天』も二物を与えることが、出来ることに成ってきたというのに。あっ、ちなみに俺は、何も持っていなかった。あーあ。

取りあえず撮影を始めることになり、子供達全員が席に着く。新人の女性教師役のなつめ 雅子さんの、元気でハツラツとした自己紹介のセリフがあった。さすが女優さん、書かれている台本以上の演技。まぁ、台本自体も、監督も大したものではないのですが。俺は、耳の聞こえない子供の役らしいので、何事も無くやり過ごそうとしている。どうせ、ギャラが出ないしなー。子供達が、何度かNGをして、監督に怒鳴られながら、撮影は続いている。役者志望の子供達が集められたわけでもないし、大して監督が演技指導してくれるわけでも無いし、怒鳴られる筋合いもないと思うのだけど。既に、小3のヤトさんはキレ始めてる。

教室での撮影が、何とか終わり、次はなつめ 雅子さんと子供達が、一緒にお風呂に入るシーンの撮影。小3のヤトさん、同じく小3の横山 ひろゆき君。もう一人の小3の山崎 くにお君は、なつめ 雅子さんとお風呂に入れるという事で「オッパイオッパイ」と、興奮しながらお風呂場へ向かって行った。そういう所がイジメられる原因の一つだと、俺は思うのだけど。残されている子供達は、建物の外で自分の順番を待っている。

ただ俺はというと、前に居た『山中星美やまなかせいびホーム』という幼稚園を兼ねた孤児院で、最初はトイレでうんちをした後は、キレイにお尻を何度かしっかり拭いていたのだけど、『山中星美ホーム』は貧乏だったため、園長に「トイレットペーパー代を節約したい」と言われ、園のみんなはお尻を1回しか拭かないように、教育された。なので、この当時俺のお尻は臭かった。固定観念って、怖いですね。何度かしっかり拭けば、良い事に気付いたのが、小5の夏でした。それまでは、お風呂の時にお尻をキレイに、洗ってました。だから、なつめ 雅子さんとお風呂に入るシーンの時に、お尻をキレイに出来るかどうかを、この時心配していた。

監督に「お前は、何も話さないし生意気そうだから、後回しにする」と言われ、何ともいたたまれない気持ちで、お風呂のシーンを撮り終えた先輩たちの感想を聞いていた。やっぱり、なつめ 雅子さんは素敵な女優さんとのこと。俺は耳の聞こえない子供の役の設定だったので、普通に話していい役は羨ましかった。まったく、監督が決めた設定なのに、何も話さないじゃねーよ。まぁ、生意気なのは事実かもしれないけど。

さあ、そして俺の順番が回ってきた。この映画の監督と、両耳を両手で横に引っ張ったら、俺のシーンは終わりと打ち合わせをして、いざ、本番。

あーあ、なんか書くのも疲れてきたな。それでは!



続編も、楽しみにしてくれると嬉しいです。

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