とろけそうな月
コンビニを出てから数十キロ走った。
周りはには見渡す限りの田園風景が広がっている。今夜は三日月だ。
「もうすぐだ。」
喋りながら、3本目の煙草に火を点けた。
咥えた煙草の先から白い煙が立ちのぼる。
「ついたぞ。」
川辺に一つ、ぽつんと小屋がたっている。
入り口には「たい焼き」と書かれたのれんがかかっている。
「ただいまー。」
山崎さんが先に入り、僕はそれに続く。
「あれ。まさかその子が、高校生?」
この店の店主かな?キョトンとして僕を指さす。
「そうだよ。俺のたい焼きをうまいうまい言って食ってくれるんだ。」
「ええ!そりゃあ頼もしいなあ!」
頼もしい?どういう事だろう。
「あ、とりあえずここ座ってよ。僕のたい焼きも食べてほしいんだ!」
カタン、と、小皿にたい焼きを乗せて出してくれた。
「いただきまーす。」
修也はいつも通り腹からかじった。
ふわっ
という感じ。
なんだこれ!
ところどころ空気が入っていて、軽いふっくら感がある。蒸しパンのようだ。
そして中はクリームだ。
ドロドロとしていて濃厚で、後味がすごい甘ったるい。(良い意味で)
食べていくうちに、クリームが、生地のところどころにある空間に絡み、生地のふっくら感とクリームのドロドロ感のバランスが神懸っている。
「おいしい!」
店主はすごいうれしそうにニコニコしている。
その横で山崎さんはニヤニヤしている。
僕はたい焼きの虜になっていた。




