表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/29

第27話 永遠に…

自分の気持ちに気付いてもどうすることもできないまま、時間だけが過ぎていった…

心の傷はどんどん深くなっていくのに、体の方は徐々にではあるものの、確実に快方に向かっていく現実…

本当にどうしていいか分からない…

けれど、心配して毎日来てくれる子供たちに涙を見せるわけにもいかず…

心とはうらはらに笑顔でいることが、本当につらかった…


そんな生活が、ひと月ほど過ぎた頃、夜、夫が一人でやって来た…

「…博子、山田君が亡くなったそうだ…」

感情を押し殺したように、淡々と話す夫…

一瞬、言葉の意味が理解できずに、夫の顔を見つめ返した。

夫は、私と視線を合わすのを避けるように、窓を眺めながら告げた…

「…今朝、山田君の母親から電話があって…先週末に容態が急変して…本当に急だったらしい…」

昨日、告別式も終えて、少し落ち着いたので、連絡してきたとのこと…

夫の話す言葉も途中から耳に入らなくなった私は、布団を頭からかぶり、声を押し殺して泣いた…

泣いて…泣いて…本当に涙が枯れるまで泣いた私が布団から出ると、夫の姿はもうなかった…


最悪の事態も覚悟はしていた…

山田くんが同じ病院に運び込まれて2週間。依然、意識不明のままだったため、山田くんの実家近くの大きな病院へ転院したのは、親しくなった看護婦さんから聞いていた…

けれど、そんなに危険な状態が続いていたなんて…


最後のお別れも伝えられないまま、本当に永遠に彼を失ってしまった…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ