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きよじ  作者: 東 清二
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第九話 本番 広末去る

ドラマ「白い巨塔」の本番が始まったところです。

第九話 本番 広末去る

                  リュシフェル

俺に代わりの台本が渡される。中身は生まれつき目が見えなく、目の手術を受けに入院したと書いてある。だいたい読み終わり、俺の唯一この現場で心を許せる広末涼子の偵察に行く。歩けない役なのでギブスをつけているところだった。正確にいうとギブスをつけているように見せているところだ。

「りょーちん痛くないそれ?」

「きよじ心配してくれるの?」ちょっと広末涼子うれしそう。

「まあねー、台本読んだ?」

「うんっ」かわいいー。

「どう思う、このクソ台本?」

「うん、私女優になるのが夢だから頑張らないと」健気。

「そっかー。俺は早く帰りたいんだけどね」


 ドラマ「白い巨塔」の本番が始まった。ちなみに俺は目が見えるようになり退院すると台本には書いてある。まずは広末涼子の出番だ。

「先生ありがとうございました」広末涼子のギブスが割られ、足の状態を田宮二郎が診ている。

「もう大丈夫だから」と田宮二郎。大根?

 これだけで広末涼子の出番は終わった。気のせいかちょっとさみしそうだ。次は俺の出番。セットを移動する。


 俺の目に巻かれた包帯がするするととられる。怪訝な表情な俺。

「もう大丈夫だから」と田宮二郎。大根。看護婦役の女性が俺の目の前でペンライトを振る。

「はあー、見えるとはどの状態をいうのですか?なにも変わりません」と俺、虚ろ。

「も、もう大丈夫だから」田宮二郎、困惑。台本には手術の結果俺の目は見えるようになったと書いてある。

「先生、もういいですから。もともと見えなかったのでどうでもいいです。期待は痛いですからね」優しい俺。

「先生どういうことですか?見えるようになるんじゃなかったんですか?」眉間にしわを寄せた看護婦役の女性。

「お、おかしい。何で見えないんだ」監督を見る田宮二郎。しかし監督も困惑している。だってこんな展開、台本には書いてないのだから。

「先生、目が見えるようのなると何かいいことありますか?例えば女神を得るとか」

「女神?何だそれは」さらに困惑する田宮二郎。

「ただの言葉遊びです。先生、目が見えないと音が見えるんです」少し微笑む俺。

「お、音が見える?」

「はい。先生、目が見えることは普通のことですか?」

「あ、ああ」

「じゃあ僕は普通じゃないのですか?」

「い、いや」再び監督を見る田宮二郎。

「宣誓、僕はくじけません」右手をうえにかざしながらの俺。

「ああ、分かった。もういいだろ」もう、しきりに監督を見る田宮二郎。

「先生、ありがとうございました。宣誓、僕はあきらめません。先生、さようなら」少し疲れた俺。カット。


「監督、これ全部使いましょう。すげー、こんなの初めて見た」とチーフカメラマン。田宮二郎と監督は何やら話しこんでいる。俺も広末涼子と何やら話し会い。中身は内緒。監督に俺と広末が呼ばれる。

「涼子もう帰っていい。充分だ。きよじ君は残りなさい」

「はい。きよじは?」哀しそうな広末の瞳。

「帰りまーす。もう、充分です俺」りょーちんに会えなくなるのは、ちょっぴりさみしいけど。

「お父さんじゃなかった監督、私もきよじの演技見ていたい」

「もうすぐ学校が始まるだろ」

「はい」涙目の広末。

「きよじ君は残りなさい。次の撮影があるから」と監督。

「はい?りょーちん帰るなら俺も帰ります。そういう約束でしょ?」と俺。監督、困惑。

「あんな演技されて帰せるかっ」と監督怒鳴る。

「きよじ、バイバイ」涙がぽろぽろ落ちる広末。

「はあー、なんじゃこりゃ」疲れきった俺。 以上。







 




なかなか更新せず申し訳ありませんでした。今後ともよろしくお願いします。

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