第6話 変化
また、明日…か。
そうつぶやいて私は、あったかい気持ちになった…。山田くんは何気なく言った言葉なんだろうけど、好きな人に言われると、こんなにもハッピーな気持ちになれるなんて…
この時、初めて山田くんのことが好きなんだ!って気付いた…
まさか主婦になって、10歳も年下の男の子に恋をするなんて…今までの私なら絶対ありえなかったのに。どうして、こんなに山田くんのことが…
好きになるのに理由なんかいらないのに、理由を探している私がいた…
翌日から山田くんに気持ちを悟られないように、以前と変わらずおしゃべりをする日々…。
告白なんかしたところで、どうにもならないし、せっかくの楽しい関係が終わってしまうことの方が怖かった…。
でも、私自身、自分の変化には気付いていた。
以前は、あんなに好きだったワイドショーや毎日にらめっこしていたスーパーの広告も興味がなくなり、昼間ぼんやりしていることが多くなった…
もちろん、家事は一通りこなしてはいるものの、なんだか心ここにあらず…という感じで、自分の居場所が変わってきていることにも…
そんなある日、体調を崩した私。一応、仕事は出勤したものの、結局、早退してしまった…
帰り際、山田くんが
「明日、俺、休みなんで…明日ムリそうだったら、休み代わりますから…」
と優しい一言。
「ありがとう…」
笑顔で職場をあとにした…
なんとか無事に家についた私は、着替える間もなく吸い込まれるように眠ってしまった…