第十四話 瀬戸内海へ
三年間、時間が戻された後の物語です。
夏休みになった。児童養護施設サレジオ学園ねむの家で過ごす、小学校一年生としての夏休みだ。児童養護施設の子供達の夏休みはというと、親がいる子供は、親の家に帰って親と一緒に過ごす事が多い。完全に親のいない子供や、事情があって家に帰れない子供が、夏休みも児童養護施設で過ごす事になる。ちなみに俺、東 清ニ(ひがし きよじ)はどうかというと、完全に親も家族もいない。なので夏休みは、サレジオ学園ねむの家に残ることになる。家に帰らないで『ねむの家』にいると、シスターから『瀬戸内少年野球団』という夏目 雅子主演の映画から、俺にではなく夏休みに残っている子供達全員にオファーがあったとのこと。シスター達は夏目 雅子、夏目 雅子と興奮していた。俺は断わりたかったのだけど、シスター達が休みが欲しいとのことで、現地に連れて行かれることになった。そういえば修道女達は土日も休み無く働かされてるものなー。という事で、夏休みも児童養護施設に居るしかない、残された子供達で瀬戸内海に浮かぶとある島に向けて出発することになった。メンバーは上から順に、斉藤 早人、小学校三年生。通称ヤト、若干小学校三年生にしてヤト派という自分の派閥を形成している、顔もカッコ良く喧嘩も強い番長的存在。俺はヤト派に誘われたけど、どの派閥にも属してないけどね。だって、喧嘩に関していえば、男に生まれたからには、テッペンを目指さなきゃ。もう一人は、横山 ひろゆき、小学校三年生。細身で顔もよく、喧嘩もそこそこ強い。次が山崎くにお、小学校三年生。おもしろいところがあるけど、イジメられっ子。次は、小学校二年生、横山 けんじ。がたいもよく、運動神経抜群で、喧嘩も強い。先程の横山 ひろゆきの弟で、兄を守る為に強くなったという感じかな。後は俺と同学年の小学校一年生、吉田 大地。チビなのだけど、メチャクチャ性格が悪るく嫌われもの。最後の一人が最近入って来た、大木 茂、小学校一年生。性格は、先輩には、媚びを売り腰巾着で、後輩にはカツアゲをしたり暴力を振るったり。後に、歴代サレジオの先輩の中で、もっとも後輩に嫌われてる先輩になる男だ。大体、こんな面々と一緒に飛行機とフェリーを乗り継ぎ、瀬戸内海の島へ向かった。
夏休み中ということもあって、現地の小学校を使って撮影するとのこと。ただ、夏目 雅子さんはまだ、到着していない。代わりに監督から、映画の説明があった。瀬戸内海の島に、新しく赴任してきた、新人女性教師と子供達との交流を描く物語らしい。こんなものでヒットするのだろうか?渡された台本には、大まかあらすじしか書かれていない。配役は、俺は耳が聞こえない子供の役らしい。セリフを、あんまり覚えなくてよさそうなので、むしろ有り難い。少し遅れて、やっと夏目 雅子さんが到着する。体調不良が遅れた原因らしい。ワーオ、素敵な女性だ。さすが女優さん。少し、撮影が楽しみになった。以上。
何か今回の話は、説明と紹介ばかりになってしまいました。次回は、ちゃんとします。それでは、また。
続編も、楽しみにして頂けたら幸いです。




