第27話 永遠に…
自分の気持ちに気付いてもどうすることもできないまま、時間だけが過ぎていった…
心の傷はどんどん深くなっていくのに、体の方は徐々にではあるものの、確実に快方に向かっていく現実…
本当にどうしていいか分からない…
けれど、心配して毎日来てくれる子供たちに涙を見せるわけにもいかず…
心とはうらはらに笑顔でいることが、本当につらかった…
そんな生活が、ひと月ほど過ぎた頃、夜、夫が一人でやって来た…
「…博子、山田君が亡くなったそうだ…」
感情を押し殺したように、淡々と話す夫…
一瞬、言葉の意味が理解できずに、夫の顔を見つめ返した。
夫は、私と視線を合わすのを避けるように、窓を眺めながら告げた…
「…今朝、山田君の母親から電話があって…先週末に容態が急変して…本当に急だったらしい…」
昨日、告別式も終えて、少し落ち着いたので、連絡してきたとのこと…
夫の話す言葉も途中から耳に入らなくなった私は、布団を頭からかぶり、声を押し殺して泣いた…
泣いて…泣いて…本当に涙が枯れるまで泣いた私が布団から出ると、夫の姿はもうなかった…
最悪の事態も覚悟はしていた…
山田くんが同じ病院に運び込まれて2週間。依然、意識不明のままだったため、山田くんの実家近くの大きな病院へ転院したのは、親しくなった看護婦さんから聞いていた…
けれど、そんなに危険な状態が続いていたなんて…
最後のお別れも伝えられないまま、本当に永遠に彼を失ってしまった…