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白昼夢
自転車をかっとばして5分弱。
レポーターが居る表とは逆の、家の真裏に来た。
この小さい町に17年も住んだ僕の頭には、町内の地図なんて、地形も含めて正確に頭にインプットされている。
ひと目見ただけでも、どこの家だか分かった。
人が住んでいないと言われていたはずの、まわりがツタで覆われた家だ。
自転車を適当な電信柱の傍らに停め、裏口からそろぉっと忍び込んだ。
戸を開けると、やけに静かだった。
電気は一切ついていない。
廊下がぎしぎしと軋む音だけが聞こえる。
丁度居間に入ると、一人の人がこちらを向いて立っていた。
窓の外のテレビ局のライトの逆光でシルエットしか見えないが、無表情のまま口角だけをつりあげたようなニヤケたフェイスライン、
山崎さんだ。
「山崎さん!」
僕は山崎さんに駆け寄った。
「無事だったんだ!よかった。」
山崎さんの反応はない。
「ごめんな。」
いつもの元気で活発な山崎さんからは信じられないくらいか細い声で、微かに呟いた。
「え?」
家中の明かりが一気に灯った。
それと同時に、首に痛みを感じ、僕は倒れた。




